メルセデス・ベンツ Sクラス ▲キープコンセプトながら、ボディサイズとホイールベースが拡大されいっそう存在感が増す新型メルセデス・ベンツ Sクラス。すでに国内ディーラーでは予約受付が始まっている

路面投影デバイス非作動

世界中を見回すと高級サルーンはいくつもあるが、その中でもメルセデス・ベンツ Sクラスは頂点で輝く1台と言っても過言ではない。

その8代目が、2021年1月に国内発表されることが判明した。国内導入される最新Sクラスの詳細をお伝えしていく。

同社初、Sクラス初のテクノロジーがめじろ押しだ。例えば、外観にはプロジェクションマッピングが行えるほど精度の高いヘッドランプ「DIGITALライト」が新たに起用される。

これは、車載カメラが進入禁止や一時停止の道路標識を検知すると、路面にそれを描写してドライバーに注意を促す機能も備わる。残念ながら、国内では法規との兼ね合いからプロジェクションマッピングは行われない。

メルセデス・ベンツ Sクラス▲まるで光のピンが並んでいるかのような繊細なデザインに仕立てられたリアコンビランプ。現行型モデルよりも拡幅されてトランクリッドをまたいでいる
メルセデス・ベンツ Sクラス▲12.3インチの3Dメーターパネルや、進化した音声認識デバイスが備わるコックピット。操作や危険を察知してアンビエント照明が点滅する仕掛けも用意されている

ユーザーインターフェイスも新機軸を採用

室内ではARヘッドアップディスプレイ、3D表示のメータパネル、操作に応じて反応するアクティブアンビエント照明、新世代の音声認識機能「MBUX」、生体認証、後席エアバッグをメーカー初設定。

ARヘッドアップディスプレイ(オプション)は、進行方向を示す矢印が路面に表示されているかのように見えたり車間制御が遠視点で見える機構。ただし、初期生産分には間に合わないようだ。

ステレオカメラがドライバーの目と鼻の位置を認識する3Dメーターパネルは、最適な位置に情報を浮かび上がらせる。

アクティブアンビエント照明は、MBUXでの対話に反応して点滅するだけでなくレーンキープアシストやブラインドスポット警告とも連動して、ドライバーに危険を知らせる役割も担う。

メルセデス・ベンツ Sクラス▲十分な広さを誇る後席。ヨーロッパ現地には固定式コンソール採用の左右独立シートも用意されているが、国内に輸入されるモデルは写真の3人がけ仕様のみ

後席も快適性が大幅アップ

Sクラスは、ショーファー需要も多いため後席の快適性アップにも力が注がれる。後席アームレストは内臓の7インチMBUXタブレット、マッサージ機能とアンビエント照明が癒してくれるエナジャイジングパッケージを採用。

ネックアンドショルダーヒーター、点灯式シートベルトバックル、シートベルトエアバッグなどが後席コンフォートパッケージとして用意される。

さらに、ロングでは後席エアバッグも同パッケージに含まれる。後席左右両席にエアバッグが設けられるのは国内初か。

新型Sクラスのスペック予測表▲新旧Sクラスおよび、競合車の主要スペック比較(一部スクープ班予想)

ホイールベースも延長

パワートレインは、3L直6ガソリンターボと4L V8ガソリンターボ、3L直6ディーゼルターボが用意される。

3L直6は、電動ターボとISG(スターター兼ジェネレーター)がアシストして力強い走りがもたらされる。エンジン単体の性能は、従来型比+68psの435ps、同+20N・mの520N・mを発生。

4L V8は、ISGが加わって環境性能の改善が図られる。これにより、新型Sクラスはガソリン全車になんらかの電動化技術が与えられる。

ディーゼル車は、最高出力は10psダウンの330psに設定し直されるが、最大トルクは700N・mに据え置かれる。いっそう優れた静粛性を実現すべくノイズ軽減ガラスが用いられる(ロングに標準装備、標準車はオプション)。

現行モデルの一部パワートレインには2WD車も用意されているが、新型では全車「4MATIC(4WD)」に一本化。コーナリング性能と走行安定性の向上が図られる。

ホイールベースは標準車が70mm長い3105mmに、ロングは50mm長い3215mm延長される。切れ角10度の後輪ステアリング機構によって想像される取り回しや、車両の挙動の悪化も払しょくされる。

※2020年12月24日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【諸元・スペック】
■予想発表時期:2021年1月
■全長×全幅×全高:5180×1900×1500(mm)
■搭載エンジン:3L 直6+ターボ 他

text/マガジンX編集部
photo/ダイムラーベンツ