▲抜群のスペース効率と豊富なディーラーオプションにより、道具車としては圧倒的ともいえる使い勝手を実現しているダイハツ ウェイク。それに乗って釣りに出かけてみた筆者が考えたことは? ▲抜群のスペース効率と豊富なディーラーオプションにより、道具車としては圧倒的ともいえる使い勝手を実現しているダイハツ ウェイク。それに乗って釣りに出かけてみた筆者が考えたことは?

ウェイクは確かにステキだった。しかし「コスパ」を考えると……

中古車評論家兼アングラー(釣り人)の伊達軍曹であります。過日、ダイハツ ウェイクをお借りして釣りに行ってきました。超絶便利な積載性能がウェイクの魅力ですが、小生はちょっとした道具を持って気楽な釣りに行っただけですので、積載性能ウンヌンに関して論評をする資格はありません。ただ、いろいろな人のブログなどを拝見する限りでは、かなりいい感じで使い倒せるようですな。素晴らしいです。

▲今回ウェイクには8フィート台のシーバスロッド2本とその他の小道具だけしか積んでいないため、積載性能についてはノーコメント。しかし見たところ、かなり使い勝手は良さそうだ ▲今回ウェイクには8フィート台のシーバスロッド2本とその他の小道具だけしか積んでいないため、積載性能についてはノーコメント。しかし見たところ、かなり使い勝手は良さそうだ

前述のとおり積載性能に関する論評は避けますが、走りと燃費は意外と良かったであります。当然、ああいう形ですからスポーティに走ることはできませんし、速度を上げ気味にすると燃費はいきなり低下します。しかしゆったりと、そうですね、高速道路を80km/hぐらいでのんびり巡航するイメージで走れば、乗り心地も燃費もなかなかのものでありました。ちなみに試乗車はターボ付きのグレードです。

▲バスの運転手さんになったかのような視界も、これはこれで快感。また飛ばさない限り走行安定性も悪くはなく、高速道路を80km/hぐらいで巡航すれば、筆者計測によれば燃費も20km/L以上をマークした ▲バスの運転手さんになったかのような視界も、これはこれで快感。また飛ばさない限り走行安定性も悪くはなく、高速道路を80km/hぐらいで巡航すれば、筆者計測によれば燃費も20km/L以上をマークした

素晴らしい道具車であると感じたダイハツ ウェイクですが、個人的に思う唯一の問題点は「価格」ですね。

ウェイクの寸法および重量、そして「人と道具を満載してナンボ」というキャラを考えますと、選ぶべきグレードはターボ付きの「X」または「G」でしょう。その車両本体価格は162万~174万9600円。で、それにプラスして諸費用を支払い、様々なディーラーオプションを付けると、正確な計算ではありませんが200万円は確実に超えてくるはず。

……どうなんでしょうか、軽自動車に200万円超って。

いや、このあたりの考え方は各人の価値観やおサイフ事情により変わってきますので、200万円超の軽自動車がいけないわけではありません。が、あくまで筆者個人の価値観でいいますと、軽自動車(の釣り車)というのは、やっぱり「せいぜい100万円前後」で手に入れたいというのが正直なところです。また、あなたがどう考えているかは存じませんが、この価値観というか予算感に賛同していただける人はそこそこ多いのではないかとも思っています。

とはいえウェイクの抜群の積載性は釣り車にとって大いに魅力。でもやっぱり200万円超は払いたくない(個人的に)。……どうすりゃいいんでしょうか?

それに対する筆者の答えはこれです。「旧型スズキ エブリイまたはエブリイワゴンがいいのでは?」と。

▲2005年8月から今年1月まで販売された旧型スズキ エブリイ。商用車の「エブリイ」と乗用車の「エブリイワゴン」があり、写真はエブリイワゴン。道具に徹した潔いデザインもこの車の美点だ ▲2005年8月から今年1月まで販売された旧型スズキ エブリイ。商用車の「エブリイ」と乗用車の「エブリイワゴン」があり、写真はエブリイワゴン。道具に徹した潔いデザインもこの車の美点だ

コスパにこだわるなら旧型スズキ エブリイ/エブリイワゴンも良い

ご存じの方も多いと思いますが、スズキのエブリイ/エブリイワゴンというのは、ダイハツ ウェイクが登場する以前は「最強の道具車」とも称された名作です。旧型エブリイシリーズの積載性は最新のウェイクほどではないのかもしれませんが、それでも十分以上な、というか軽の箱バンとしては最高クラスに近い積載性能を発揮する車です。走りも結構シャンとしていますし、またビジュアルも、特に旧型は「無駄なものを削ぎ落した結果のミニマルデザイン」といった感じでかなりステキです。

そんなエブリイ/エブリイワゴンはご承知のとおり今年2月にフルモデルチェンジを受けたため、今、旧型の高年式中古車が結構なお手頃プライスで売られています。で、ウェイクもいいけど、コスパにもこだわりたい釣り人としてはそれを100万円前後とかで狙ってみるのもアリなんじゃないでしょうか?

▲「最強の道具車」とも言われた旧型エブリイ/エブリイワゴン。助手席を倒さずに自転車を積めるのはさすが! ▲「最強の道具車」とも言われた旧型エブリイ/エブリイワゴン。助手席を倒さずに自転車を積めるのはさすが!
▲写真は旧型エブリイ(商用車)の最上級グレードである「join」の内装。なかなか立派なたたずまいです ▲写真は旧型エブリイ(商用車)の最上級グレードである「join」の内装。なかなか立派なたたずまいです

具体的な相場および流通量を見てみますと、2015年3月28日現在、14~15年式エブリイの平均価格は約89万円とお手頃な水準。フルモデルチェンジを受けた2月半ば頃から流通量も急激に増え、かなり探しやすい状況になっています。

もう少し年式を下げた13~14年式エブリイの平均価格も約89万円ですので、エブリイの場合は中途半端に年式を古めにするよりも、最終年式に近い14~15年式を70万円台から90万円台あたりで探してみるのが得策かもしれません。

乗用車仕様であるエブリイワゴンは14~15年式の平均価格が約139万円で、10~14年式が約123万円。さすがに商用車仕様であるエブリイと比べると若干高いですが、ウェイクのド新車を買うよりはリーズナブルな予算でイケるはず。ワゴンのボリュームゾーンは、05~09年式付近を選ぶのであれば60万円台から80万円台といったあたりで、比較的新しい12~14年式付近を探す場合は110万円台から140万円台となるでしょう。

繰り返しになりますが、車選びというのは非常にパーソナルな事柄ですので、筆者がここで述べた価値観や予算感を押し付けるつもりは毛頭ありません。それゆえ新車のウェイクも全然アリです。

しかし「釣り車に(しかも近場スペシャルな軽自動車に)200万円出すなら、もっと手頃な車を買って、浮いたお金は釣れそうなタックル(釣り道具)購入に当てたい」と考えるアングラーも少なくないはず。筆者も、できればもうちょっと上級なタックルを揃えたいものだと常々思っています。

もしもそうであるならば旧型スズキ エブリイおよびエブリイワゴン、ぜひご注目ください。

text/伊達軍曹 Photo/伊達軍曹、スズキ