シトロエン C5ツアラー|伊達セレクション
写真上はシトロエン C5ツアラーの3.0エクスクルーシブ。1.6L直噴ターボとなった10年5月からのモデルも悪くないというか、燃費等の面ではむしろそちらに分があるが、「ステーションワゴンらしい鷹揚な走り」という点では前期型3Lエンジンのほうが個人的には好ましい。また写真下のようなディーゼルターボエンジン採用モデルも、極太トルクを活かしてユルユル走るのが気持ちいい存在だ
M・ベンツ Eクラスステーションワゴン|伊達セレクション
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ダウンサイジングターボはステーションワゴンには似合わない?

過日、VW パサートヴァリアントTSIハイライン ブルーモーションの2013年モデルに乗る機会があった。ご承知のとおり全長約4.8m、全幅1.8m超のまずまず大柄なガタイに、排気量わずか1.4Lの直噴ターボエンジンを組み合わせた、いかにも今風の“ダウンサイジングなニクいやつ”である。

これがまた素晴らしい車で、スペック関係の数字をすぐ忘れてしまう傾向がある筆者は「速いな~。これって確か2Lの直噴ターボだったっけかな~」などとのんきに勘違いしてしまうぐらいのパワー感がありながら、燃費はJC08モード17.6km/Lと優秀。フォルクスワーゲンらしい全体のしっかり感と内装の作りの良さは言わずもがなで、とにかく素敵なワゴンというか長距離ツアラーであった。

……であったのだが、「じゃあ、お前コレ買うか?」と問われれば、「や、買いません」と答えるほかない。なぜならば、パワー自体は十分なれど、そのパワーを「ひねり出してる感じ」が、ステーションワゴンといういわば長距離ツアラーにはどうにも似合っていない……と感じてしまうからだ。

動力性能にはなんら不足はない。ごく一部の飛ばし屋さんを除き、これを不満に思う人は少ないだろう。しかしこの1.4Lエンジンを回転させるドライバーは、排気量の少ないエンジンが「頑張ってる感じ」を常に感じてしまうのだ。それが、ドライバーをどうにも落ち着かない気分にさせるのだ。

大排気量車でユルユルと。高額なコストは中古車ということで相殺!

小型車であればそれでもまったく問題ないが、ある程度のサイズと存在感がある車の場合は、もっと大排気量なエンジンをユルユル回しつつ「鷹揚な感じ」で走るほうがシアワセなのではないか? と思うのである。

むろん燃費の面でも税金の面でも時代背景の面でも、正義はダウンサイジングターボにある。筆者が言っていることなど邪道なのだろう。しかし、人間の欲求というのはいかんともしがたく、わたし個人としてはステーションワゴンに乗るなら小排気量ターボで頑張って走るより、3Lか4L、あるいはいっそ5Lぐらいのモデルを選びたい。

で、アクセルペダルに足を乗せてるか乗せてないかわからないぐらいの踏み具合で、ときにグイグイと、またときにユルユルと、助手席のご婦人とのんびり話でもしながら長距離を走破したいのだ。

その際に問題となるのは「大排気量車は燃費があまり良くない」「そもそも車両価格が高い」「税金も高い」ということだが、「新車よりも割安な中古車を選ぶことで、そのあたりの金銭的デメリットは割と相殺できちゃうんじゃないですか?」というのが筆者からの提案だ。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。

排気量3L以上のステーションワゴンでユルユル走りませんか?


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE