【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、旧車の価値を考える
カテゴリー: クルマ
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2014/05/22
半端に新しい車より、ぐっと古い車のほうが逆に価値は高いものです!
ネットオークション出品で学んだ「価値」の本質
筆者は常々「中古車を買うなら極端に新しいものか、逆に極端に古いものがいい。中途半端な年式はあまりオススメしない」と言っているが、それを証明するというか、類するような話があった。ネットオークションでのことだ。
「伊達軍曹」用の衣装をネットオークションで落札した経験はあったが、出品をしたことはなかった。しかしこのたび長屋を引っ越すにあたり、不要のまま放置していたギター類とカメラを処分する意味で出品してみたのだ。
自分で言っちゃうのもアレだが結構ハイスペックで新しいギターと用具類は、かなりの高値がついた。これはまぁ順当な結果だが、意外だったのは、キズがあったためジャンク品扱いで出品した1970年代の日本製ギターと、「今さら誰も使わないんじゃないか?」と思っていた某フィルムカメラが、かなりの値段で落札されたことだった。「新品価格と落札額との差」でいえば、この2点が断トツのトップで小さかったのだ。
逆に中途半端に新しい年式のギターや用具類は、パッとしない金額での落札となった。いや、そのギターも結構有名な舶来品であり、用具類も信頼の国内有名メーカー製だ。しかし、てんでダメだったのだ。要するに「ほかに代わりがいくらでもあるモノ」にはさほどの価値がない、ということなのだろう。
キズもののギターはたしかにキズもので、しかもかなり古い品だが、しかし今となってはあのモデルを持っている人はそう多くはない。フィルムカメラも同様だ。デジタルカメラのように使い勝手が良いわけではないが、今やレアな名機扱いの品であるため、欲しい人からすると「大枚はたいてでも手に入れたい!」と思うだけの価値がそこにあるのだ。
9年落ちよりも20年落ちゴルフのほうが2倍高い理由
これと同様に車も、「ほかに代わりがいくらでもあるモノ」は、これから先もさほどの価値をはらまないままその生涯を終えるのだろう。具体的な車名を出してしまい大変恐縮だが、例えばゴルフ5(旧々型VWゴルフ)の前期GLiなどは、決して悪い車ではないが、しかし似たようなスペックの車はほかにも星の数ほどあるため、いわゆる「価値」はさほどない。相場的にも約9年落ちで総額50万円程度というのが一般的だ。
しかし、いまだに欲しい人が後を絶たず、その割に流通量というか現存数が極端に少ない「ゴルフカブリオ クラシックライン」になると、20年以上前の車であるにもかかわらず相場はいきなり100万円前後になる。車の価値=価格とシンプルに言い切ることはできないが、しかし相場が高いということは、「その車には、その金額を出すだけの価値がある」という多くの人間のコンセンサスがある……ということだ。
ネットオークションと違い、中古車は「高値売却」を目的とするものではない。それゆえ基本的にはVWゴルフ5のGLiだろうがなんだろうが、各人がお好きなモノを買うのが一番だ。しかし、日頃の乗り味と自己満足、そしてリセール額を含む「総合的な価値」を考えたとき、狙うべきは冒頭で申し上げた「極端に新しいものか、逆に極端に古いもの」であるはずなのだ。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「永遠の(?)価値を持つ往年の名車」だ!
写真は初代ゴルフのカブリオレだが、これと2代目の部品を利用して作られた91年登場のクラシックラインは今なお人気で、相場もかなりの高値をキープ
レンジローバーも2代目の相場は安値安定だが、初代の相場はいまだ堅調。しっかり直すのにそれなりの予算はかかるが、それだけの価値はある車だ
W124型M・ベンツに5LのV8を搭載し、設計の一部と初期ロットの生産にポルシェが関係していた500E。良質物件はいまだ500万円オーバーとなる
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中