▲この内容でこの価格と、衝撃を与えた現行スイフトスポーツですが……初代はさらに衝撃的な価格設定だったんです▲この内容でこの価格と、衝撃を与えた現行スイフトスポーツですが……初代はさらに衝撃的な価格設定だったんです

現行モデルもコスパが高いと評判が高いが

2017年9月に登場したばかりの新型スイフトスポーツ。それまでのNAエンジンから1.4Lターボエンジンとなって大幅にトルクがアップしました。

また、専用の3ナンバーボディを持つなど、走りの面でもレベルアップを果たしています。にも関わらず、183.6万円からというリーズナブルな価格設定で、コストパフォーマンスが高い1台として大きな話題となりました。

もちろん、コストパフォーマンスの高さは新型に限ったことではなく、歴代のスイフトスポーツはどれもコストパフォーマンスが高いモデルでした。そして何より他の多くのスポーツカーと違うのは、そもそもコンパクトカーとして真面目に作られていることです。 というわけで、スポーツ走行もできるファミリーカーとして、家族を持つユーザーにこそオススメのモデルなんです。

スイフトスポーツは現行モデルを含めて日本国内では4世代が存在します。これは私の主観ですが、その中でも一番コスパが高いのは、初代だと思うのです! そこで今回は、初代スイフトスポーツがいかにこだわりを持って作られていたのかをお伝えしたいと思います。
 

なんと新車価格が「119万円」だった

▲「イエローブリッド(黄色い弾丸)」の愛称が付けられた小型のホットハッチ。JWRCのイメージを踏襲した専用部品満載のスポーツモデル▲「イエローブリッド(黄色い弾丸)」の愛称が付けられた小型のホットハッチ。JWRCのイメージを踏襲した専用部品満載のスポーツモデル

初代スイフトスポーツが登場したのは2003年6月のこと。ベースとなった初代スイフトは2000年にデビューしていましたから、登場から3年後の追加と意外と遅い登場でした。

とはいえ、すでに2001年からスズキはスイフトの輸出仕様をベースにした車両で世界ジュニアラリー選手権(JWRC)に参戦しており、スイフトスポーツもこのJWRC参戦車両のイメージを反映させたモデルとしての登場だったのです。

そんな初代スイフトスポーツは多くの専用パーツが盛りだくさん! 一番大きなものではそのボディです。通常のスイフトには5ドアハッチバックしか設定がありませんでしたが、スイフトスポーツには、より開口部が少なく剛性の高い3ドアボディを採用しているのです。

さらに専用設計の前後バンパーやオーバーフェンダー、リアスポイラーなども標準装備。フロントバンパー下部には、ボディ下部の空気抵抗を低減させるためにエアダムスカートまで装着されています。

もちろん、エンジンだって専用品。ベース車は1.3Lでしたが、スイフトスポーツには1.5Lエンジンが採用されました。

ちょっと専門用語が続きますが、アルミ鍛造ピストンの採用や樹脂製インテークマニホールド、専用カムシャフトに圧縮比アップと、とにかくNAエンジンのチューニングの基本をしっかり押さえた変更が加えられているのです。

その結果、最高出力115PS、最大トルク14.6kgf・mという数値をマーク。そしてそれに組み合わされるのは、5速MTのみで、ATは用意されない硬派っぷりでした。

当然、専用パーツは内装にも及びます。スポーツ走行をするときに体を支えてくれるシートは、あの有名シートメーカーのレカロ社と共同開発したもので、イエローステッチの入った専用品です。

ステアリングとシフトノブも本革巻になり、メーターフードやセンターコンソールはカーボン調に。ブルーのLED照明となった専用メーターは240km/hスケールとなっています(180km/hでリミッターが利きますが)。
 

▲レカロ社と共同開発した専用シート。黄色の差し色がワンポイント▲レカロ社と共同開発した専用シート。黄色の差し色がワンポイント

さらにさらに、足回りにも専用品♪ 15mmローダウンされた専用サスペンションに始まり、フロントサスペンション取付部剛性を上げる大径のパフォーマンスロッドを装着し、リアブレーキもディスクブレーキに換装されました。

おまけに、JWRC車両が装着しているものと同イメージのアルミホイールまで標準装備しています。

ちなみにこのアルミホイール、アルトワークス純正アルミとして、今も色を変えて継続採用されているというのはヒミツのお話。

と、このように多くの専用パーツを採用しながら、当時の新車価格はなんと驚きの119万円! これで果たして当時のスズキは利益が出たのか心配になるレベルです。

ともかく、ユーザーからしてみれば良いものを安くリリースしてくれるというのはありがたいことですよね。
 

新車価格が安いということは、中古車もお買い得!

▲意外とノーマル状態の中古車が多いのも初代スイフトスポーツの特徴▲意外とノーマル状態の中古車が多いのも初代スイフトスポーツの特徴

これだけコストパフォーマンスが高い初代スイフトスポーツは、中古車になっても当然お買い得。

総額で50万~60万円くらいの予算を見ておけば、フルノーマルの距離少なめな個体から、社外パーツてんこ盛りのカスタマイズ済みの車両まで、バリエーション豊かな個体が射程圏内となるのです。

さらに予算を30万円程度まで下げても、数は少ないですが状態の良さそうな車両がヒットするのも嬉しいポイントですね!

このように手軽な価格で買えるにも関わらず、スズキのこだわりが満載の初代スイフトスポーツ。ファミリーカーと偽って家族の目を盗んでスポーツ走行をしたい人はもちろん、免許を取ったばかりでスポーティなモデルを探している人やセカンドカーとしてバリバリと走り込みたい人まで、多くのユーザーにオススメしたい1台です。
 

▼検索条件

スズキ スイフトスポーツ(初代)
text/小鮒康一
photo/スズキ