ルノー カングー|伊達セレクション
写真は上下とも旧型ルノー カングー。02年のデビュー当初はこれとはちょっと違う顔つきでエンジンも1.4Lだったが、03年8月にフェイスリフトを受けエンジンも1.6LDOHCに。リアゲートは全車観音開きというわけではないのだが、現在流通している旧型カングーの大半が観音開きである。
ルノー カングー リアビュー|伊達セレクション
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「旧型のほうが良かった」ということもたまにあります

今年1月にフルモデルチェンジされた新型M・ベンツAクラスは、まさに衝撃であった。旧型からの超変貌っぷりは、まるで「地味だった同級生が、夏休みが終わって2学期になったら金髪になって妊娠してた」ぐらいの驚きである。

とはいえAクラスの場合、車の中身的にも新型のほうが旧型よりかなり優れていると思われるため特に問題はないのだが、世の中には「旧型のほうが断然良かったのに……」と思ってしまうモデルチェンジも、希にだが発生する。

例えばルノー カングーだ。

02年に登場した初代カングーは、1.4L/1.6Lの失礼ながら比較的どうでもいい感じのエンジンを積んだフルゴネットだったが、何よりそのコンパクトなサイズが功を奏し、走ってみれば「どうでもいいエンジン」とは思えないほど活発で、そして日本の狭い道幅でも扱いやすいということで、最高にゴキゲンだったのだ。

しかし09年からの2代目(現行型)は諸事情により全幅が155mm拡大され、車両重量も260kg、つまり成人男性4人分ほど増加してしまった。それでいてエンジンは旧型に搭載されていたのとほぼ同じであるため、まぁハッキリ言ってしまえば鈍重になってしまったわけである。

好バランスな旧型カングーを探すなら今が最後か?

もちろん現行カングーにも良いところはあり、前述のサイズアップはそのまま「居住性の改善」につながっているし、走行中のノイズやバイブレーションの遮断に関しては現行のほうが圧倒的に上だろう。

それでもやはり筆者個人としては、カングーならば走りの良さゆえに旧型こそを推したいところだ。

さて、そのように旧型カングーを愛するのはもちろん筆者の専売特許ではなく、非常に多くの輸入車愛好家が思っているところでもある。それが証拠に旧型カングーの中古車相場は一時期なかなか下がらず、結構な高値をキープしていたものだ。人気ゆえの現象である。

しかし、その後はさすがの旧型カングーも相場を下げ、フタケタ万円の物件も続出したが、それらの多くは走行距離がかなり延びている物件だった。まぁこのあたりはそもそもMPV(多目的乗用車)であることと、デビュー以来の年月を考えれば致し方ないところだろう。

そして今この瞬間は、「まだまだ走行距離は比較的短めだが、価格は比較的お手頃」という旧型カングーもそこそこ残っているタイミングだ。この稀代の名車が「絶滅」する日はまだまだ先のことだろうが、「いい塩梅の中古車」を手に入れるなら、そろそろ「締め切り」は近いかもしれない。

ということで、今回の伊達セレクションはずばりこちら。
すべてがナイスバランスな旧型カングー、どうでしょう!


文・伊達軍曹 text/Sergeant DATE