▲フォードフォーカスC-MAX。質実剛健で走りも優れたドイツ生まれのコンパクトMPVです ▲フォードフォーカスC-MAX。質実剛健で走りも優れたドイツ生まれのコンパクトMPVです

原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車をご紹介します。今回、2014年7月15日に発見したのは「フォードフォーカスC-MAX」。日本ではさほど売れ行きが芳しくありませんでしたが、世界で人気を博したコンパクトカーベースのMPV(多目的自動車)です。

良く出来ていながらヒットしなかった名車

ちょっとマニアックな話をすると、フォーカスC-MAXには「フォードC1プラットフォーム」というプラットフォームが採用されています(フォーカスも同様)。実はこれ、当時フォード傘下だったマツダとボルボも共同開発に加わっており、各社30名ずつのエンジニアを派遣しました。

そのため、このプラットホームはマツダ アクセラ/プレマシー/ビアンテ、ボルボS40/V50/C70/C30/V40などにも採用されています。もちろん、細かい“味付け”は各社で異なっていますが。

「フォード」はアメリカの巨大自動車メーカーですが、フォーカスC-MAXはドイツ拠点で開発・生産されました。だから、というワケではないのですが、キッチリカッチリした雰囲気を感じさせます。個人的には「アメ車でしょ?」と思われる方には、ぜひ乗って頂きたい車です。良いか悪いかは別に、アメ車っぽくない作り込みや走りに驚かれると思います。

大人5名が快適に座れること、折り畳み式&取り外し可能なシートによって広大な荷室をフレキシブルに使えること、ほどほどのボディサイズと2Lというほどほどの排気量のエンジンの組み合わせなど、あらゆるものが“イイあんばい”なのが特徴です。

▲ワンモーションと呼ばれる弧を描くデザイン。ベースのフォーカスよりも全高は95mm高いですが、走りへの影響は皆無です ▲ワンモーションと呼ばれる弧を描くデザイン。ベースのフォーカスよりも全高は95mm高いですが、走りへの影響は皆無です

あくまでもコンパクトMPVですから、車として遊び心や色気があるわけではありません。例えるなら「良く出来た白物家電」と言ったところでしょう。新車時価格は280万円でしたから、日本ではライバルが多く、販売的には厳しかったです。

そういう意味では「車の出来が良いからと言って、必ずしも好調な販売につながるわけではない」という日本の車市場の難しさを教えてくれる1台でもあります。売れ行きが芳しくなかったのは日本におけるフォードの昔ながらのイメージなのか、広告が足りなかったのか、そもそも日本市場では受け入れられないカテゴリーだったのか……。フォードも相当悩んだことでしょう。

▲当該中古車は走行距離6万7000kmですが、経年劣化は少ないようです ▲当該中古車は走行距離6万7000kmですが、経年劣化は少ないようです

さて当該中古車ですが、車両本体価格が59万8000円。同様の価格帯で狙えるコンパクトMPVの中では、走りの満足度はかなり高いと思います。さらに、ほとんど街中で見かけることもないゆえに差別化まで図れてしまいます。“分かる人”からすれば「通な選択肢」だと思われること間違いありませんよ!

■本体価格(税込):59.8万円■支払総額(税込):---万円
■走行距離:6.7万km ■年式:2007(H19)
■車検:2014(H26)年12月 ■整備:付 ■保証:無
■地域:滋賀

text/古賀貴司(自動車王国)