▲コンパクトなサイズながら、大人5人が楽々乗車できます ▲コンパクトなサイズながら、大人5人が楽々乗車できます

インパクト抜群のプロモーション動画で注目を集めたものの……

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年10月20日に発見したのは「フィアット 124スペシャル」です。1966年にデビューしたフィアットのFRコンパクトカーのベーシックモデルで、フィアットブランドの他に世界各地でライセンス生産されました。

デビュー時、フィアットが作った124のプロモーション動画は世界に衝撃を与えました。パラシュートが付いたスタンドに1台の124が乗せられてなんと戦闘機から投下! 続いて5名の落下傘部隊も降下、降り立った後に兵士たちは投下された124に乗り込んで走り去っていく…というものでした。 ボディの全長はわずか4030mmというコンパクトサイズのファミリーセダンですが、「頑丈で大人が5人乗っても大丈夫!」というメッセージだったのでしょう。

また、今でこそプラットホームシェアリングが話題になりますが、124はセダンの他にステーションワゴン、クーペ、オープンと展開されました。いずれも1974年まで生産され、オープンモデルは1985年までピニンファリーナ社でも生産されるなど、この頃からプラットフォームシェアリングは盛んでした。

▲全長わずか4mちょっとしかないため、フロントとリアのウインドウの傾斜角を立てて、室内空間を広げる工夫をしています ▲全長わずか4mちょっとしかないため、フロントとリアのウインドウの傾斜角を立てて、室内空間を広げる工夫をしています

そして、今回、取り上げる124スペシャルは1968年に追加されたハイパワーモデル。124は1.2L直4エンジンを搭載していましたが、124スペシャルは1.4Lエンジンを搭載。しかし最高速度は150㎞/hというところに時代を感じさせます。

前評判は「軽量モデルでバランスが良い」というものでしたが、軽量化を狙ったというよりも内外装を簡素にした結果、軽くなったと言った方が正しいかもしれません。デビューから間もなくして日本にも正規輸入されましたが、当時の日本では「輸入車=高級車」というイメージがあったため、販売は失敗に終わったようです。

▲車内に快適装備は皆無でエアコンすらありません。ここまでシンプルだと、現代では逆に新鮮に映ります ▲車内に快適装備は皆無でエアコンすらありません。ここまでシンプルだと、現代では逆に新鮮に映ります

当該中古車、ヨーロッパから並行輸入されたうえに走行距離も不明と、敬遠されがちな要素が揃っています。しかし、写真を見るかぎりはフルレストアされているようで、とても41年前の車とは思えない状態に見受けられます。

この車なら、どこを走っても誰が乗っても、「あの車、スゴイ!!」と羨望の眼差しを受けることでしょう。その対価は支払総額の250.4万円を余裕で超えているといえます。

車体から放たれるこの存在感、物件詳細にてぜひご覧になってみてください!

■本体価格(税込):229.0万円 ■支払総額(税込):250.4万円
■走行距離:不明 ■年式:1973(S48)
■車検:無 ■整備:付 ■保証:無
■地域:広島

text/古賀貴司(自動車王国)