▲日本人からすれば、十分にビッグクーペ。しかもローンチエディションは左ハンドルのみ。本来、選び手の我儘が存分に表れた1台と言いたいところだが、ダウンサイジングターボ搭載など“説得力”もある。V8モデルなら文句ナシに我儘な1台となるが。クーペ初トライ派に、ぜひ ▲日本人からすれば、十分にビッグクーペ。しかもローンチエディションは左ハンドルのみ。本来、選び手の我儘が存分に表れた1台と言いたいところだが、ダウンサイジングターボ搭載など“説得力”もある。V8モデルなら文句ナシに我儘な1台となるが。クーペ初トライ派に、ぜひ

アメリカの青春、ついに世界へ

新型マスタングの第一印象をたとえるなら、名も実もあるアメリカの若者が、満を持して世界へと飛び出した、と、まぁそんな感じだ。

いっとき流行った“青春を取り戻す”ためのレトロモダンコンセプトはすっかり息をひそめ、ヘリテージを肝に銘じつつもグローバルスタンダードに対応する見事なまでのGTカーへと変貌を遂げていたからだ。

と、同時に、それ自身が若々しさを発散させるマスタングなんて、初代以来のことかもしれない。

▲旧型より低くワイドなスタイルに。まずは50YEARS EDITIONが限定350台で登場、専用エンブレムも備わる ▲旧型より低くワイドなスタイルに。まずは50YEARS EDITIONが限定350台で登場、専用エンブレムも備わる

優美なクーペフォルム、ボディの強さ、精密なシャシーの動き、力強くシャープなダウンサイジングターボエンジン、などなど、アメリカ産スポーツカーのイメージをすっかり覆す。

特に、スタイリングとシャシー性能の2点に、新型マスタングの要点は集約される。

初めて新型の写真を見たとき、ベントレーかアストンマーティンのニューモデルかと思った。もちろん、顔つきはアメリカンマッスルだし、オシリは「ポニー」そのものだったけれど、クーペフォルムやウインドウラインに欧州、それもブリティッシュテイストを発見し、驚いたもの。もっとも、インテリアは強くアメリカンクラシックを感じさせるものだけれど。

▲伝統の左右対称・水平基調なデザインに最新テクノロジーを採用。居住性やラゲージ容量も向上した ▲伝統の左右対称・水平基調なデザインに最新テクノロジーを採用。居住性やラゲージ容量も向上した

走りも上等だ。初めてのリアマルチリンクサスとあって、まだ若干のぎこちなさがあるけれど、ちょっとスポーティに走らせたときのドライブフィールは、欧州車的である。

マスタングに2.3L直4ターボ搭載、と聞くと、エルダーファンは腰を抜かすか怒り心頭か。性能云々ではなく、時代の流れとはいうものの一抹の寂しさを覚えるが、来年になれば5L V8も入る。ただし、右ハンドル。

▲ダウンサイジングコンセプトのEcoBoostエンジンを搭載。4つのドライブモードが選択できる ▲ダウンサイジングコンセプトのEcoBoostエンジンを搭載。4つのドライブモードが選択できる

【SPECIFICATIONS】
■グレード:50 YEARS EDITION ■乗車定員:4名
■エンジン種類:直4DOHCターボ ■総排気量:2260cc
■最高出力:231(314)/5500[kW(ps)/rpm]
■最大トルク:434(44.3)/3000[N・m(kgf・m)/rpm]
■駆動方式:FR ■トランスミッション:6AT
■全長×全幅×全高:4790×1920×1380(mm) ■ホイールベース:2720mm
■車両重量:1660kg
■車両本体価格:465万円(税込)

text/西川淳 photo/向後一宏