フィアット 500|伊達セレクション
写真上は現行フィアット500のご先祖様にあたる2代目フィアット500。こういった車は若い男性が乗るのもステキだが、シブい中高年がサラリと乗るとさらにシブく見える可能性大。フィアット500ではさすがに古すぎて小さすぎる……という場合は写真下のルノー 4などどうだろう? いずれにせよ、こういった車が普通に似合うダンディな老人を目指したいものです。
ルノー 4|伊達セレクション
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中高年男性が国産コンパクトカーに乗るリスク

先日、アニメーション作家の宮崎駿氏が引退を発表したわけだが、わたくしたち自動車愛好家も、いつの日か免許を返上して「引退」しなければならない。まぁその日はずいぶん先のことと思うが、「車両寸法のダウンサイジング」に関しては、現実的な必要性に迫られている人もいるだろう。視力や運動能力、注意力等々の衰えを鑑みて、大柄な車から小ぶりな車へと乗り替える行為だ。

だが、「車のダウンサイジング」は難しい。とくに筆者のようなおっさんが“しょぼくれた感じ”にならないように車のサイズを落とすのは難作業だ。

実例を挙げよう。筆者が懇意にしている、フェラーリに関する“宗教”を立ち上げていて、金髪だったこともある某自動車評論家氏の話だ(←バレバレですかね)。氏はある時期、「研究のため」として軽自動車に乗っていた。筆者は氏の立派な人格を存じ上げていて、普段はフェラーリに乗っていることも知っているので、軽自動車に乗っている姿を見てもとくに感慨はなかった。しかしあるとき、そういった先入観なしで、氏がダイハツ エッセを運転する姿を眺めてみた。

……しょぼくれたおっさんにしか見えなかった。

エッセが悪いわけでは決してなく、MJブロンディ氏がどうこうという話でもない(あ、名前出してしまった)。「我々おっさんがシブく見える小型車を探すのは簡単ではない」という話である。

そんな状況下でダウンサイジングを行うなら、まず国産コンパクトは選択肢から除外するべきだろう。大変申し訳ないが「おっさんが乗ってシブく見える小型車」というのを、筆者は日本車のなかから見つけることができない。乗るならやはりヨーロピアンコンパクトだと確信している。

中高年が輸入コンパクトに乗るなら、最新か激古のどちらかだ

そのなかでも「中途半端な年式」は避けたほうが良いだろう。「中途半端にしょぼくれたおっさんが、なんか無理してる」感じに見えてしまうリスクがあるからだ。それゆえ、選ぶなら「最新か、逆にグッと古いやつ」がいい。どちらを選んでも、シブくてダンディな、それでいて遊び心もある、ステキなおっさんに見えること間違いなしである。

最新世代のヨーロピアンコンパクトを選ぶなら、話は簡単だ。新車ディーラーや認定中古車センター、あるいは高年式物件を得意とする中古車ショップに行ってテキトーに見つくろえば、まずハズすことはないだろう。

問題は「グッと古いやつ」を探す場合だ。しかしこれも、じつはさほど難しいことではない。ある種のブラックボックスである中古車の、歯車ひとつの状態まで見極めるのは事実上不可能だ。しかし物件軸ではなく「人間軸」で検索をかければ、古めの輸入コンパクトであっても大ハズしはしないものなのだ。

具体的には、自分が何らかの会社を経営していると仮定して、その会社に、その店の店主や担当スタッフを採用したいか? と考えてみるのだ。そこで「うむ、この人ならぜひ我が社で働いていただきたい!」と思えた店主や担当スタッフが販売する物件は、グッと古いやつであっても、たいていの場合はノープロブレムだ。

筆者はこれまでこの手法だけで数々の輸入中古車を購入し、「宇宙イチ壊れる」という噂もあるランチア デルタHFインテグラーレに対してさえ大勝利を収めた。手法の信頼性は完璧である(たぶん)。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
グッと古い輸入コンパクトに乗って「シブいおっさん」になろう!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE