【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、新社会人の車選びを考える
カテゴリー: クルマ
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2014/06/03
この春社会人となった君よ、「泥沼系輸入車」に乗れ
万一イロイロあっても、その経験は甘酸っぱい思い出になる
もう6月ということで、この4月から新社会人となった諸君らも新しい生活様式に慣れてきた頃合いだろう。そして7月にもなれば、満額ではなく寸志程度かもしれないが、会社によっては賞与も出る。それを機にマイカーってやつを買ってみるのも悪くない。
「若者の初めてのマイカー」というと自動的に「扱いやすくて維持費も安い国産コンパクトカーがオススメです」などと言いだす輩も多いが、筆者はその意見に大反対である。そんなものではなく、若者はなるべく「泥沼にハマりそうなモデル」を選ぶべきだと確信しているのだ。
確信の理由は筆者の実体験にあるのだが、それは主に2つの側面に分かれている。
側面のひとつは「思い出」である。筆者はこれまで様々な中古車に乗ってきたが、その時々の風景や精神状態をヴィヴィッドな総天然色で覚えているのは「扱いやすくて維持費も安い国産コンパクトカー」に乗っていたときなどでは決してない。覚えているのはいかにも泥沼にハマりそうな、例えば87年式ルノーサンクなどに乗り、実際プチ泥沼にハマりかけたときのことばかりだ。
プチ泥沼にハマりかけていたそのリアルタイムは結構しんどい局面もあったが、今となってはすべての瞬間が甘酸っぱい、良き思い出である。言葉にするとやや恥ずかしいが「青春」といわれる時代には、甘酸っぱい思い出がたくさんあった方が、それがあんまりない青春よりはるかに上等なのは自明の理。
ということで、貴殿が車好きでないならば話は別だが、車好きを自認しているのであれば極力「泥沼系」を選び、極力イロイロやらかしたほうがいい。それらの経験はすべて、後になってスウィートで大切な思い出へと変わるだろう。
とはいえそんなに大したことは起きないはず
もうひとつの側面は「泥沼系といっても、実際はそんな大変でもない」ということだ。
筆者の場合、前述の87年式ルノーサンクにてマジでイロイロあった後も「190E 2.3-16、踏切直前で発煙事件」「メガーヌ16V、エンジン死亡フラグ事件(後に誤報と発覚)」「BMW3シリーズ(E46)窓落ち事件」など、様々な事件があった。こうして文字にするとオドロオドロしいというかしょっちゅう壊れていたような印象になるが、実際は1台に800日ほど乗ったとして、その間に1回か、せいぜいもう1回起こった程度なのだ。残りの799日や798日は何の問題もなく快調に走っていたのである。
2年に一度あるかないかの小トラブルなど、ほとんどテーマパークに行くようなものではないか。「青春」といわれる時代にはテーマパークに行った方が、そこにあんまり行かない青春よりはるかに上等なのは自明の理である。
「若い時の苦労は買ってでもせよ」と言ってしまうと説教くさいため、極力そういう表現は避けたつもりの文章ではあるが、まぁざっくり言ってしまえば、あのことわざはかなり正しい。それゆえ、若人諸君は後顧の憂いなく泥沼系に突撃し、イロイロな意味で人生を謳歌していただきたいと切に願うものである。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「社会人1年生に乗ってほしい輸入車」だ!
「ビギナーだから国産コンパクト」などという決まりはない。例えばポルシェボクスターを選んだっていいのだ。初代ならば100万円台前半で十分イケる
MT免許があればプジョー106もステキな選択。並行輸入の「プジョー106ラリー」ならなお良しだ。イロイロあるかもしれないが、それもまたステキな経験!
旧世代のアルファロメオも2ケタ万円後半で狙える。メンテナンスフリーではないが、実際コレに乗っていた筆者は特に故障で困った経験なんかないですよ
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中