普通にエアコンが利く「現代の2CV」を探せ!
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2014/07/15
リアル2CVで行く真夏の渋滞はプチ臨死体験
いささか古い物で恐縮だが、写真は数年前、筆者がシトロエン2CVを所有していた頃、日産自動車さまから短期的に借用した現行キューブを2CVの横で保管していた際のものである。このときに確信したのは「日産 キューブこそ現代のシトロエン2CVである!」ということだった。
ご承知のとおりシトロエン2CVとは、「こうもり傘に4つの車輪を付ける」という簡潔さを基本コンセプトとしたミニマリズムの極致。そんな2CVのミニマリズムとほぼ似たような美しさを、筆者は日産 キューブに見たのだ。特に、「どうってことない作りなのに妙に座り心地がいい」という日産 キューブのシートは、シトロエン2CVのシートと形状的にはまったく似ていないが本質的にはそっくりだ。全体的に洒落てもいて、それでいて新車価格は安い。中古車であればさらに激安だ。
……素晴らしいじゃないか日産キューブ! ということで皆さん、日産キューブをぜひ買いましょう!……と話を終わらせてもいいのだが、なかなかそうもいかない部分はある。「国産車アレルギー」の問題だ。
世の中には、筆者を含め「どうしても国産車を買えない人」がいる。頭では、最近の日本車のほうが輸入車より上な部分も多い……ということをわかっているが、なぜか「じゃ、次は国産車にするか」とは思えない、ある種の病である。となれば、そんな人に日産キューブを勧めるのは甚だ不毛であり、輸入車を勧めるほかない。そしてシトロエン2CVは今なお多数流通しているので、「2CV的な車が欲しいなら、2CVそのものを買えばいい」という展開にもなる。が、それでも結構な問題は残る。「日本の夏問題」だ。
一部地域を除いてクソ暑く湿度の高い日本の夏を、エアコンなしのシトロエン2CVで過ごすのは非常に危険である。もちろん、「クソ暑い日中は別の車に乗り、夕方以降は2CVに乗る」という使い方をしている人も大勢いることは知っているが、2CV単騎での日本の夏はとにかくヤバい。
筆者は、「30℃超の真夏日に2CVで行楽地に突撃すると、人間はどうなるか?」というテストを勝手に行ってみた。混雑している週末、東京から湘南・鎌倉へと突撃したのだ。ごく低速でも前進している限り、2CVは意外と快適だ。開け放った窓や、前方に開いているダクトからかなりいい風が入ってくるのだ。しかし、いざ渋滞にハマると車内は完全な蒸し風呂と化す。下の写真のとおり渋滞時の車内温度は40℃を超え、若干の身の危険を感じたものだ。わたしは酔狂でこれを行ったが、人に勧めようとは思わない。
狙い目は昨今安くなったup!と初代カングーか
ということで、勧めたいのはやはり現代の輸入車だ。エアコンが普通に付いていて、それでいて一切の虚飾を排した、まるで2CVのような、まるで日本の古い茶室のような、詫びたヨーロッパ製小型実用車。……だが、それがなかなか見当たらないのだ。
もちろん、今流通している大抵のヨーロッパ製小型実用車は大抵フツーに優秀だ。しかし、「一切の虚飾を排した、まるで日本の古い茶室にいるような」という車がなかなかない。具体的な車名を出してしまい恐縮だが、例えばプジョーの207も208も大変ステキな実用コンパクトカーだが、いろいろとゴテゴテはしているため「茶室感」には乏しい。プジョーだけでなくドイツ物でもイタリア物でも、最近のコンパクトカーはどれもある意味似たようなものだ。
そんな状況の中で強いて挙げるとするならば、まず一つはフォルクスワーゲンのup!だろうか。親の敵のようにドリンクホルダーがひたすら付いている日本のコンパクトカーに慣れている人が乗ると「……ナメとんのかコラ」と凄みたくなるほど装備は簡素だが、いざ走りだすと「人間、起きて半畳寝て一畳! 必要なモノはすべてココにあるぜ!」と叫びたくなるほどの本格感にあふれているup!は、「現代の2CV」と言えなくもない。最近は走行1万kmにも満たない中古車を総額120万円以下で十分探せるので、そのあたりの「安さ」も往年のシトロエン2CVの基本コンセプトに通じるものがある。
また、ルノーの初代カングーも「現代の2CV」的ではあるだろう。シートの柄などにアンチ・ミニマリズムというか「虚飾を排してない感」を感じてしまうが、基本的には何の変哲もない実用一辺倒のフルゴネットで、しかし走りは超本格派である点に2CVの息吹を感じる。走行距離がかなり多めの物件は依然から爆安化していたが、ここ最近は比較的距離少なめの物件でも総額120万円以内で探せる状況になってきているので、「エアコンがフツーに利く2CV」を探している人は、初代カングーの中古物件をチェックするのも一興である。
ということで今回のわたしのオススメは、ずばりフォルクスワーゲンup!とルノーの初代カングーだ。