▲ギャップ狙いで“羊”ベースのチューニングカー作りが一部では流行っているようです ▲ギャップ狙いで“羊”ベースのチューニングカー作りが一部では流行っているようです

よく車雑誌で「羊の皮を被った狼」というフレーズを見かけますが、実はコレ、聖書で用いられているもので「偽善者に注意」という意味だったんです。それがいつしか、日本に限らず 車雑誌では“見かけよりも速い”車に用いられるようになりました。そんな原義とは違う意味での「羊の皮を被った狼」を極めた(?)オペル カデットEがありました。

2L 4気筒エンジンなのに最高出力685ps!

まず、カデットEについて説明しましょう。1984年から1991年にかけて製造されたカデットEはオペル アストラの前身で、VWビートルやゴルフの対抗馬だった小型大衆車です。当時としては優れた空力特性がちょっと話題を呼びましたが、ぶっちゃけ何の変哲もないコンパクトカーでした。

そんな“羊”がドイツのWKTというチューナーによって、獰猛な“狼”へと変身。なんと、あのフェラーリ458スペチアーレ(カプリストマフラー装着)をぶっちぎったんです! その一部始終をYouTubeで確認することができます。

▲こちらがその証拠映像。猛烈に加速するカデットEをご覧あれ!

最新のフェラーリ458スペチアーレを相手に、ローリングスタートの0→400m加速バトルで見事、勝利したカデット。見かけは普通ですしエンジンを載せ換えたわけではありませんが、巨大ターボチャージャーを載せたことで最高出力は驚愕の685psをマーク! よくぞカデットの“戦闘能力”をここまで磨いたものです。

さらに、別の動画では660psまでチューンされたポルシェ911ターボ(旧型)、およびヤマハR1とも勝負しています。さすがにヤマハR1には負けましたが、911ターボとはほぼ互角。いったい誰がカデットのこんな姿を想像できたでしょう? まさに羊の皮を被った狼です。

▲ターボチャージャーとブローオフバルブの作動音、そしてバックファイアの音が……

しかもこのカデット、WKTのYouTubeチャンネルを見る限り、どうやらショップではなく個人の作品っぽいんです! ますますもってWKT(さん、と呼ぶべき?)のチューニングへの熱意と戦績に感心してしまいます。

▲Facebookで「WKT」と検索するとファンページが出てきます。気になる方はチェックしてみてください ▲Facebookで「WKT」と検索するとファンページが出てきます。気になる方はチェックしてみてください

text/古賀貴司(自動車王国)