すぐ前の未来_その3:リチウムイオンに支えられるハイブリッドカーと電気自動車の未来

地球温暖化やガソリン高で“クリーンなエコカー”が注目されていますが、当然、自動車メーカーでは次世代のエコカー研究に力を入れています。なかにはほぼメドがついた、なんてものもあるのです。
というわけで今回は日産が2010年をメドに販売を予定している、ハイブリッドカーと電気自動車の試乗の様子を、動画とともにお届けします。

  • 日産ハイブリッドカー フロントスタイル|ちょい乗り試乗
  • 日産ハイブリッドカー ハイブリッドシステム|ちょい乗り試乗
まずはハイブリッドカーから見ていきましょう。
日産のパラレルハイブリッドシステムはエンジンとモーター、トランスミッションを2つのクラッチで接続します。トヨタのハイブリッドシステムTGS IIとはシステムが多少異なるのですが、大きな違いは、トヨタ(およびホンダ)が現在バッテリーにニッケル水素を使用しているのに対し、日産はリチウムイオンを使用しているところが挙げられます。リチウムイオンは、ニッケル水素に比べてより高容量・高出力化できるのがメリットです。

さて、まずはその実力を、日産技術者の方と同乗試乗した動画でご覧ください。なお、試乗車はインフィニティG35(日本のスカイライン)です。

動画にもあるように、普通のセダンと比べてもなんら遜色のないパッケージ。
バッテリーはリアシートとトランクの間に積まれており、バッテリーから瞬時にパワーを取り出せる補機類も搭載されています。おかげでエンジンをかなり休ませることができるので、3.5Lガソリンエンジンを搭載しながらコンパクトカー並みの低燃費を実現したといいます。市販化が目指されているのは、試乗車のようなスカイラインクラスと「他にもう一つ(日産技術者)」あるそうです。
  • 日産電気自動車 リアスタイル|ちょい乗り試乗
  • 日産電気自動車 バッテリー|ちょい乗り試乗

さて、次は電気自動車です。
こちらは現行キューブをベースに作られた試乗車が用意されました。バッテリーを床下に搭載しているため、特に後部席の床はかなり高くなっています。ハイブリッドカーのリチウムイオンバッテリーより大容量のものを積むためです。右の写真のバッテリーが3つ載っています。こちらも、言葉で説明するより動画のほうがわかりやすいと思うので、下をどうぞご覧ください。


現在のところ、満充電で160km航続可能だそうです。この距離は来年販売が予定されている三菱i MiEVと同じです。日産の電気自動車は、試乗車同様コンパクトカークラスになるようで、2010年には上記のバッテリーを2つ搭載した専用モデルを登場させるそうです。

さて、見てきたように2つの“もう目の前の未来にある車”は、リチウムイオンバッテリーがキモです。このバッテリーは日産とNECが共同で開発しています。
その研究ラボにも入ることができました。電池はもはや円筒形ではなく、薄い板になっています。このほうが熱放出の効率がいいからだそうです。 ※ブレていてすみませんが、左写真でマルで囲んだものが一つの電池。それを何枚かまとめて一つのセルにしたのが右写真の右側。ちなみに左隣にある丸い円筒は、以前日産が販売した電気自動車ハイパーミニの電池。
  • 日産バッテリーラボ内 その1|ちょい乗り試乗
  • 日産バッテリーラボ内 その2|ちょい乗り試乗

三菱i MiEVもリチウムイオンですし、今度登場する電気自動車やハイブリッドカーのほとんどはリチウムイオンバッテリーになりそうです。ただし高容量・高出力の利点の半面、安全性についての懸念がまだ捨てきれません。携帯電話やノートパソコンで使われているリチウムイオンバッテリーの発火事故などがその代表例です。
当然、市販化されるということは、その辺の安全対策が十分施されているのでしょうが…。その意味でも来年春に投入が予定されているトヨタプリウスがどうするのか? 注目したいところです。
<カーセンサーnetデスク・ぴえいる>