スズキ セルボモード ▲今回紹介するのは1990年7月に登場したスズキ セルボモード

上級仕様の軽自動車

スズキ セルボは、従来「スペシャリティクーペ」という立ち位置で進化してきた。

1990年7月のフルモデルチェンジで4代目となったセルボは、3ドア/5ドアハッチバックとなり、車名も「セルボモード」へと変わった。

セルボモードは実質、アルトの上級仕様という立ち位置を新たに与えられた。

また、軽自動車の規格変更により、排気量は660㏄となった。

“パーソナル・エレガンス”がセルボモードのキャッチフレーズで、当時トレンディドラマで大活躍していた織田裕二さんが、CMキャラクターとして登用されていた。

CMのタッチは恋愛ドラマのワンシーンのようなもので……今見ても胸をキュンキュンさせる人もいるだろう。

スズキ セルボモード ▲カタログにはアメリカ人モデルのカラ・ヤングさんを起用し、知的でエレガンスな日常を表現していた

4種類のエンジンをラインナップ! 注目は軽自動車初採用の直4エンジン

ただ上級仕様とはいっても、今ではどんな車でも当たり前になったパワーステアリング、パワーウインドウ、集中ドアロックなどが標準装備されたにすぎない。

しかし、今から29年も前の話だと思えば画期的だったことがお分かりいただけるはずだ。

側面衝突の安全性を確保するサイドドアビーム、後続車へ減速を知らせるハイマウントブレーキランプ、燃料を入れすぎても吹きこぼれない逆流防止装置、リア3点式シートベルトなど、当時の軽自動車らしからぬ安全性へのこだわりも見られた。

また、SR-Fourというスポーティグレードには、軽自動車としては珍しくABSがオプション設定されていた。

このSR-Fourは、当時のホットモデル「アルトワークス」の足回りに、軽自動車として初となる直4ターボエンジン、そしてピレリP700タイヤを履くスペシャリティ2ドアハッチバックとなっていた。

タコメーターが12000rpmまで刻まれていたことが懐かしい……。

軽自動車ゆえに最高出力は64psに自主規制されているが、グイグイ加速していった。

クラス初となる10スピーカーの高音質オーディオ「ADDZESTスーパーステレオフォニックシステム」を搭載した「Sタイプ」、ハイクオリティ装備の5ドアを備えた「Lタイプ」、豊富なカラーバリエーションをもつ「Mタイプ」、ゆったりくつろげるベンチシートとUVカットガラスをもつ「MCタイプ」、クラス初の直4ターボエンジンを搭載した「SR-Four」、エアコンやパワーステアリングを標準装備した「SR-ターボ」とグレード構成は幅広かった。

直3 NAエンジン2タイプ、直3 ターボエンジン、直4 ターボエンジン(最高出力42~64ps)と、4種類のエンジンがラインナップされていた。

セルボモードは、モデルライフ中に様々なアップデートを受けたが、最も印象的だったのはレトロな雰囲気を醸し出す「クラシック」と呼ばれるグレードが追加されたことだろう。

アイアンバンパーを装着し、丸目ヘッドランプを採用することで可愛らしいルックスがウケた。

スズキ セルボモード ▲上位グレードに搭載された直4 ターボエンジン。当時の最新技術が盛り込まれていた
スズキ セルボモード ▲SR-Fourにはフルバケット型のシートを採用。シートリフター機構も付いており、本格的なスポーツシートだった
スズキ セルボモード ▲ヨーロピアン・スタイルが特徴のクラシック

今はまだ中古車物件が残っているが……

1990~1998年まで販売されたが、最終販売年から21年が経過している。

原稿執筆時点(2019年10月18日)でのカーセンサーnet掲載台数は17台で、経過年数の割にまぁまぁ生息しているが、絶滅するのも時間の問題だろう。

中古車相場は8万~72万円と幅広。この相場の開きは走行距離と新車時のグレード・ヒエラルキーに準じている。

個人的には、軽自動車初となる直4ターボエンジンを搭載したSR-Fourに興味津々だ。

ちょっとでも気になった方は、中古車物件をチェックしてみてほしい!

Photo:スズキ
文/古賀貴司(自動車王国)、写真/スズキ

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スズキ セルボモード(1990年7月~1998年9月生産モデル)×全国
古賀貴司(こがたかし)

自動車ライター

古賀貴司(自動車王国)

自動車ニュースサイト「自動車王国」を主宰するも、ほとんど更新せずツイッターにいそしんでいる。大学卒業後、都銀に就職するが、車好きが講じて編集プロダクションへ転職。カーセンサー編集部員として約10年を過ごし、現在はフリーランスのライター/翻訳家として活動している。