下り坂で感じる爽快感&多幸感 トヨタ アクア

  • トヨタ アクア スタイル|ニューモデル試乗
  • トヨタ アクア マルチインフォメーションディスプレイ|ニューモデル試乗
月販目標台数1万2000台のところ、H23年12月26日からH24年1月31日まででの約1ヵ月で約12万台(目標の10倍!)もの受注台数を記録したトヨタ アクア。 そんな驚異の快進撃を続けるアクアの“リアルな性能”を体感すべく400km以上のロングテストドライブを行いました。試乗コースは、都内から群馬県への往復と都内から千葉県までの往復。全行程の約8割が高速道路、残りが市街地です。中間グレードのS(JC08モード35.4km/L)で走りました。

SグレードのJC08モードは35.4km/L。果たして実走行でもそれだけ出るのか興味があります。結果から先に申し上げると、試乗終了時の燃費は21.1km/L(車載燃費計参照)。カタログ値と比較すると「えっ、これだけ?」な数値ですが、冷静に考えれば相当良い結果です。何しろ決してスリムとは言えない大人が2人乗って、しかもエアコン&オーディオは常時ON。丁寧なアクセルワークは心がけていたけれど、高速道路ではストレスを感じないスピード(快速レベル)で走っていたわけです。つまり“ほとんどエコドライブを心がけていない”という状況での21.1km/。ハイブリッドカーの本領が発揮される市街地ドライブがメインだったら、カタログ値と合致しなくとも30.0km/Lに近づくことは決して無謀なことではないはずです。
  • トヨタ アクア 給油口|ニューモデル試乗
  • トヨタ アクア インパネ|ニューモデル試乗
“ほとんどエコドライブを心がけていない”とはいえ、マルチインフォメーションディスプレイの画面を「エコジャッジ」にしていたため、運転中は瞬間燃費とバッテリー残量が気になりました。燃費が悪化すると微かな罪悪感を覚え、バッテリー残量が減るとリアルな危機感を覚えてしまう。まさにインフォメーションディスプレイの思う壺。アクセルに乗った右足の動きはいつもより余計に丁寧になり、できるだけエネルギーを回収しようといつもより早めに減速態勢を取るようになるものです。まして高速道路の長い上り坂が迫ろうものなら、まるで理不尽な罰ゲームを受けるときのように、憂鬱な気持ちになってしまう。逆に下り坂は、もやもやがスカッと晴れるような、なんとも言えない爽快感&多幸感が味わえる。「人生楽ありゃ苦もあるさ~♪」と口ずさんだのは言うまでもありません。
  • トヨタ アクア フロントシート|ニューモデル試乗
  • トヨタ アクア ラゲージ|ニューモデル試乗
シンプルかつクリーンなデザイン、大きからず、小さからず、かといって使いづらくないボディサイズ&室内空間、癖のない操作感など、燃費以外は非常に中庸な車、というのが率直な感想です。誤解を恐れずに言うと、嫌われる要素が少ない車。それは決してネガティブなものではなく、12万台/月で売れる車だけが備えうる美徳だと思います。昨今のプリウスやフィットのように、いずれアクアの中古車が大量に流通するはずです。つまり総額100万円で買える日もそう遠くないということ。168万円〜という新車価格も魅力的ですが、今はぐっとガマンしてじっくり中古車を待つという選択も十分ありでしょう。「涙の後には虹も出る~♪」と例の歌でもありますから。
Text&Photo/カーセンサー編集部デスク・中野剛