日本で初めてモノコックボディを採用した量産乗用車は“てんとう虫”だった
カテゴリー: クルマ
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2015/06/02
非力な軽自動車に不可欠な軽量化を実現
自動車のボディには居住空間を確保する以外にも空気抵抗の軽減、事故の際の衝撃吸収、パーツ類の保護など様々な役割があります。現在の乗用車は一部のSUVを除きほとんどがモノコック構造を採用しています。
自動車のボディは骨組みとなるフレームで剛性を確保し、そこにボディを載せていました。フレーム構造には同じフレームを使って乗用車、トラック、バンなど異なるタイプの車を作りやすいというメリットがあります。一方でフレームは重いため、軽量化が難しいという弱点もあったのです。
モノコック構造はフレームとボディを一体型にしたもので、ボディを形成するパネルなどでも剛性を確保します。そのためフレーム構造に比べて軽量化しやすいというメリットがありました。
世界で初めて全鋼製モノコック構造を採用した乗用車は1922年にデビューしたランチア ラムダ。ラムダのデビュー以降、モノコック構造は欧米を中心に徐々に広がっていきます。
日本で初めてモノコック構造を採用した量産乗用車は1958年に登場したスバル360でした。軽自動車という限られた枠の中で車体の軽量化や大人4人が乗れる車体スペースを確保するためにはどうすればいいか。富士重工業のエンジニアが出した結論がモノコック構造だったのです。
モノコック構造はもともと航空機で用いられ発達してきたもの。軍用機を製造していた中島飛行機がルーツの富士重工業は、航空機製造技術を応用してモノコック構造をスバル 360に採用しました。
その後、モノコックボディは様々な形で進化していきます。ホンダは、1990年に量産車世界初となるオールアルミモノコックボディのNSXを発売。1991年には量産車世界初となるミッドシップのフルオープンモノコックボディを用いたビートを発表します。
1995年には、トヨタが衝突時の乗員保護と生存空間を確保するための設計を施したモノコックボディ“GOA”を5代目スターレットに採用(発売は1996年)。その後、各社が衝突安全ボディを独自に開発していきます。
一方で現在でも頑なにフレーム構造を守るモデルもあります。代表的なのがスズキ ジムニー。悪路でも衝撃を受け止めて高い走破性を確保するために、ジムニーは1970年のデビュー以来一貫して梯子型のラダーフレームを採用しています。