【オンリーワンを探せ】超個性的なファストバックセダン、日産バイオレット
2013/12/17
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年12月10日に発見したのは「日産バイオレット」です。1973年にデビューした車で、高級路線に進化したブルーバードの後を担う位置づけでした。
4ドア・2ドアともにリヤエンドに向けて一気にルーフラインが傾斜する「ファストバックスタイル」でデビュー。今見ても斬新なスタイルをしています。日産が鋼板プレスにおいて“3次曲面”にこだわりはじめた頃で、フロントフェンダーからリアフェンダーにかけて今みても複雑なラインをしています(写真では明るすぎるためちょっと見えにくいですが)。
今でこそ4ドアクーペが流行っていますが、この頃には早過ぎたデザインだったのかもしれません。今でも有名な某自動車本で「買う人の気が知れない」など、当時はケチョンケチョンに言われていたことが思い出されます。
そのためか、デビューから3年後にはノッチバック(リアガラスが固定されトランクが独立)の“普通”な4ドアセダンが追加されました。タクシーとして用いられることも多かったので記憶にある方もいらっしゃることでしょう。でも、個人的には絶対ファストバックのほうがイイと思います!
サニーより上、ブルーバードより下、というヒエラルキーに収まったバイオレット。大衆車でありながら、日産の大胆さを表した“攻めたデザイン”や、40年間、廃車にされずに残ってきた“生命力の強さ”に感心してしまいます。
当該車両のグレードは「GL」ですから、スポーティなモデルではなくノーマルなモデルです。全長4120㎜、車重1トン未満という小柄な車体で、最高出力85psの1.4L 4気筒エンジンを搭載しています。今乗ればスピードや見栄などとは無縁の解脱した雰囲気を味わえるでしょう(笑)。
それでも抜群に個性的ですし、最近では珍しい小ぶりなボディもキュートです。絶版になってしまった車すべてに言えることですが、これからは減る一方です。「ノスタルジックな気持ちに浸りたい」、「スタイルにこだわりを持っている」、「珍しい車に乗りたい」とお考えの方にバイオレット、オススメです。
Text/古賀貴司(自動車王国)