’61 BMW 3200 SALOON
カテゴリー: クルマ
タグ: EDGEが効いている / VINTAGE EDGE
2014/01/23

BMWというメーカーは昔も今も上品な車を作るよ
当初積まれていた2L直6エンジンでは非力だったため、1951年から2.6LのV8エンジンに変更。そしてそれをベースに3.2Lや3.2superというシリーズが生み出された。性能とは裏腹にセールスは不調。原因は先を行きすぎたデザインにあったといわれている。
徳大寺 今日の車は何だい?今回は内燃機関に注目しているんだろう?
松本 おそらくバッチリなモデルだと思いますよ。内燃機関メーカーであり自動車メーカーでもある、こう言えば巨匠ならもうお分かりになりますよね。
徳大寺 それは、そんなにあるわけじゃないからね。我が国で言うなら「ダイハツ」だけど海外メーカーで言えば、BMWしかないな。
松本 社名はバイエルンエンジン製造所ですからね。これほど王道な会社名も珍しいですよ。
徳大寺 モデルはなんだろうな。戦前からスポーツカーの328(*1)に使われている2L6気筒を搭載したモデルなんかいいな。
松本 いいですね。僕もBMW328MM(*2)をモントレーのフェスティバルで見たことがあります。BMWなんですけどイタリアのカロッツェリアトゥーリング(*3)が架装した「スーパーレッジェーラ」でしたね。今日のは戦後のサルーンモデルなんです。初期のモデルは巨匠のお好きな6気筒2Lを搭載していたんですよ。
徳大寺 ほー。それじゃあれじゃないか、BMW 501サルーン。戦後BMWは高級車で勝負するんだけど、うまくいかなかった。おそらくデザインが優雅すぎて時代に合わなかったんじゃないかな。そのサルーンは初めOHVの6気筒だったんだ。でも、2Lではパワー不足だったのだろうね。その後OHVの8気筒を作ったんだ。
松本 巨匠。まさに今回見に行くのは501(*4)サルーンの最終型と言える3200サルーンです。
徳大寺 初めに作られたオールアルミ製のV型8気筒は2.6Lなんだが、年式は何年なんだ? 排気量とモデルから年式はだいたい想像つくが。
松本 なるほど。BMW501の高級車バージョンが1954から62年まで販売されますが、そのモデルが502になりますね。その時点でもまだ2.6Lですが、1955年からより余裕のある走りを得るために3.2Lまで拡大するんです。そのモデルから3.2Lや3.2superなどと呼ばれるようになっています。見に行くモデルは3.2superというバッジがトランクフードに装着されているので、1957年から63年に生産された、およそ1300台のうちの1台でしょう。
徳大寺 スポーツカーじゃないから現存しているのはとても珍しいな。お店はいつもお世話になってるヴィンテージ湘南さんだろう?
松本 先日、メルセデス・ベンツでお世話になった時に奥にひっそりと佇んでいるのを見つけて、じっくり見ておいたんですよ。
徳大寺 そろそろじゃないか。
松本 到着しました。ハイエンドラグジュアリーというモデルですが、上品な大きさですね。写真よりも身が締まって見えますね。
徳大寺 これは程度がいい。ブルーだけど紺色に近いな。BMWというのは昔も今も上品なんだ。この車を見ると突然ではなく歴史的にそうだということがよくわかる。基本は戦後すぐのデザインで、63年前のモデルだ。戦前からのデザインを踏襲している部分は否めないのに、上品だ。観音開きだから後部席が優先の車だね。特に前開きは女性が脚を広げないで乗り降りができるように作られているんだ。
松本 なるほど。内装も落ち着いていていいですね。ベルベットは高級車の一つの証ですからね。滑りづらく、温かみもあり落ち着いています。このシートの雰囲気から察するとオリジナルですね。素晴らしい。
徳大寺 エンジンも高級車に相応しく静粛性は抜群だな。この手の車は乗りやすくないとダメなんだよ。先程お店の人に聞いたけど、50年前の車とは思えないほど乗りやすくて驚いたそうだ。トルクがあって粘りもある。そういうエンジンは自然と燃料消費も少なくて済む。昨今のエンジンと考え方は変わらないんだ。これは余談だけど、BMWのV型エンジンのノウハウをメルセデスは随分と参考にしたといわれるけど、この60年以上前に設計されたエンジンを間近にすると、やはり何となく似ていると思うよ。
松本 確かに似てますね。
徳大寺 エンジンの佇まいがいいよな。見た目にもゆとりのある高級なエンジンだ。さすがエンジン製造所を社名にしているだけはある。




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