フォードの日本市場撤退が決定。だからこそ(?)今、現行フィエスタとフォーカスを狙うべき理由
2016/02/17
撤退発表で平均価格はいきなり約10万円下落
輸入中古車評論家を自称するわたしだが、自慢じゃないがカネはない。いや日々の食事に困窮するほど貧乏しているわけではないが、日常使う物や食べる物はコストコ、ヤフオク、まちおかなど4文字系の店舗やサービスで高コスパな商品を探しつつ、ニッポンの中流ド真ん中を生きている。
で、輸入車においても当然ながらお手頃で高コスパな1台を日々探している小生だが、ここのところフォードの現行フィエスタおよびフォーカスが気になって仕方ない。考えてみればみるほど、この2モデルこそが今最高レベルに高コスパな輸入車なのではないかと思うのである。
理由は4つある。まず単純に「安い」ということだ。
もともと欧州フォードの各モデル中古車はかなりお買い得感が強かったが、ご承知のとおり今年1月、フォード・ジャパン・リミテッドは「今年下半期に日本におけるすべての事業から撤退し、今年末までにフォードおよびリンカーンの正規輸入販売を中止する」との正式コメントを発表した。
これにより、そもそもお安かった上記2モデルの中古車相場はさらにお安くなったのだ。具体的には、現行フィエスタの平均価格は長らく約184万円付近で無風状態的に推移していたが、1月半ばからの約2週間でいきなり10万円ほど下落。現行フォーカスも、フィエスタとほぼ同タイミングで10万円以上の急落を記録した(ただしフォーカスはその後若干持ち直している)。
「フォードが日本撤退だって? 今後はパーツ供給とかメンテナンスとかもちょっと大変になるかもしれないから……よし、買うか。逆に」と考える自動車変態はそう多くはないため、欧州フォード各モデルの格安傾向は今後強まりこそすれ、弱まることはないだろう。つまり(たぶん)さらに安くなる。それゆえ高コスパ輸入車狙いの人間としては非常に気になるのだ。
今あえて買うのがサムライ。そして撤退後の整備も(たぶん)問題なし
そして第二の理由として「今あえて欧州フォードを買うのはかなり“サムライ”なんじゃないか?」ということだ。
流行しているモノ、すでに定評があるモノ、上り調子なモノを買うのは誰にでもできる。しかし凋落していくモノ、まるで注目されてないモノ、そしてリセールもたぶんあまり良くはないモノ、だが自分だけは確固たる価値をそこに認めているモノを、誰に何と言われようと信念をもって買う。……それってかなりサムライ的な行為じゃないか。誰もホメてはくれないだろうが、大いなる自己満足にひたることはできる。そしてその自己満足は、たぶん期待できないリセール価格を埋め合わせて余りあるものなんじゃないかと、おぼろげに思うのである。
第三の理由は「とはいえフォード撤退後のメンテナンスもたぶん問題ない」という点だ。インポーターのリリースにも「撤退後もアフターサービスや保証の提供を継続することをお約束いたします」と書かれている。男の約束というか、かのT型フォードを創った男から派生した大企業の約束である。信用して構わないと思うし、仮に何らかの不可抗力によって近未来、正規ルートでのパーツ供給や整備の道が絶たれたとしても、ひと足先に撤退したサーブの例を見る限り、インディーズなルートでの整備やパーツ供給は今後も十分可能なはずなのだ。
GM傘下だったサーブはブランド自体が消滅してしまったわけだが、サーブを愛する専門工場は(数は少ないが)主要都市に点在し、その工場らが独自ルートにより主に北米からサードパーティ製の補修パーツなどを直輸入し、現役サーブユーザーのニーズに応えている。欧州フォードでも同じ構図になると断言はできないが、地球上にそれなりの数の愛好家がいる限り、フォードにおいてもこのような形になるのではないかと予想する。
そもそも車のデキはセグメント最強レベル。なのにこんなに安いとは……
だが、そもそも現行フィエスタや現行フォーカスがつまらん車であるならば、いくら安かろうがサムライだろうがメンテナンス体制に不安がなかろうが、わざわざ買う意味はない。しかしあいにく現行フィエスタと現行フォーカスは大変素晴らしい車なのだ。それが不運にして安くなり、そして正規輸入が途絶えてしまう……。だからこそ筆者は「この2モデルこそ高コスパであり、実は買い推奨なのだ!」とわめいているのである。かなりステキな車であること。それが、第四の理由だ。
例えば現行フィエスタ 1.0エコブーストは、2012年と2013年の2年連続で「インターナショナル・エンジン・オブ・ザ・イヤー」を受賞した素晴らしすぎる1Lの3気筒直噴ターボエンジンに、6速のデュアルクラッチトランスミッションを組み合わせたBセグメント車。その走りにはリッターカーであることがまるで信じられない力強さがあり、またかなりファンな車でもある。内装のデザインと質感もクラスを超えていると言っていいだろう。
それでいて中古車価格は走行1万km前後の14年式がおおむね150万円前後。筆者の勝手な試算によれば、同じBセグメントである現行ルノー ルーテシアの同年式・同走行距離物件と比べてざっくり20万円ほどは安い計算だ。
「Cセグ最強ハンドリングマシン」との呼び声高い現行フォーカス スポーツにしても、13年式で走行1万km前後の物件がおおむね170万円前後。これまた筆者独自試算によれば、同セグ・同年式・同距離のフォルクスワーゲン ゴルフと比べてざっと20万円ほどは安い。なんともお買い得すぎるフィエスタ&フォーカスじゃないか!
もちろんリセール問題等々は確実にあるはずなので、すべての高コスパ輸入車ファンにオススメするわけではない。しかし今、「キワモノでありながら本物」という微妙な線をお手頃予算で突きたい歴戦の中古車勇者には、ぜひとも現行フォード フィエスタならびにフォーカスにご注目いただきたいと強く願う、不肖筆者なのだ。
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