釣り車の荷室セッティングという「駆け抜けない歓び」のススメ
カテゴリー: クルマ
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2015/04/23
ドライビングプレジャーならぬ「荷室プレジャー」に目覚めてしまった
中古車ジャーナリスト兼釣り人の伊達軍曹であります。釣りを始める前の筆者はランチア デルタHFインテグラーレなどのイカれた車にばかり乗っていましたので、車に乗って買い物に行く場所といえば、写真上のようなカー用品店か、その筋のディープなお店ばかり。そういった場所に出入りしながら「今後、足回りのセッティングはどうすべきか?」「吸気系の効率を上げるためには?」「やはりストラットタワーバーは入れるべきなのだろうか?」みたいなことばかりを考えていました。
それが今や、のどかな「ホームセンター」に入りびたりであります。
それもこれも釣りを始め、そして旧型ルノー カングーという荷物グルマを買ったことで「荷室をセッティングする歓び」に目覚めたからです。
それまでの筆者にとって「車のセッティング」といえば、自動的に「走りに関すること」を意味しました。それ以外の「セッティング」など思いもつきませんでした。しかしカングーに買い替えたことで、かなり重要なことにやっとこさ気づいたのです。それは「荷物グルマの場合、まずは荷室を自分仕様に最適化しないことには何も始まらない!」ということです。
それに気がついてなかったのは筆者だけで、世の中の多くの人はとっくに気づいていたのでしょうね。何せミニバンとかSUV全盛の世の中ですから。しかし筆者にとってそれは未知の世界でした。デルタとかポルシェ 911とかですと、荷室とは「とりあえず載るモノを適当に載せる場所(でも本当はあまりモノを載せたくない……)」という場所でしかありませんから。
そんなこんなで始めてみた「荷室の最適化」ですが、それは思いのほか困難であると同時に楽しく、そして奥の深いものでありました。筆者は自動車レースはやりませんが、例えばレーシングカーのセッティングをとことん詰めていくというのは、困難でありながらも楽しく、そしてやりがいのある作業なのではないかと思います。しかし「荷室のセッティングを詰めていく」というのも、ある種それに似たやりがいのある作業なのです。ドライビングプレジャーならぬ荷室プレジャーであります。
筆者のカングーは以下の流れをたどり、現在の荷室に行き着きました(まだ完成形ではないですが)。
まずは素の荷室に釣り道具一式を積んでみましたが、これはもうお話になりません。旧型カングーのラゲージルーム床面の素材は硬質樹脂なのですが、そこに誰が塗ったのかはわかりませんが、とにかくツヤ出し剤が塗りこまれているため、走行中に荷物がツルツル滑って仕方がないのです。
これはマズいということで最初に試してみた荷物固定用具が「ゴムひも」。ゴムひもといってもスリーエム製のしっかりしたものですが、とにかくゴムひも2本で荷物を固定してみようと考えたのです。
……たしかに固定には成功しましたが、何かが大きく間違っているような気がします。具体的には「交差する2本のゴムひもが、せっかくのスペースを殺してしまっている」という間違いなのでしょう。
これはダメだということで次に試したのが「軽トラの荷台に敷く用のゴムマット」です。これは釣りの師匠であるHさんという人が自身のホンダCR-Vで使っている手法で、Hさんいわく「これで完璧なはず! 安いし!」とのことでした。
しかし筆者のカングーに対しては、軽トラ用ゴムマットは力不足だった模様。底がざらついている荷物は割と大丈夫なのですが、ツルツル系の荷物(クーラーボックスとか)だとかなり滑ってしまいます。
これは困った……ということで取材のかたわら各地のホームセンターに入り浸っているうちに、素晴らしいものを見つけました。本来は何に使うものか知りませんが、税込み820円の「人工芝マット」です。
これが本当に素晴らしい! 車種専用のカーゴマットをオーダーすると安いものでも1万円以上はしますが、これは前述のとおり820円。それなのに、抜群といえるほどの固定力を発揮してくれます。それと同時に芝の緑色は黄色いカングーとの相性も最高ですし、カングーのピースフルなイメージを芝がさらに増幅してくれます。……まぁ芝っていうか人工芝なんですが。
釣り同様、「荷室セッティング」に関してもまだまだビギナーな筆者ですので、不完全な点は多々ありますし、現在の人工芝仕様にもまだまだ改良の余地があります。しかし痛感するのは「荷室セッティングは比較的安価で、そして安全だ!」ということであります。
「駆け抜ける歓び」を極めようとすると、どうしても結構なお金がかかります。また、なまじ走りのセッティングを極めてしまうとどうしたってハイスピードドライビングをしたくなりますし、気をつけて運転したとしても事故などのリスクが高まる可能性があります。
しかし「あんまり駆け抜けない、荷室をセッティングする歓び」を極めるなら、やりようによってはさほどお金はかかりません。そして何より事故のリスクが高まりません(もちろん道具グルマをゆっくりめに運転していても事故るときは事故るので、注意しなければならないことは言うまでもありませんが)。
今回もまた長くなってしまいました。いずれにせよ、釣り車でも波乗り仕様でもキャンプ仕様でもなんでもいいですが、ぜひあなたも「荷室セッティングの歓び」に目覚めていただけたら、筆者としても嬉しく思います。大半の人は「そんなのとっくに知ってるよ!」という話なんでしょうが、中には絶対いるはずです。ちょっと前の筆者のように「スポーツカー的歓びしか知らない」という人が。そんな人に、「新たな快楽」を知ってほしいのです……!