ボルボ V60|伊達セレクション
写真上はボルボのステーションワゴン「V60」。比較的コンパクトなサイズゆえ大量の荷物を載せる人には向かないが、ビジュアルも走りもシートの作りも、そして雰囲気も、現役ステーションワゴンでは最高レベルの一つ。写真下のプジョーRCZも、いかにもフランス車らしい全体と細部の美しさに加え、ソフトな乗り味でありながら、競合のアウディTTに勝るとも劣らぬ走行性能も発揮するステキなクーペだ。そして両者とも、いまだバリバリの「新車感」を保っている
プジョー RCZ|伊達セレクション
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「新車として良い」と「中古車として狙い目」は話が別

筆者は常々「中古の輸入車を買うなら古めの“味わい系”か、そうでなければ新しめの“新車と見まがう系”。中途半端がいちばんいけない」と言っている。で、有言実行とばかりに94年式のランチア デルタインテグラーレという味わい系に乗っているわけだが、“新しい系”も当然嫌いなわけではなく、つい先ほどまで、ボルボ V40 T5 R-DESIGNなる車に試乗していた。

ボルボ V40 の詳細で真面目なインプレについては著名なセンセイ方にお任せするとして、筆者が気づいたのは以下のポイントだ。

「V40は、走行中に車内がミシミシいわない」

いや、常日頃新しめの車に乗っている人からすれば「何を今さら」だろうが、年季が入った車にばかり乗っていると、「車というのは常にミシミシ音がするのが普通である」という、誤った常識が脳内に生成されてしまうのだ。とくに、デルタに乗っているとそうなる。V40に限った話ではないが、新しい車は走ってもミシミシいわない。それだけでも、“新車と見まがう系”を買う意義は大いにある。

問題は、様々ある“新車と見まがう系”のなかでどれを買うか? ということだ。

たまたま話に上がったボルボ V40か? たしかに良い車だが、中古車としてはまだオススメではない。いやダメということはないのだが、登場から約10カ月しかたっていないため、中古車相場は新車時価格とさほど変わらない。つまり、株式で言うところのPER(株価収益率)がイマイチなのだ。価値は高いが価格も高いということで、現時点では「お買い得銘柄」とは言い難いのである。

まさかの200万円台には絶対見えないボルボ V60&プジョー RCZ

“新車と見まがう系”の輸入中古車を探す場合は、この「PER」が重要となる。株式のPERと違って輸入中古車のそれを算出する明確な計算式はないが、とにかく「価値は高いのに価格が安い」という銘柄を徹底的に洗い出すことだ。これが意外と難しく、たいていの場合、価値が高い(=新車と見まがう率が高い)モノは価格が高く(=新車価格とさほど変わらず)、価格が安いモノは価値が低い(=あんまり新車と間違えてもらえない)となってしまうはずだ。

様々な意見はあろうが、筆者の勘ピュータによれば、今もっともPERが良好な輸入中古車は、ボルボのスタイリッシュで小ぶりなステーションワゴン「V60」と、プジョーの流麗すぎる2+2クーペである「RCZ」の2モデルだ。

グレードや状態にもよるが、ボルボ V60の現在の相場的イメージは「新車時オプション抜きで395万円だった11年式DRIVeの走行1万km台物件が、今だいたい200万円台後半」。プジョーRCZのそれは「同じくオプション抜きで399万円だった10年式1.6Lの走行1万km前後物件が、200万円台後半」だ。

両者とも、あと2年もすれば中古車相場はさらに下がるだろう。しかし、そのときは同時に価値(この場合は新車で買ったと間違われる率)も下がるわけで、PERが好転するわけではない。今この瞬間が、まさに旬なのである。

中古車を買うにあたっては、これ以外にも様々な価値観はあってしかるべきだ。しかし、こと新しめのモデルを買うにあたっては「PER」を重視しなければならない。かのウォーレン・バフェットも昔、筆者の取材に対して「中古車モ、ピーイーアールガ大事ダヨ」と言ってたしね(←嘘です)。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
中古車的PERは最高値の(?)ボルボV60&プジョーRCZに注目を!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE