今はなき「サーブ」にあえて乗るという風流
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / EDGE SELECTION
2015/05/20
純正部品が欠品しても豊富なサードパーティ製部品で何とかなるはず
カーセンサー.netではなくこちら「カーセンサーEDGE.net」を読んでいるというその時点で、あなたも結構な数寄者(芸道に熱心な人、風流を好む人)であると推測されるわけだが、数寄を極めていくと、人はどんどん「レア物志向」になっていく。何事につけ、より希少なもの、つまり「ありふれていないもの」を求めるようになっていくのだ。
通常、自動車趣味におけるレア物志向は「より高価で希少な車(つまりスーパーカーやクラシックカーなど)」へと流れ着く場合が多い。それはそれで悪くない趣味活動だが、もうちょっと安価に、手頃に、しかしかなり効果的に、己のレア物志向マインドを満足させられる手段はある。
「すでに消滅しているブランドの車」に乗るのだ。
何らかの事情で製造元が破綻したり撤退するなどして、日本から消えてしまったブランドの車に、あえて乗る。……なかなか風流であり、そして路上において希少っぷりを発揮できること間違いなしのオツな選択ではないか。
で、「消滅したブランドの車」といえば、代表的なところではスウェーデンのサーブだろうか。
GMの子会社となっていたスウェーデンのサーブ・オートモービルは、09年に経営悪化のため会社更生手続きに入り、10年にはオランダの「スパイカー」傘下に。しかしその後も業績は振るわず、サーブ・オートモービルは11年12月にあえなく破産。その後は中国企業に売却されそうになったが、諸事情により白紙に。12年にはNEVS社(ナショナル・エレクトリック・ビークル・スウェーデン)がサーブを買収したのだが、今度はなんとそのNEVS社自体が14年8月に破産法適用を申請! ……ということで名門サーブは今、世界的に完全な宙ぶらりん状態で、日本への正規輸入も11年途中で終了している。
以上がここ最近のサーブ車の状況なわけだが、このような状況であるため、日本の中古車市場においてもサーブ車の流通台数はきわめて少なく(5月20日現在、カーセンサーEDGE.net掲載台数は全国でわずか77台)、そのレアっぷりはある意味群を抜いている。しかし、会社が破綻して宙ぶらりんになったといっても車の出来が悪いというわけでは決してない(数年前に試乗したサーブ 9-3のMT仕様は本当に素晴らしい車だった!)。それゆえ、「車の出来はGood!+存在としてかなりレア=数寄者にとってはたまらない選択肢」という計算式が成り立つのである。
しかし、ここで当然のように思い至るのは、「とはいえ破綻したブランドの車ゆえ、部品も欠品してるんじゃないか? そうなると故障したとき極度に困るのではないか?」ということだ。確かにそのとおりである。「軽く故障しました、でも部品がないのでまったく直せません」では乗用車としてお話にならない。
そのあたりの事情が今どうなっているのかは筆者もわからないゆえ、神奈川県横浜市のサーブ専門修理工場「achar(アチャラ)」代表の新井浩志さんに話を聞いた。
新井さん、ぶっちゃけサーブの部品って今どうなんですか?
「正直、もう純正では取れない部品も出てきてますね」
そうなるとユーザーも大変ですし、サーブでご商売をされているacharさんも大変なのでは?
「まあそうですが、でもサーブってアメリカとイギリスではいまだにけっこう人気があるんですよ。それゆえ、アメリカと英国のサードパーティが様々な社外部品を大量に製造して販売してますので、それを活用すれば問題なく整備できちゃうんです」
まったく問題ないわけですか!?
「外装パーツだけは、注文してから日本に届くまでけっこう時間がかかります。しかしその他の部品は注文から到着までかなりスピーディですので、外装部品の手配に時間がかかる点さえ気にならないのであれば、“まったく問題なく維持できる”と言っても構わないんじゃないでしょうか」
……数寄を極めるのに多少の不便は付き物。もしもあなたが「手頃な予算帯における究極のレア物」を求めるのであれば、「今、あえてのサーブ」はなかなかステキな選択なのかもしれない。特に9-3カブリオレとか、かなり怪しい魅力を放つのではないかと思うのだが、どうだろうか。
もちろん万人にオススメできる類の話ではないが、今回のわたくしからの数寄者各位へのオススメは、ずばり「サーブ各車」だ。
- Search the selection!
- Car:サーブ各車
- Conditions:修復歴なし&総額表示あり
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