【名車への道】’98 BMW 840Ci
2019/12/04
■これから価値が上がるネオクラシックカーの魅力に迫る【名車への道】
クラシックカーになる直前の80、90年代の車たちにも、これから価値が上がる車、クラシックカー予備軍は多数存在する。そんな車たちの登場背景、歴史的価値、製法や素材の素晴らしさを自動車テクノロジーライター・松本英雄さんと探っていく企画「名車への道」。
自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。『クルマは50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
高級スポーツ市場に挑戦した、希少なGTモデルだよね
――さて今回はついにBMWの8シリーズを見つけまして(笑)、それにしました。
――V12の850iでも良かったんですが、今回は良さそうな840Ciが出てきたのでそちらにしてみたんですよ。
――新しい8シリーズも出ましたしベストタイミングですね。あ、この車ですよ。キレイですねー。
――早速いろいろと教えてくださいよ。
――エンジンは840CiがV8、850iがV12でしたよね?
――今考えても異色のBMWですもんね。まあ普通の人からしたら840CiのV8でもかなりハードですけどね(笑)。
扱いやすいユニットだし、なにより価格も大きく抑えられていてね。850iは約1500万円だったけど840Ciは最終型近くでは1000万円ぐらいだったからね。しかも馬力は286馬力、トルクは40Kg-mを超えていたから、GTマシンとして十分すぎるスペックだと思うな。
――確かATも違いましたよね?
ちなみにこの個体は違うけど、初期の840Ciは92年から96年の4年間生産されていてね。この4Lはアルミブロックの内側にニカジルメッキ(*2)という特殊なメッキが施されているんだ。
これは元々ポルシェ 917(*3)のレーシングエンジンにも採用されていた技術なんだよ。その後初期のポルシェ 928にも使われてたかな。
――なんかこだわりがエンジン屋って感じがしますよね。
――ふむふむ。
――ということはこの車は4.4L?
――デザインも奇抜ですよね?
彼は小型でリアにエンジンを積んだシティコミューターを実際に作っていたからね。様々な才能があったことに間違いはないよ思うよ。
――これは名車の匂い、しますよね?
■注釈
*1 635CSi
初代の6シリーズ。当時のBMWのフラッグシップであり、その美しいシルエットで世界中の車好きから称賛を受けた。
*2 ニカジルメッキ
BMWが二輪でも使用している特殊なメッキ。通常よりも硬く、摩耗に強いためレーシングモデルなどの高性能モデルに使われてきた。
*3 ポルシェ 917
ガルフカラーがトレードマークのレーシングモデル。1969年に製造され、多くのレースで活躍し、その存在はまさに伝説に。
*4 クラウス・カピッツァ
BMWで活躍するドイツ人デザイナー。主な代表作としてフォード時代にはカプリⅢやエスコートなども手がけている。
BMW 840Ci(初代)
1990年から1999年まで製造されたGTモデル。V12の850iを発売したあと、94年にV8エンジンを搭載した840Ciを追加。850iも6ATを積んだ850Ciに進化する。この8シリーズをベースにしたM8も計画されていたが、商業的に厳しいという理由で中止になっている。
【関連リンク】
※カーセンサーEDGE 2019年8月号(2019年6月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
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