ガンディーニが手掛けた時代を先取りしたスーパーカー ’72 ランボルギーニ ハラマ
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2015/03/03
※徳大寺有恒氏は2014年11月7日に他界されました。日本の自動車業界へ多大な貢献をされた氏の功績を記録し、その知見を後世に伝えるべく、この記事は、約5年にわたり氏に監修いただいた連載「VINTAGE EDGE」をWEB用に再構成し掲載したものです。
運転が苦にならないマイルドなスーパーカー
松本 巨匠、寒くなってきましたが、今日もよろしくお願いします!
徳大寺 ほんとだな。我々の永遠の煩悩である旧い車たちには最高の季節だよ。君のトライアンフで見に行ってもいいぞ。今だったら快適だ。夏は勘弁してほしいが(笑)。
松本 覚えておきます(笑)。
徳大寺 さて、今日はどこまで行くんだ?
松本 今日は横浜方面です。スーパーカー特集に合わせ、とびきりのお店を見つけました!
徳大寺 素晴らしいな。で、車は何? スーパーカーも結構やってきてるじゃないか。弩級のクラシックフェラーリとかその世界に入ってきちゃうんじゃないか? 275GTやランボルギーニエスパーダなんかもう一度見てみたいな。
松本 巨匠に見に行く車を当ててもらうのが面白いんで、つい試したくなっちゃうんですよ。それで今回なんですけど、巨匠がおっしゃったエスパーダにも共通する面がありますが、どちらかと言うと以前見に行ったことがあるイスレロのGTスタイルをさらに快適にさせたイメージだと思います。
徳大寺 いま言わなかったランボルギーニだとすれば“ハラマ”か“ウラッコ”だな。スーパーカーは12気筒だろうからハラマか? しかしそんな車があったの?
松本 あるんですよこれが。そこのお店には2台もあるんです!
徳大寺 それはまたスゴイな。確か、ハラマってスペインだよな。俺、行ったことあるよ。サーキットがあってさ。フェルチオさんは闘牛の名前以外にもスペインにまつわる名前をつけるんだな。
松本 ランボルギーニ ハラマは1970年にデビューするんですけど、少し利益路線を狙ったんじゃないでしょうか。ガンディーニがデザインしたにしてはマイルドですし、内装も極めて視認性が良く、運転が苦にならないスーパーカーを目指した感があります。
スーパーカー黄金期に生まれた異色のイタリアンGTモデル
徳大寺 スーパーカーだからと言って乗りにくいんじゃ今の時代は不評を買うだろう。そう考えると先見の明があったんだな。ハラマって目立たないだろ? まさかV12気筒が入っているなんてお釈迦様でも気がつかない。ノーズが短く見えるしな。エスパーダはいかにもロングノーズで凄さを感じるけどな。そこが未来へのアプローチだったわけだ。
松本 ボンネットを低くする見せ方をとても工夫していると思いました。ハラマのポイントは幾つかありますが、A、B、Cのピラーの線を上に持ってくると交わるところがBピラーあたりなわけですね。その割にフロントノーズが短く見えてしまい現実離れした印象が薄いイメージなんですよね。なんだか初代ホンダ アコードみたいですよ。
徳大寺 確かにアコードはハラマをギュッと縮めた感じがしないでもないな。確かまぶたのようなヘッドライトだっただろう。ちょっとしたスパイスが実にイタリアは上手いんだ。ヘッドライトを覆うまぶたがミステリアスな雰囲気を醸し出しているだろう。
松本 到着ですね。すごい、本当に2台ありますね(笑)。この2台を同時に見られることはほんと希だと思います。
徳大寺 ほ~。こんなお店が我々の知らないところにあったんだなぁ。まっちゃんも見てみろよ。ライトのところ、なかなかイカすだろう。このオーバーフェンダーのデザインも大胆でいいね。NACAダクトもアクセントと実用を兼ね備えていて。全体的におとなしいんだけどよく見ると大胆なところもある。これがマルチェロ・ガンディーニの神髄だな。
松本 内装もエクステリアに合わせてデコラティブではないじゃないですか。しかしきれいにレストアしてありますね。ランボルギーニ ハラマって実際に見てもおとなしいですよね。でもひとたびイグニッションを回せば別世界へと誘うわけですから地味であってもポテンシャルを秘めていて好感が持てます。
徳大寺 派手な車を作ることは別に難しいことじゃない。でもれっきとしたスポーツカーメーカーがこれ見よがしにならないように作るのは難しいんだよ。当時のフェルチオさんの手腕だからできたことだろうね。奇抜なデザインもいいが、大人の装いをしているのに驚異的な性能を隠し持つ、これもまたスーパーカーの一つのカタチなんだ。
【SPECIFICATIONS】
■全長×全幅×全高:4485×1820×1190(mm)
■車両重量:1540kg
■ホイールベース:2380mm
■エンジン:V型12気筒DOHC
■総排気量:3829cc
■最高出力:350ps
【ナイトインターナショナル】
■所在地:東京都町田市鶴間1855-1
■営業時間:10:30~18:00
■定休日:木曜日
■tel:042-799-2826
【関連リンク】
※カーセンサーEDGE 2015年1月号(2015年11月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています
日刊カーセンサーの厳選情報をSNSで受け取る
あわせて読みたい
- 西川淳の「SUV嫌いに効くクスリをください」 ランボルギーニ ウルスの巻
- EVハイパーカーメーカー「リマック」が今熱い!従来のスーパーカーを猛追するクロアチアの新星【INDUSTRY EDGE】
- 【功労車のボヤき】「オペルとは思えないほどイカしてる!」というトホホな褒め言葉に涙した日もあったけど……。オペル一族の逆襲!?
- 【試乗】メルセデス・ベンツ 新型Sクラス│”新時代の車”を堪能できるラグジュアリーセダンの最高峰!
- ドア開閉音からも分かる卓越したビルドクオリティ、空冷時代だからこそ生きたポルシェの技術力
- 【試乗】新型 フォルクスワーゲン T-Cross│「TさいSUV」はハッチバックよりもどこが欲張りか? 実際に乗って考えた
- 今はもう中古車でしか味わえない高純度FR、国産を代表するミドルセダンのレクサス GS【Back to Sedan】
- 世界で3社しか市販していないレアなFCVの1台、トヨタ MIRAIのドライブフィールに注目! 【EDGE’S Attention】
- 【試乗】新型 アウディ A4 アバント│実用性の高いアバントボディがクアトロらしい俊敏な走りとマッチし、絶妙にバランスがとれた逸品
- アルピナ B8 4.6リムジン。それはある意味「永遠の命」をもつ希少名車だった。【NEXT EDGE CAR】