▲ディノがスウェーデンで撮影した、フォルクスワーゲン タイプI。ご存じビートル。しかし普通のビートルではなく、フロントにBMWの直6エンジンを積んでターボで過給。400馬力になっている ▲ディノがスウェーデンで撮影した、フォルクスワーゲン タイプI。ご存じビートル。しかし普通のビートルではなく、フロントにBMWの直6エンジンを積んでターボで過給。400馬力になっている

古い車を大切に乗れる環境が整えられるべき!

世界中にファンのいるフォルクスワーゲンのビートル(タイプI)。しかしディノがシューティングした(撮った)ビートルは普通のカブトムシではありませんでした。ディノいわく「ビートルにはどんなスタイルのカスタマイズも似合う!」とのこと。古い車を大切にするだけでなく、それを自分流に乗り続ける文化もあるのだとか。そこをリスペクトすべきだというのです!

ブンタ:お、ビートルだ! かわいいね。

ディノ:1973年式のフォルクスワーゲン タイプIだね。

ブンタ:ん? なんかヘンだね。

ディノ:わかった?

ブンタ:あ、エンジンが前にある……。

ディノ:そう! エンジンをフロントに積んでいるだけじゃなく、エンジンはBMW製のM50B25型に換装しているんだ。

ブンタ:わーお、5シリーズとかに積まれていた直6の2.5Lだね。

ディノ:それにターボチャージャーを付けて、ノーマルの192馬力から400馬力へパワーアップしている。

ブンタ:ラジエターが見当たらないね。どうやって冷却してるんだろう?

ディノ:ラジエターは後ろ。もともとエンジンがあった場所に載せてある。

ブンタ:自由奔放なアイデア(笑)。こういうの好き。

ディノ:ビートルの良いところは、カスタマイズして、いろんなスタイルにできるところ。カリフォルニアスタイルからドリフト仕様まで自由自在。

ブンタ:ビートルはシンプルだから、どんなスタイルにもハマるよね。

ディノ:だから今でも世界中で人気がある。古い車を大切に乗り続けている人がたくさんいる。日本でも古い車に対して、もっとリスペクトしてほしい。

ブンタ:海外ではどうなの?

ディノ:25年以上たつと税金がゼロだよ。

ブンタ:え、マジ? どこの国の話?

ディノ:イタリア、イギリス、アメリカ……。日本もそういう“分別(コモンセンス)”をもってほしい。日本にも60年代の車とか、70年代の車とか、例えばスカイラインとか歴史のある車がいっぱいある。エコじゃないからというだけで税金を上げるのはナンセンスだよ。

ブンタ:ここのところ、ヨーロッパを中心に少し古い車がどんどん値上がりしているよね。

ディノ:ビートルはまだ安い方だけどね。ハコスカ(3代目スカイライン)なんかどんどん高騰しているし、トヨタ 2000GTなんてペブルビーチのオークションで1億円の値段がついた。世界中で日本の車が認められているのだから、日本でも古い車を大切に乗り続けられるようになってほしいよ。

ブンタ:本当だよね、大賛成!

【おさらい】愛称ビートル、フォルクスワーゲン タイプIはこんな車だった!

▲世界中に“信奉者”がいるビートルだが、もともとは大人2人と子供3人が乗れる居住性に、ガソリン7Lで100km走れる(1Lあたりの燃費が14.3km以上)経済性を目指してデザインされた実用車だった ▲世界中に“信奉者”がいるビートルだが、もともとは大人2人と子供3人が乗れる居住性に、ガソリン7Lで100km走れる(1Lあたりの燃費が14.3km以上)経済性を目指してデザインされた実用車だった

第二次世界大戦前、国民車を生産するために国営企業の「ドイツ国民車準備会社」がアドルフ・ヒトラーによるトップダウンで設立されました。このとき生まれた国民車こそがタイプI(通称ビートル)だったのです。

開発はあのフェルディナント・ポルシェ博士(後のポルシェ社創業者)。パッケージがユニークで、空冷水平対向4気筒エンジンをリアに積み、後輪を駆動するRRでした。愛らしいデザインと高い実用性で多くの人に支持され、アメリカをはじめとする世界中に輸出されました。2003年に生産終了されるまで、実に約2153万台が作られたそうです。日本には、1953年にヤナセが105台を輸入したのが初めとされています。

▲ダッレ・カルボナーレ・ディノさん。イタリア人。「ディノ」のファーストネームは車好きのお父さんがフェラーリの名車にちなんで命名。生まれついての車好きなのです。世界中のカッコイイ車にスポットを当てる『SPEED HUNTERS』に所属。今日もどこかで車の決定的な瞬間を狙っている ▲ダッレ・カルボナーレ・ディノさん。イタリア人。「ディノ」のファーストネームは車好きのお父さんがフェラーリの名車にちなんで命名。生まれついての車好きなのです。世界中のカッコイイ車にスポットを当てる『SPEED HUNTERS』に所属。今日もどこかで車の決定的な瞬間を狙っている
text/ブンタ photo/ダッレ・カルボナーレ・ディノ、フォルクスワーゲン、graaab