▲そもそも新車価格がベラボーな高額ではないだけに、中古車としての「絶妙な割安感」が発生するタイミングが少々わかりにくい高年式のヨーロッパ製小型車。……その正しい買いタイミングっていつなんでしょうか? ▲そもそも新車価格がベラボーな高額ではないだけに、中古車としての「絶妙な割安感」が発生するタイミングが少々わかりにくい高年式のヨーロッパ製小型車。……その正しい買いタイミングっていつなんでしょうか?

登場直後は買い得感が薄いが、とはいえ待ちすぎると旬を逃す

「初めて輸入車を買ってみるなら、とりあえず高年式のヨーロピアンコンパクトがオススメです」的な意見を時おり目にします。

もちろんそれはそれで悪くない考え方のひとつですが、中古車道の猛者(?)である筆者から言わせていただくと、高年式のヨーロピアンコンパクトというのは「買い時」の判断が実はそこそこ難しいジャンルだったりもします。

コンパクトカーというのは、もともとの車両価格が(輸入車としては)さほど高くはないゆえ、値落ち幅がまだ小さめの初期段階では「……この程度の差額でしかないなら、いっそ新車を買った方がいいのかも?」との迷いが生じがちです。

しかしその後、中古車相場がこなれるのをボーッと待っていると、今度は「相場が下がりすぎてしまい(=年式的に古くなってしまい)、新しいわけでもクラシカルな味わいがあるでもない『中途半端に古い存在』になってしまった」という残念な展開にハマることもしばしばです。

それゆえ「その買いタイミングを正しく見極めるのは少々難しい」と言っているわけです。

では、そんなヨーロピアンコンパクトの高年式中古車は、結局のところ「いつ」買うのが正解なのでしょうか?

諸説あるとは思いますが、筆者が提唱したいタイミングは「まだまだ現行モデルであるにも関わらず、その低走行中古車の相場が新車価格よりも約100万円は安くなったとき」です。

▲「割安感」と「旬感」とのせめぎ合いを冷静に見つめつつ、自分なりの適切なタイミングを見計らうのが、現行世代のヨーロピアンコンパクトの中古車を賢く買うコツ。(写真は現行型ルノー ルーテシア) ▲「割安感」と「旬感」とのせめぎ合いを冷静に見つめつつ、自分なりの適切なタイミングを見計らうのが、現行世代のヨーロピアンコンパクトの中古車を賢く買うコツ。(写真は現行型ルノー ルーテシア)

「100万円安」という、なぜか納得できてしまう魔法の数字

例えばルノー トゥインゴというフランスの小型車があります。現行型の売れ筋グレード「インテンス」の新車本体価格が189万円ですから、支払総額は210万円ぐらいでしょうか。

そしてその中古車相場は今、もちろんモノにもよりますが、おおむね総額190万円ぐらいです。……新車を買うよりお安いのは確かですが「めちゃめちゃお買い得!」と感じられるかどうかは微妙でしょう。

しかし、同じルノーでもルーテシアというコンパクトカーに目を向けてみると、話はずいぶん変わります。

▲ルーテシア(本国名クリオ)は古くから続くルノーのコンパクトクラスで、現行型モデルはその第4世代となります。基本となるエンジンは1.2L直噴ターボで、トランスミッションは6速のツインクッラッチ式ATです ▲ルーテシア(本国名クリオ)は古くから続くルノーのコンパクトクラスで、現行型モデルはその第4世代となります。基本となるエンジンは1.2L直噴ターボで、トランスミッションは6速のツインクッラッチ式ATです

現行型ルーテシアは2013年9月デビューのまだバリバリ現役で、売れ筋グレードである「インテンス」の新車価格は229万円。支払総額は250万円ぐらいといったところです。

ですが、その中古車に目を向けてみると、走行2万km台までの個体が「総額150万円前後」、つまり「新車を買うより約100万円安い総額」で十分狙えてしまうのです。

「100万円」というキリの良い数字に特に意味はないはずなのに、「100万円安い!」と聞くと、なぜか妙な納得を覚えてしまうのが人間の不思議です。

「まぁ、そのぐらい安ければ、あえて中古車を選ぶ意味は十分あるよね」とかなんとか。

結局のところ、車選びというのは「自分が心底納得できるかどうか?」です。

ゆえに自分のマインドが納得でき、そして実際のコンディションや社会的なイメージも良好な場合が多い「新車よりおおむね100万円安い、まだまだ現行型なヨーロピアンコンパクトの低走行物件」というのは、かなり悪くない選択であるはずなのです。

