▲いきなり釣りにハマった筆者。で、まずは安価な初心者用セットをそろえてみたが? ▲いきなり釣りにハマった筆者。で、まずは安価な初心者用セットをそろえてみたが?

結局、安手のモノはすぐに物足りなくなってしまう

私事で大変恐縮だが、齢四十ウン歳にしてルアーフィッシングというものを始め、いきなりズッポリとハマっている。これがまた大変面白く、なぜもっと早く始めなかったのかと後悔しきりなわけだが、それはさておき釣り道に入門してみたことで一つわかったことがある。

それは、釣り道具に限らず世間一般で広くいわれている「初心者に最適な道具=なるべく安くて簡易な何か」というのは実は間違いなのではないか? ということだ。

釣りの世界でいえば「初心者がいきなり高いリールとか使ってもしょうがない」というムードがあり、実際筆者も釣りのメンターにあたる人物からロッド(竿)とリールのセットで9800円という格安品を勧められ、それを現在使用している。我がリール単体の実勢価格は4000円前後であり、中級者向けとされているリールの価格がおおむね1万5000~2万円といったところなので、わたしのそれは紛うことなき格安品というか、よくあるビギナー向けの製品である。

▲ロッドとリールのセットで9800円という筆者の道具。普通に使えることは使えるが…… ▲ロッドとリールのセットで9800円という筆者の道具。普通に使えることは使えるが……

……その選択が間違いだったとは思わないし、今も実際フツーに使えてはいる。さらに言えば「道具をそろえてはみたもののソッコーで飽きて押入れにしまい、その後二度と使わなかった」というのもよくある話なので、「まずは安いものを勧めて様子を見た」というわたしのメンターの判断は正当だったいえるだろう。

しかしというか何というか、わたしの場合はいきなり結構なハイペースで釣りにハマっていった。すると、始めめてからまだ2ヵ月しかたっていないというのに早くも4000円級の格安リールには飽きあきしてしまい、もう少しだけ上級で高機能なモノが欲しくてたまらなくなってしまったのだ。

だが、このことで我がメンターを責めるのも筋違いであろう。前述のとおり「ソッコーで飽きて押入れに……」という可能性も大いにあったからだ。その場合は、被害額というか損失額は少ないに越したことはない。つまりは「まずは安いのを買って様子を見る」という、まさに我がメンターが取った方策が正解なわけだ。

これらのことから導き出される「初心者が買うべきギアの適正水準」というか行動基準は、以下のようなものであるだろうと不肖筆者は考える。

1. その分野にハマりそうかどうかまったく読めない場合は、なるたけ安いやつを買って様子を見る
2. ハマりそうな予感が多少なりともあるならば、いわゆる「ビギナー向け」ではなく、もう少しアドバンストな「中級者向け」ぐらいを買ってみる(※上級者向けを買っても絶対使いこなせないので、それは買わない)

上記2の行動を取ったものの結局ハマらず押入れへ……というケースもあろうが、そうなった場合は自業自得というかサンクコストとしてあきらめ、そして忘れてしまうのが良いだろう。ヤフオクに出すという手もあるし。いずれにせよ上記2つの選択肢が、この2ヵ月の大半を釣りというものに投じてみた筆者の絶対的体感である。

そして、そんな釣り人初心者としての体感と、輸入中古車記者歴20年の経験を足し合わせたうえで「輸入車ビギナーが最初に買うべき中古車は?」ということを考えてみても、答えは上記とほぼ同じになる。すなわち、

1. ハマりそうかどうかイマイチ読めない場合は、安めの車を買って様子を見ましょう
2. ハマりそうな予感があるならば、ありがちな「ビギナー向け」ではなく、もう少しディープな車を買ってみましょう(※ディープすぎるものや高すぎるものは何かと大変な部分もあるので、それは買わない)

ということだ。買った後に「やっぱダメだ、車は国産車に限る」という結論になる可能性もあるわけだが、もしも輸入車の魅力にズッポリとハマった場合、雑誌や店などが無責任にビギナーに勧める「お手頃入門モデル」では早期に物足りなさを覚えてしまうリスクがある。ならば、最初からある程度ディープな個性を備えたモデルを買ってみるべきなのだ。

▲例えば同じコンパクトカーでもルノー ルーテシアRS(旧型)のような濃い口コンパクトにする、とか ▲例えば同じコンパクトカーでもルノー ルーテシアRS(旧型)のような濃い口コンパクトにする、とか

とはいえ、あまりにもディープなモデルだと、初心者の手には負えない事態が発生する可能性もあるので、そのあたりの塩梅は難しいところではある。で、輸入中古車記者歴20年の不肖筆者が考える「輸入車ならではのディープな個性と、初めての人でも何とかなる普遍性や便利さ(つまりディーラー網が充実していたり専門店が多かったり、または同好の士が多いということ)を備えている比較的安価なモデル」は、以下のとおりだ。

荷物や人を載せる予定がさほどないのであれば、無難なコンパクトカーではなくコレ、スマート ロードスターはどうだろうか。絶滅間近とも思える希少車であり、「希少性」というのは輸入車道の真髄の一つだ。

▲スマート フォーツーのエンジンを高出力した3気筒ターボを搭載するスマート ロードスター(絶版)。上りはさておき、峠の下りではそんじょそこらの280psカーにも負けない走りを披露する ▲スマート フォーツーのエンジンを高出力した3気筒ターボを搭載するスマート ロードスター(絶版)。上りはさておき、峠の下りではそんじょそこらの280psカーにも負けない走りを披露する

安さを求めて中途半端に古い年式の輸入中古車を選ぶぐらいなら、ボルボ 240エステートぐらいグッと古いやつを選んだほうがより満足できる可能性は高い。1970年代からほぼ不変のデザインとなるクラシカルなモデルだが、専門店が多いためいろいろ面倒をみてもらいやすく、そもそも作りがシンプルなのでややこしい壊れ方はしない。

▲1970年代から、ほぼそのままの形で1993年まで販売されたボルボ 240エステート。「道具」であることに徹した質実剛健な走りと、見てのとおりのクラシカルな味わいが最大の魅力だ ▲1970年代から、ほぼそのままの形で1993年まで販売されたボルボ 240エステート。「道具」であることに徹した質実剛健な走りと、見てのとおりのクラシカルな味わいが最大の魅力だ

キリがないのでこの辺でやめておくが、ほかにも「アルファ147(MT限定)」「プジョー 106」「ルノー ルーテシアRS(旧型)」等々、せいぜい総額160万円以下ぐらいで買えるのに、この道のベテランも一目置くモデルはたくさんあるものだ。せっかく輸入車を買うなら極力、日本車とは違う独自の魅力を備えたモデルに「最初から」乗っていただきたいと祈念する不肖筆者なのである。

ということで今回のわたくしからのオススメは「初めての人にとってちょうどいい塩梅のディープさと手頃さを兼ね備えた輸入車」だ。

  • Search the selection!
  • Car:スマート ロードスター&ボルボ 240エステート&プジョー 106&ルノー ルーテシアRS(旧型)&アルファ・ロメオ 147(MT)
  • Conditions:修復歴なし&総額160万円以下(総額160万円を超えるプランが用意されている場合があります)
text/伊達軍曹