▲理想の家を立てるとなると1億円はかかりそうだが、「理想の車」ならさほどの大金はかからない? ▲理想の家を立てるとなると1億円はかかりそうだが、「理想の車」ならさほどの大金はかからない?

理想の家は最低1億円。しかし車ならご予算500万円でおおむねOK

過日の当欄で少々お伝えしたが、生まれ育った東京から湘南エリアへの移住をなんとなく考えている。が、試しに現地の不動産業者を当たってみて「現実」を思い知らされた。筆者がイメージする理想の暮らしを実現させるためには、月々15万円ぐらい(できればそれ以下)というしょぼい賃料ではなく、おおむね1億円の現預金あるいは信用枠が必要なことが判明したのだ。

かいつまんで言うと、筆者の理想とは「湘南の海近エリア/戸建て/庭付き/猫の飼育可/日当り良好/景観良好/建物の周囲に住宅が密集していない」だ。しかし実際に現地を回ってみると、そのような物件などほとんどないことがすぐにわかった。あったとしても、超絶お金持ちらしき人がすでにそこに住んでいる。空きそうもない。ていうかそんなとこ払えない。

そういった状況下でもしも自分の理想を実現しようとするなら、「比較的広い土地(しかも角地)が売りに出されるのをひたすら待ち、それをソッコーで購入した後、建ぺい率に余裕をもたせたステキな上モノを自ら建立する」ほかないのだ。

そしてそのためには、筆者の試算によれば「土地代3000万円+上モノ3000万円+その他もろもろ1000万円」で最低7000万円、余裕をみて1億円は持っておきたい計算になる。しかし当然だがそんな金はなく、貸してくれそうな人もいない。……「住まい」というジャンルで理想を実現させるのは本当に難しいのだなぁということを、遅まきながら痛感するばかりの毎日である。

▲結局は自分で土地を買い、自分で設計しないことにはどうにもならないことが判明…… ▲結局は自分で土地を買い、自分で設計しないことにはどうにもならないことが判明……

しかし同時に思うのは、住まいではなく「車」であれば、理想の実現にもさほどのお金はかからないということだ。

まぁ、「僕の理想はブガッティ ヴェイロン!」みたいな場合は住宅と同じぐらいのお金がかかるが、そうでなければ、例えば各種フェラーリやポルシェ 911の役モノ(GT3とかターボとか)の新車であっても、3000万円もあればなんとかなる。住宅の場合は3000万円ではどうしても「田舎の安普請」になってしまうが、車であれば同予算で「世界の最高峰」が手に入れられる。なんとも激安じゃないか。ある意味。

「新車じゃなくて中古で良し!」と考えれば、激安っぷりはさらに強まる。前述のスーパースポーツは新車の場合3000万円級だが、中古ならばおおむね1000万円で十分イケる。ウルトラ激安である。そしてさらに「別にオレ、スーパースポーツとかあんまり興味ないんだよね」という場合は、おおむね500万円程度の余剰現預金ないしは信用枠があれば、この世に存在する「素晴らしい車」のうちかなりの部分を買えてしまうのだ。理想を実現できてしまうのだ。

例えば「普段使いもできる上質なスポーツカーが欲しいなぁ」と思うのであれば、中古のポルシェ 911を買えばいい。この予算で今狙えるのが、タイプ997(先代)であれば普通のカレラ ティプトロニックSで、タイプ996(先々代)でもOKならワイドボディがステキなカレラ4S。怒涛の高速性能が楽しめるターボだってぎりぎりイケるだろう。また中古車相場が高騰している空冷911も、MTは難しいが、ティプトロニックで問題なければ余裕で狙える。

▲こちらは先代ポルシェ 911(タイプ997)の前期型。普通のカレラなら車両400万円台でも結構探せる ▲こちらは先代ポルシェ 911(タイプ997)の前期型。普通のカレラなら車両400万円台でも結構探せる
▲先々代であるタイプ996なら写真のカレラ4Sが狙え、一部のターボも射程範囲内 ▲先々代であるタイプ996なら写真のカレラ4Sが狙え、一部のターボも射程範囲内

「ポルシェ 911じゃ後席に人を乗せにくい」というのであれば、AMGはどうだろうか? ポルシェ 911とほとんど同じような動力性能のセダンやステーションワゴンであるC63やE63などが、総額400万円台あたりで選び放題だ。年式的に古めの中古車が苦手なのであれば、2013年式か2014年式で走行1万km未満のA45 AMGを選ぶのもステキだろう。

▲2007年10月からつい先日まで販売されていた旧型メルセデス・ベンツC63AMG。もっと設計年次が新しいAMGが欲しい場合はA45 AMG 4MATICがオススメとなる ▲2007年10月からつい先日まで販売されていた旧型メルセデス・ベンツC63AMG。もっと設計年次が新しいAMGが欲しい場合はA45 AMG 4MATICがオススメとなる

また「スポーツカーは別にいらないけど、その気になればスポーティにも走れる実用車が欲しい」というのであれば、現行BMW 3シリーズツーリングあたりがたぶん最高だ。「ボディサイズ的にもっと大きな、SUVがいいな」という人はランドローバーの人気モデルがハマるはず。レンジローバースポーツにヴォーグ、イヴォークなどから好みに応じて選べばいい。現行BMW 3シリーズツーリングを含め、どれも500万円以下で十分狙えるだろう。

▲普通のファミリーカーとして使って良し、走っても最強レベルに良しの、現行BMW 3シリーズツーリング ▲普通のファミリーカーとして使って良し、走っても最強レベルに良しの、現行BMW 3シリーズツーリング
▲レンジローバーより少々小柄なレンジローバースポーツ。写真は旧型ゆえ500万円以下でも十分検討可能 ▲レンジローバーより少々小柄なレンジローバースポーツ。写真は旧型ゆえ500万円以下でも十分検討可能

もちろん、おおむね500万円以下という制約のなかで車を選ぶとなれば「100%完璧に理想どおり!」というわけにはいかず、何かと妥協を迫られる局面も多いはず。しかしそれは「中古車購入」に限った話ではない。家を建てようが誰かと結婚をしようが何をしようが、人生というのは結局のところ妥協の連続なのだ。というか、上手な妥協の仕方を覚える場なのだ。そんな高い車を買ったことがないので推測でしかないが、おそらくは1億円出してヴェイロンを買うとしても、人はどこかで妥協を迫られるのだろう。それゆえ、そこについては「人生あきらめが肝心」と達観するしかない。

ということで今回のわたくしからのオススメは、「おおむね500万円以下で狙える世界の王道」だ。

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  • Car:ポルシェ 911&BMW 3シリーズツーリング 他
  • Conditions:修復歴なし&総額500万円以下(※総額500万円を超えるプランが用意されている場合があります)
text/伊達軍曹