▲ルーテシアの場合、新車よりおおむね100万円安で狙える初期型と最新の2018年モデル新車では、微妙な部分のデザインが違ってたりはします。でもまあいいじゃないですか、何せおおむね100万円も安いんですから! ▲ルーテシアの場合、新車よりおおむね100万円安で狙える初期型と最新の2018年モデル新車では、微妙な部分のデザインが違ってたりはします。でもまあいいじゃないですか、何せおおむね100万円も安いんですから!

例えば現行型フィアット パンダやアウディ A1スポーツバックも約100万円安

「新車よりおおむね100万円安い現行型ヨーロピアンコンパクトの低走行物件」には、前章で紹介したルノー ルーテシアの他、例えばフィアット パンダがあります。

▲フィアット パンダも古くから続いているフィアットの実用コンパクトクラスで、現行型はその第3世代。4WDの「パンダ4X4」も人気ですが、そちらは中古車もまだちょっとお高く、割安なのは2WDの「パンダ イージー」です ▲フィアット パンダも古くから続いているフィアットの実用コンパクトクラスで、現行型はその第3世代。4WDの「パンダ4X4」も人気ですが、そちらは中古車もまだちょっとお高く、割安なのは2WDの「パンダ イージー」です

こちらは2013年6月登場のイタリア車で、いかにもイタリア物らしいステキな内外装デザインと、0.9Lの2気筒ターボエンジンという独特なエンジンの味わいが好ましい現行世代のコンパクトカーです。

ベースグレードである「イージー」の新車価格は217万1000円で、支払総額は240万円ぐらいといったところでしょうか。

しかしその走行2万km台までの中古車は今、おおむね総額150万円前後で探すことができます。目標(?)である「新車を買うより100万円は安い!」には少々足りてないかもしれませんが、まずまずの納得と満足は確実に覚えるだろう選択です。

イタリア物やフランス車はちょっと……という人には、例えばですがドイツのアウディ A1スポーツバックでどうでしょうか?

▲こちらがアウディ A1スポーツバック。最初は3ドアバージョンの「A1」から発売されましたが、その後5ドアのこちらを追加。結果、今では基本的に5ドアバージョンの方が3ドア以上の人気を集めています ▲こちらがアウディ A1スポーツバック。最初は3ドアバージョンの「A1」から発売されましたが、その後5ドアのこちらを追加。結果、今では基本的に5ドアバージョンの方が3ドア以上の人気を集めています

アウディ A1スポーツバックは2012年6月デビューのプレミアム5ドアコンパクト。

フォルクスワーゲン ポロとほぼ同サイズとなる小さめな車ではありますが、いかにもアウディらしい上質感が漂う内外装と走りの質感は、いわゆるコンパクトカーの水準を大きく超えています。

新車で買うとなると、売れ筋である「1.0 TFSI」の車両本体価格が249万円で、パッケージオプション代や諸費用などを加えた総額はおそらく320万円前後。

しかし中古車であれば総額150万円前後から、走行2万km台までの個体を探すことが可能なのです(ただし、年式の関係で1.0 TFSIではなく1.4 TFSIになってしまいますが)。

もちろん、最初の章で「諸説ある」と申し上げたとおり、今回の考え方が「ヨーロピアンコンパクトの高年式ユーズドカーを探す際の絶対的な正解」などと言うつもりはありません。

しかし、おサイフ的にもメンタル的にも「ある程度確実な納得感」がある考え方なことだけは間違いありません。

ちょうど今、「そろそろヨーロピアンコンパクトにでも乗り替えてみしょうかしら?」と考えている方がいらっしゃいましたら、ひとつの参考にしていただけたら幸いです。

text/伊達軍曹
photo/ルノー、フィアット・クライスラー、アウディ

▼検索条件

ルノー ルーテシア(現行型)支払総額160万円以下×走行距離3万km未満×修復歴ナシ

▼検索条件

フィアット パンダ(現行型)支払総額160万円以下×走行距離3万km未満×修復歴ナシ

▼検索条件

アウディ A1スポーツバック(現行型)支払総額170万円以下×走行距離3万km未満×修復歴ナシ