▲1999年10月から2006年9月まで販売された初代アウディ TT。クーペの他にロードスターも存在した ▲1999年10月から2006年9月まで販売された初代アウディ TT。クーペの他にロードスターも存在した

古くなっても色あせないアウディは初代TTだけ?

なぜそうなるのか、そのメカニズムは不詳だが、アウディ社が作る車というのは新しいデザインであればあるほど、やたらとカッコよく見える気がする。ステキである。しかしそれは、逆に言えば「ちょっと古くなると途端にやや色あせて見える」ということの裏返しでもあり(※個人の感想です)、もしも自分がアウディオーナーになったら「常に最新型に乗ってなくちゃ!」という強迫観念に駆られてしまいそうな気もする。

だがそんなアウディの中にあって、筆者が考えるところによれば唯一、時の流れにまったく負けないデザイン的強さを備えているモデルがある。

初代アウディ TTだ。

▲「円」を反復表現しているのが初代アウディ TTのデザイン上の特徴。99年当時、とにかく斬新だった ▲「円」を反復表現しているのが初代アウディ TTのデザイン上の特徴。99年当時、とにかく斬新だった

初代TTのデザインを語る際に必ず言われるのが「バウハウス的デザインが云々」というものだが、筆者はあいにくバウハウスというものについてまったく詳しくないため、それについて語ることはできない(ググれば何となくそれっぽいことも書けますが、浅いこと書いても意味ないですからね)。しかしとにかく、「力強さ」というものを全然ヤンキーっぽくない感じ(またはマッチョではない感じ)で表現することに成功した超傑作デザインであると、素人ながらに思っている。

普通、人が「力強さ」をカタチで表現しようとすると、どうしてもヤンキーっぽくなったり、もしくはマッチョイズム全開な感じになってしまうものだ。しかし初代TTのデザインは動的でありながら同時に静的であり、力強い造形なのに非常にアタマ良さそうである。そのあたりが、これをデザインしたドイツ系アメリカ人、フリーマン・トーマスという天才の天才たる所以なのかもしれない。

▲ちなみに小ぶりなリアスポイラーは発売後、空力の問題で急きょ追加されたもの ▲ちなみに小ぶりなリアスポイラーは発売後、空力の問題で急きょ追加されたもの

いずれにせよ初代アウディ TTのデザインは、内外装ともに理屈抜きで魅力的である。そしてその魅力は登場からはや16年が経過した今、世の中のデザイン的概況が変わっていくにつれてさらに増しているようにも思える。走りに関しては正直、現行TTの方が上手(うわて)だと言わざるを得ないが、ことデザインに関しては、初代アウディ TTは完全に「名車」だ。まぁ、今はまだ「名車!」と呼ぶにはやや中途半端なポジションなのかもしれないが、今から5年後あるいは10年後、もしも初代TTのフルノーマル車が無事にナイスなコンディションで生き長らえていたならば、間違いなくそれは「ド渋い名車!」と評されることだろう。

▲内装も円のモチーフを反復。車載オーディオのカバーはアルミ削り出しゆえ、実物はかなりの存在感がある ▲内装も円のモチーフを反復。車載オーディオのカバーはアルミ削り出しゆえ、実物はかなりの存在感がある

ご興味のある方はぜひ、今のうちにこの名車候補を手に入れ、手塩にかけて育て、そして近い将来、周囲に自慢してやっていただきたい。今ならばまだ、コンディション良好な1台が支払総額130万円前後で狙える。未来を正確に予測することなどできないが、おそらくは近い将来、初代アウディ TTはコンディション的に荒れた物件が中心となってフタケタ万円の平均価格となり、ごく一部残ったフルノーマル系の上モノは結構なプレミアム価格が付くだろう。まぁわかりませんが、とにかく、初代TTを買うなら今のうちです。たぶん。

ということで今回のわたくしからのオススメはずばり「初代アウディ TT」だ。

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  • Car:アウディ TT(初代)
  • Conditions:修復歴なし&走行6万km以下&総額160万円以下(※総額160万円を超えるプランが用意されている場合があります)
text/伊達軍曹