▲ダイハツがムーヴのコンポーネンツを使って開発している新型クロスオーバー。スズキ ハスラーを強く意識していることは間違いない。あえてハスラーに似たプロポーションを用いるか、それとも全然違う路線を狙うのか ▲ダイハツがムーヴのコンポーネンツを使って開発している新型クロスオーバー。スズキ ハスラーを強く意識していることは間違いない。あえてハスラーに似たプロポーションを用いるか、それとも全然違う路線を狙うのか

ムーヴ派生SUVは、テリオスキッド後継車でもある?

2014年暦年(1~12月)では、スズキに軽自動車販売台数首位の座を奪われたものの、すかさず2014年度(14年4月~15年3月)でその座を奪還したダイハツ。この余勢をかって、スズキを再び突き放したいところだ。そこでダイハツが打つ次の一手とは。

4月15日にムーヴのコンポーネンツを使って コンテ後継車を作っているのではないかと予想したが、その後の調査でスズキ ハスラー対抗車との説が浮上。すなわち“ハスラー潰し”のクロスオーバーSUVである可能性がなきにしもあらずだ。

ダイハツとスズキは相手が新しいジャンルでヒット車を出せばすかさず追従する、という動きを互いに繰り返してきた。古くは1979年にスズキが初代アルトで4ナンバー商用バンのパーソナル需要を開拓すれば、ダイハツは翌80年にミラを投入した。また、ワゴンRの大成功を見てムーヴ、逆にダイハツがタントでヒットを飛ばしたのに対してスズキがパレット(現スペーシア)を発売するなど、熾烈な戦いを繰り返してきた。

これまでの流れからすると、ダイハツが大ヒットしたハスラーの対抗車を、このタイミングで出すことは不思議なことではない。いや、むしろ当然のことと言える。

▲デビューから1年半を迎えるスズキ ハスラー。販売実績を振り返ると、月販目標台数の5000台を超えて好調に推移している ▲デビューから1年半を迎えるスズキ ハスラー。販売実績を振り返ると、月販目標台数の5000台を超えて好調に推移している

ただ、ダイハツはハスラーのヒットを目の当たりにして急きょクロスオーバーSUVの商品化を決めたわけではないようだ。そもそも車の開発期間は短くなったとはいえ、3年前後はかかる。ダイハツはクロスカントリー4WDのテリオスキッドを2012年まで販売しており、以前から後継車の発売を模索していた可能性が高い。

センターデフロックを備えた本格4WDのテリオスキッドは、積雪地で移動手段として確実に需要はある。さらに、いまは亡きネイキッドが根強い人気を保っていたことから、似たような車種をあらためて投入したいという思惑もあったのだろう。これらをすべて満たすのがクロスオーバーSUVというわけだ。

▲1998年から2012年まで販売されていた軽SUVがテリオスキッド。センターデフロックが装備されるなど本格4WDモデルで、5ドアボディによる高い実用性も備わっていた ▲1998年から2012年まで販売されていた軽SUVがテリオスキッド。センターデフロックが装備されるなど本格4WDモデルで、5ドアボディによる高い実用性も備わっていた

そこへ、スズキがハスラーを投入した。クロスオーバーSUVの人気が盛り上がる前に発売し、苦戦したKeiのリベンジも狙ったのだ。結果、デザインの良さが受けて、スズキが2014年暦年の軽自動車販売でダイハツを抜いてトップに返り咲く原動力になるほどの成功を収めた。こういった背景から、ダイハツは早々に市場投入を決めたのかもしれない。

グリップコントロール(ブレーキLSD)やヒルディセントコントロールなど、高い走破性をもたらす技術が搭載されてテリオスキッド後継車としての役割も果たすムーヴ派生SUV。さらに、簡単に外装パーツが交換できるアイデアや多彩なディーラーオプションも用意され、かつてのネイキッドや新型コペンのようなカスタマイズの楽しさを提供する仕掛けも盛り込まれるはずだ。

その成果は、2015年8月下旬にも明らかになるだろう。

※2015年5月12日現在における新型車の発表についての予測記事です。発表を保証するものではありません

【SPECIFICATIONS】
■予想発表時期:2015年8月
■全長×全幅×全高:3395×1475×1675(mm)
■搭載エンジン:660cc 直3

Photo&Text/マガジンX編集部