▲今やちょっと古さも感じる旧型フォルクスワーゲン ポロだが、SUV風の「クロスポロ」なら? ▲今やちょっと古さも感じる旧型フォルクスワーゲン ポロだが、SUV風の「クロスポロ」なら?

ボディ色がオレンジやライムであれば特に高コスパ!

輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、仕事中に飲むお茶はペットボトル入りを買うのではなく、得用サイズのティーバッグ麦茶をヤカンで淹れながら、ニッポンの中流ど真ん中を生きている。

そんなわけだからして輸入車を買う場合も「予算はおおむね100万円以内。やむを得ずそれを超過する場合もだいたい150万円ぐらいまで」というのが自分ルールだ。贅沢を言えばキリがないのは当たり前だが、そういった予算でもステキな輸入車というのはけっこう選べるもので、例えばフォルクスワーゲンの旧型クロスポロなどはその好例だ。

▲2006年9月から2009年10月まで販売された、当時のフォルクスワーゲン ポロをベースに作られた旧型クロスポロ。車高を20mm上げたうえで、SUV風のデザインを随所に取り入れたモデルだった ▲2006年9月から2009年10月まで販売された、当時のフォルクスワーゲン ポロをベースに作られた旧型クロスポロ。車高を20mm上げたうえで、SUV風のデザインを随所に取り入れたモデルだった

旧型ポロ自体、その後期型はなかなか悪くない車ではあった。しかしいかんせん、その後に登場した現行ポロのTSIエンジン搭載車があまりにも素晴らしかったため、存在としては完全に霞んでしまった。実際、中古車相場も現行ポロがおおむね90万~200万円というボリュームゾーンを維持しているのに対し、旧型ポロ後期型は30万~60万円が中心という安定の超激安路線。

高コスパ車を探している筆者としては別に超激安路線でも構わないっちゃ構わないのだが、そんなわたくしにもいちおう見栄はある。「激安で人気薄な古い小型車に乗ってるおっさん」に見られるよりは「ちょっと洒落た何かに乗ってるセンスの良いおっさん」には最低限見られたいのだ。となると、普通の旧型ポロでは少々厳しい。他に何かこう、安価なれどステキな選択肢はないものだろうか……となったときに救いとなるのが、前述の旧型クロスポロなのだ。

▲ちなみにコレが普通の旧型フォルクスワーゲン ポロ後期型 ▲ちなみにコレが普通の旧型フォルクスワーゲン ポロ後期型
▲で、こちらが旧型クロスポロ。……イメージというか「今っぽさ」がまったく違うことがよくわかるはず ▲で、こちらが旧型クロスポロ。……イメージというか「今っぽさ」がまったく違うことがよくわかるはず

よくご存じの方も多いだろうが、クロスポロというのは通常のポロをSUV風に仕立てたモデル。SUVではなく「SUV風」なので、強力な四輪駆動システムとかそういったモノは一切ない。機構的にはせいぜい専用サスペンションにより通常モデルと比べて車高が若干上げられ、オフロード車風のバンパーが採用されている程度。その他、バンパー下部のカラーリングやボディ下部とフェンダーアーチモールの素材を変え、そしてルーフレールを追加することで、それっぽい雰囲気にしている。要するに「なんちゃってSUV(クロスオーバー)」なのだ。

硬派な車好き諸兄はクロスポロの「なんちゃって感」を唾棄すべきものと考えるかもしれないが、筆者に言わせればクロスポロのなんちゃって感は、特に旧型クロスポロのそれは、かなり「いい仕事」をしている。

通常の旧型ポロ後期型では2015年の今、“型遅れ感”がどうしても炸裂してしまうわけだが、SUV風の装飾が施された旧型クロスポロは、今現在の視点で見てもさほどの古さを感じさせないのだ。特にオレンジやライムなどの華やかなボディカラーであれば「イケてる」とさえ評せる。それでいて相場的には50万~90万円あたりがボリュームゾーン。……フタケタ万円の予算感で「イケてる感じ」の欧州コンパクトカーを探したいと考えている人には、旧型クロスポロはなかなかの絶好球かと思うのだが、どうだろうか。

▲ボディカラーがオレンジまたはライムの場合は、ざっくりとした素材のファブリックインテリアもボディと同系色となるため、なかなか華やかでファッショナブルな印象に ▲ボディカラーがオレンジまたはライムの場合は、ざっくりとした素材のファブリックインテリアもボディと同系色となるため、なかなか華やかでファッショナブルな印象に
▲実際に悪路を走るかどうかはさておき(というかクロスポロはそもそもそういう車ではないが)、この「なんとなくアウトドアスポーツっぽさを感じさせる雰囲気」が旧型クロスポロ最大の魅力だ ▲実際に悪路を走るかどうかはさておき(というかクロスポロはそもそもそういう車ではないが)、この「なんとなくアウトドアスポーツっぽさを感じさせる雰囲気」が旧型クロスポロ最大の魅力だ

もちろん繰り返し述べてきたとおり、クロスポロの「クロス」は基本的になんちゃってであるため、本格派のSUVやクロスオーバーのようなニュアンスで悪路をガシガシ走ることはできない。まぁ通常モデルより車高が20mm上がっているため、悪路もそれなりに走りやすくはあるが、あくまでも程度問題である。

しかし、例えばだがメルセデス・ベンツのGクラスや英国のレンジローバー、あるいはBMW X5あたりに乗っているユーザーの果たして何割が、悪路を走っているだろうか……と想像してみれば、クロスポロの悪路走破性能についても「どうでもいい」ということに気づくだろう。

text/伊達軍曹