フロントグリルからM・ベンツのロゴを外すオーダーには、AMGでも議論が巻き起こったそうです ▲フロントグリルからM・ベンツのロゴを外すオーダーには、AMGでも議論が巻き起こったそうです

本当のセレブは車をワンオフで発注するんです!

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年12月22日に発見したのは「M・ベンツ G55XXL」。カーセンサーnet上では「G55ロング」としか表記されていませんが、カタログモデルにはない超々ロングホイールベースモデルで、いわゆるAMGの“ワンオフ”です。

新車カタログからオプションを選ぶというようなレベルの話ではありません。カタログに載っていないものを特注するという、陳腐な言い方ですが、「セレブ」な車のオーダー方法です。最近ですとミュージシャン、エリック・クラプトンがフェラーリに458イタリアベースのV12気筒モデルを発注したことが話題になったばかり。要は当該中古車、それほど“凄い”車なんです。

ありとあらゆるモノを新車時オーナーが発注して作られたモデルで、「同じ仕様の車は存在しない」と言っていいでしょう。ベースのG55Lの全長が4530mmのところ、XXLは5360mm。リアドアの後方部がストンと“垂直”なのがポイントです。通常のGクラスですと、同部分はホイールアーチの形状になっています。

G55XXLに用いられた超々ロングホイールのプラットホームは、AMGでは1990年代から存在していました。ただ個人ユーザー向けというより、政府や軍の護衛車両として需要があったようです。そもそもGクラス自体が軍用車両でしたし、最近投入されたG63 6×6だって軍用に開発された6輪車がベースです。そんな背景がGクラスのイメージに“力強さ”を与えているのでしょう。

▲横から見るとリアがストレッチされていることが分かります。当該車両、筆者は新車時オーナーを取材したことがありますが、燃料タンクが80Lから160Lになっているとか ▲横から見るとリアがストレッチされていることが分かります。当該車両、筆者は新車時オーナーを取材したことがありますが、燃料タンクが80Lから160Lになっているとか

オプティシアンブラックのボディカラー、ブラックアウトされたフロントグリル、ブラックのブラバス製22インチ大径アルミホイール……。近寄りがたいほどのオーラを放っています。しかし、ひとたびドアを開けると、そこには新車時オーナーが思い描いたスポーティ・リムジンの内装が広がっています。

各種ブラウンがカラーコーディネイトされ、車内360度にキルティング加工が施された本革が用いられています。リアシートはセパレートタイプで、サンルーフはフロントとリアそれぞれに装備。足下の広さに関しては、立派にリムジンと呼べるレベルです。

▲本革がシートやドアの内張りのみならず、天井までも覆い尽くしています。サンルーフがリアシート用にも備わっているのは、さすがワンオフといったところ ▲本革がシートやドアの内張りのみならず、天井までも覆い尽くしています。サンルーフがリアシート用にも備わっているのは、さすがワンオフといったところ

当該中古車、そもそもが特注車両で超高額だったゆえに、大事に保管されてきたようです。2007年式ではありますが走行距離は、わずか3000km。写真を見るかぎり、ほとんど新車のようなコンディションです。

前オーナーの趣味が色濃く反映される特注車ですが、当該中古車は奇をてらったような趣味性がなく、多くの人に受け入れられると思います。車両本体価格は2880万円と高額ですが、AMGへの発注価格は軽くその倍以上したはずです。

ベントレーのSUV、ランボルギーニのSUVなどの登場が噂されていますが、「存在感」という点でG55XXLは全く引けをとりません。とにもかくにも、物件詳細をご覧になってください! 「こんな世界もあるのかぁ」と、ウットリしますよ。

■本体価格(税込):2880.0万円 ■支払総額(税込):---
■走行距離:0.3万km ■年式:2007(H19)
■車検:無  ■整備:無 ■保証:無
■地域:愛知

text/古賀貴司(自動車王国)