いつだってユーザーの期待を裏切らない。だからポルシェは素晴らしい
カテゴリー: クルマ
タグ: ポルシェ / 911 / EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2016/07/27

老舗百貨店が販売した品物に落胆したある日
筆者は顔に似合わず漫画「スヌーピー」の熱烈なファンであるため、数年前にとあるショッピングモールでたまたま見つけた額入りのPEANUTSイラストを何枚かまとめて購入した。価格はたしか1枚1200円と安価だったが、その割に紙質も額縁の重厚感もなかなかのもので、今も気に入って自宅に飾っている。複製イラストとはいえ、絵を飾るというのはなかなかステキなものである。
その買い物に気を良くした自分は後日、とある老舗百貨店の催事スペースで1950年代か60年代あたりのちょっとレトロでしゃれた広告イラストが販売されているのを発見し、ソッコーで購入した。スヌーピーのイラスト同様、自宅玄関などに飾ればステキなのではないかと考えたのだ。
価格は1枚1500円ぐらいとなかなかお高かったが、ステキなART OF LIFEってやつが手に入るなら安いものである。ということで何枚か購入して自宅へ持ち帰ったのだが……それがなかなかの粗い作りであった。単なるペラッペラの薄い紙でカラーコピーを取っただけの代物で、とてもじゃないが飾りたくなる質感ではない。何千円かの金をドブに捨ててしまったような気分になった。
もちろん、店頭でモノを見たうえで自分が決めた買い物であるため、わたしに今さら文句を言う資格はない。また老舗百貨店といってもそれを売っていたのはテンポラリーな催事スペースであったため、その百貨店本体を悪く言うのもちょっと違うだろう。
しかしこの感情はいかんともしがたい。長年信用していた百貨店だったが、その後はどうしても足を運ぶ気になれないままでいる。

ポルシェを買って後悔する人は(たぶん)いない
この事件(?)を契機にあらためて思ったのが、「信用というのは築くには長い時間がかかるが、失うのは一瞬なんだなあ」という、よく言われるアレだった。そして「こんな嫌な思いをするぐらいなら、もう『ブランド』なんてものはハナから信用しないで生きよう。そうだそうだ、そうしよう」という厭世的でダークな気分に支配された筆者だったが、これからの人生をダークサイドに落ちず前向きに生きていくための、一筋の光明のようなブランドも世の中にはあることを思い出した。
ポルシェである。
もちろん、ポルシェが「顧客の期待を絶対に裏切らない地上で唯一のブランド」というわけでもない。筆者はよく知らない宝飾や衣服などの世界でそういった「ブランド」は多数あるのだろう。しかし少なくとも自動車の世界において、筆者が知る限りポルシェは、ユーザーが自然と寄せる期待をほぼ絶対に裏切らないでいてくれる稀有なマニュファクチャラーのひとつだ。
ポルシェ以外にも「高級車」とされる自動車を製造するメーカーは世界に数多く存在するが、まあなかにはいっとき迷走してしまうメーカーもある。わざわざ名前は挙げないが、「あのメーカーが、なんでこんなモン作るのよ……」と絶句せざるを得ないシーンもたまにあるのが自動車の世界だ。
しかしポルシェにはそういった時期がほとんどない。いつだってほぼ完璧に、こちらが勝手に上げているハードルを楽勝でクリアし、そして「あぁ、コレを買って本当に良かった!」とユーザーに心底思わせてくれる。だから、「信用」が生まれる。だから、「ブランド」であり続ける。
ただ、当然だがその結果としてポルシェの車は高い。こればっかりはどうしようもない問題であり、ポルシェ社に対して「もっと安いセカンドラインみたいなモノを作ってください!」と駄々をこねるわけにもいかない。また、そんな安物は誰も求めていないだろう。

お金があるなら最新が最良。そうでないならタイプ997が最良か
ということで、お金をたんまり持ってらっしゃる富裕層の皆々様は、「最良の911は最新の911である」という格言にしたがって一番新しい911とか718ボクスターとか、あるいは近々上陸する新型パナメーラあたりを買えばすべてはALRIGHTだ。もしくは、相場が超絶高騰しているタイプ964の低走行物件をサラリと買うのもおしゃれかもしれない。
問題は筆者のようなビミョーな層、すなわち「貧乏なわけでもないが、最新のポルシェを買うほどのカネは遺憾ながら持ってない」という層は何を狙うべきか? ということだ。
様々な選択肢はあろうが、自分が推したいのは「タイプ997」である。
今さら説明の必要もないだろうが、タイプ997とは04年から11年にかけて販売された、水冷911の第2世代。第1世代だったタイプ996の、特に前期型は正直「?」な部分もゼロではなかったが、997であれば質感も走行性能も信頼性も、そして911ならではの「繊細な豪快さ」みたいな部分もほぼ完璧である。今なお「これぞ911!」という感触を、その走りからもビジュアルからもビシビシ感じ取ることができるだろう。
そしてその中古車相場が今、かなりこなれてきている。具体的には車両価格600万円以下で、走行3万km台までのなかなか好条件なカレラまたはカレラ4、あるいはカレラSが十分狙える状況になっているのだ。
これにしたって別に「安い」という価格なわけでは決してないが、冒頭でくだくだ申し上げたとおり「確実に期待を超えてくれる品物、ブランド」であることを考慮するならば、ある意味「激安」とすら言えるのではないか。もしもこの考え方にご賛同いただけたなら、ぜひご注目いただきたい。


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