▲1998年から2007年まで発売されたE46。写真は2002年以降の後期セダン。ヘッドライト下部が流線形になっており簡単に判別可能。トランクも実用的で最もバランスがとれています ▲1998年から2007年まで発売されたE46。写真は2002年以降の後期セダン。ヘッドライト下部が流線形になっており簡単に判別可能。トランクも実用的で最もバランスがとれています

ご相談は「コンパクトカーじゃないコンパクトな車が欲しい」

「ファミリーカーを探しています。駐車場の幅が2mしかなく、人の出入りを考えると全幅1.7m~1.75mくらいが理想です。でもコンパクトカーはイヤです。家族がいるのでファミリーユースという点は外せませんが、(理由はともかく)ムカついたときには爽快なドライブも楽しみたいと思っています! そんな世の中的にはコンパクトカーじゃないけど、コンパクトな車はないでしょうか?

先日、車選びについてこんな相談をいただきました。コンシェルジュといえば少しオーバーですが、ファイナルアンサーへ向けて真摯にお付き合いさせていただきたいと思います。アナタヘのオススメを「買いま……?」

結論から先に申し上げますと、BMWの3シリーズでございます。え、デカくないですか? というご反応はごもっとも。現行3シリーズはもはや5シリーズか? という風格をもつに至っておりますが、今回オススメしたいのは先々代にあたるE46と呼ばれる4代目3シリーズです。

まずはサイズです。全長4470㎜×全幅1740㎜×全高1415mm。全幅は1.75m に収まっていますし、コンパクトといわれる現行BMW 2シリーズクーペとほぼ同じサイズです。しかも4ドアセダン、2ドアクーペ、4ドアワゴンのツーリングがあるので、ライフスタイルに合わせて選べます。

少し、全長が長い気がする……という場合は「ti」と呼ばれる2ドアハッチバックがあります。こちら全長4265mm。もはや立派なコンパクトカーの範ちゅう。なのに、後部座席の広さは4ドアセダンと同じなのです。

▲ファミリーユースにウエイトを置きたければツーリングという選択肢があります。全長は4490mmでセダンとほぼ同じですのでご安心を! ▲ファミリーユースにウエイトを置きたければツーリングという選択肢があります。全長は4490mmでセダンとほぼ同じですのでご安心を!
▲お子さまが小さいうちは、この2ドアクーペがイチオシでございます。子供が勝手にドアを開け閉めするとトラブルを招くことがあります。駐車場で隣の車にドアパンチを食らわす(汗)……ですとか。そういった心配もありません ▲お子さまが小さいうちは、この2ドアクーペがイチオシでございます。子供が勝手にドアを開け閉めするとトラブルを招くことがあります。駐車場で隣の車にドアパンチを食らわす(汗)……ですとか。そういった心配もありません
▲サイズにこだわるなら一択。モデル名は「318ti」。tiは「ツーリング・インターナショナル」の略。こういった小回りの利く小型車に荷物を満載して旅に出る醍醐味もあります ▲サイズにこだわるなら一択。モデル名は「318ti」。tiは「ツーリング・インターナショナル」の略。こういった小回りの利く小型車に荷物を満載して旅に出る醍醐味もあります

手足のように動く運動性能は名車と呼ばれる領域にあります

次の理由は運動性能です。ご本人に掲載の確認は取っておりませんがココバナいたしますと、2004年にル・マン24時間レースで優勝した世界的なレーシングドライバーである荒聖治選手は、何台かある自家用車のうちの1台に、このE46を所有しています。彼いわく……。

「雪道では後輪駆動は不利といわれることがありますが、このBMWは別です。前後バランスが抜群にいいので雪道の上でも思ったラインをトレースしてくれます」

この冬もWRCのようなスノードライブを楽しんだとか。誰でも荒聖治選手のように運転できると保証はいたしませんが、E46のポテンシャルは「世界の荒」が認めた本物です。決して過激だったり、刺激的だったりするのではないのですが、これほどまで手足のように動いてくれる「マシン」はそうそうございません。

もし、もっと過激なマシンをお望みならばM3がございます。こちらはBMW Mが生み出した傑作Mモデルの1台です。ひとたびドライバーが本気になれば、スパルタンなドライビングマシンとして本性をむき出しにします。その実力はサーキットで存分にご堪能ください。

最後に、E46を選んだ理由をもうひとつ。こちら中古車平均価格が約54万円(2015年3月末現在)と、とてもお求めやすくなっており、今欲しい! とはやる気持ちを無理やり抑える必要もございません。

ちなみにBMWといえばシルキー6といった表現があるくらい直列6気筒エンジンが有名ですが、Aさまには直列4気筒の2リッターエンジンをオススメします。エンジンが軽く回頭性も抜群。より気持ちのよい爽快かつ痛快なドライブが楽しめます。さて、「E46を買いま……??」

▲いや、家族があろうとも「漢」になる瞬間がある。いや、そういう瞬間が欲しいという相談者さまにあられましてはM3も推奨したいのです。ちなみに、写真はM3の超軽量バージョンであるCSLです ▲いや、家族があろうとも「漢」になる瞬間がある。いや、そういう瞬間が欲しいという相談者さまにあられましてはM3も推奨したいのです。ちなみに、写真はM3の超軽量バージョンであるCSLです
text/ブンタ
photo/BMW