▲35年の歴史をもつGクラスはメルセデス・ベンツの顔でもある。このフロントマスクも35年間、基本的に変わっていない ▲35年の歴史をもつGクラスはメルセデス・ベンツの顔でもある。このフロントマスクも35年間、基本的に変わっていない

「良いものは良い」という当たり前は車選びにも当てはまる

風が強くて強烈に冷え込みそうな冬の日は、今年で25年目を迎えたネイビーのダッフルコートを持ち出す。セールで3割引だったが、学生時代にアルバイトで貯めた10万円を使い切って購入した。

デザインはド定番。だがコートの裏を見ると縫製が凝っていた。生地の端はすべてにパイピングが施してあり、厚手の手袋ごと手を突っ込むと負担のかかるポケットには裏から補強のパネルを当てて縫ってある。分厚いウール100%の生地は毛羽立つこともなく、ヤレるどころかじわじわと使い込んだ風合いが出てきた。ただ、欠点がないわけではない。重厚な作りゆえに重いのだ。

このダッフルコートからは「良いモノはやはり良い」という当たり前のことを学んだ。

学習能力が多少ある私は、車を買うときも多少無理が利く範囲であれば、本当に気に入ったもの。飽きずに長く乗れるものを選ぶようにしている。妥協して100万円の車を買い、5年ごとに乗り替えるくらいなら、300万円の車を買って15年乗りたいという方向だ。

▲Gクラス誕生35周年を記念して2014年にドイツ本国で発売された限定車(左)と、26年間で90万km走って今も現役の300GD(右)。ヤレるどころか、使い込むほどに存在感を増すタイプの車だということがわかる ▲Gクラス誕生35周年を記念して2014年にドイツ本国で発売された限定車(左)と、26年間で90万km走って今も現役の300GD(右)。ヤレるどころか、使い込むほどに存在感を増すタイプの車だということがわかる

長く飽きずに乗れる車はトータルで考えるとお買い得

そんなコンセプトで最有力候補を挙げるとすればメルセデス・ベンツのGクラスだろう。

理由は3つある。ひとつ目は流行に左右されないこと。SUVに人気が集まろうが廃れようが関係なし。1979年にデビューして35年以上経つがルックスは基本的に変わっていない。そもそも軍用車として使えるように設計されたため、無駄なく合理的。変える必然性を見つけるのは難しい完成度がある。

ふたつ目は作りがシッカリしていること。オフロード走行を前提に作ってあるため、とにかく骨太。走行距離が10万km超えたくらいではビクともしない。ボディの外板にしてもブ厚い。メルセデスが軽量化に関心を抱く前の設計なのだ。言い換えれば、これは欠点にもなる。やはり重厚な作りゆえに重いのだ。

3つ目は価格が安定していること。相場は安くはないものの値崩れもない。この傾向はまだまだ続くと考えられるが、プレミアム化して相場が上昇することは否定できない。2016年以降は製造中止になる、という噂もある。単なる噂であってほしいが、同じく無骨なSUVであるランドローバーのディフェンダーも「製造は2015年まで」とまことしやかにささやかれており、根も葉もない……とは言えない状況だ。

▲英国を代表するSUVブランドのランドローバー。そのランドローバーも製造中止が噂される ▲英国を代表するSUVブランドのランドローバー。そのランドローバーも製造中止が噂される

中古車なら総額300万円以下の物件もある!?

現在、Gクラスを新車で買うとなると998万円(税込)から。実に品質に見合ったお値段となる。カーセンサーnetで調べるとGクラスの掲載台数は138台。平均車両価格は約541万円だが、総額300万円以下で予算を組めそうなのが今のところ存在している(2015年1月13日現在)。選ぶときのポイントは走行距離に神経質になる必要はないことと、下回りを覗いてオフロードを走ってヒットしたような跡がないか確認すること。また、V8エンジンを積む500でなく、直6やV6を積む300や320でも十分に気持ち良く走れるので、予算や好みに合わせて選べば良いだろう。

10年、20年と、乗れば乗るほど愛着が増す車選びを楽しんでみてはいかがだろうか。

▲2001年や2007年(写真)など、ルックスは基本的に変わらないが、内装はマイナーチェンジを受けている ▲2001年や2007年(写真)など、ルックスは基本的に変わらないが、内装はマイナーチェンジを受けている
▲こちらは最初期のGクラスの内装。35年前になるとさすがに古いことは否定できないが、“大人のオトコ”の仕事場のような、無骨な味わいがある ▲こちらは最初期のGクラスの内装。35年前になるとさすがに古いことは否定できないが、“大人のオトコ”の仕事場のような、無骨な味わいがある
text/ブンタ