【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、往年のアメ車を勧める
カテゴリー: クルマ
タグ:
2014/04/24
ベテランさんが陥る「自動車的倦怠期」の解消にはアメリカ車が効きます!
なぜ、多くの輸入車好きはアメ車をスルーするのか?
結婚生活などと同様に、車道楽というのも長年続けているうちに倦怠期がやってくる。「車を買うお金はそれなりにあるし、いろいろな車にさんざん乗ったけど、もう乗りたい車って特にないんだよね……ハァ」などと贅沢なため息をついている人もいることだろう。
そんな方の多くはヨーロッパ系の輸入車を主に乗り継いでこられたのだろうと推測するが、ところで「アメリカ車」にお乗りになったことはあるだろうか? 特に、近年のそれではなく、中古車としてしか買えない往年のアメ車に。
もちろん試乗等はしたことがあるかも知れないが、ご自分の車として所有したご経験は? ……おそらく「ない」と答える人も多いのではないか。かくいう筆者もそんな一人で、これまでヨーロッパ系の準旧車にはさんざん乗ってきたが、往年のアメ車は意識的にか無意識にか、とにかく避けてきた。
しかし、よく考えてみれば往年のアメリカ車をわざわざ避ける理由はないはずなのだ。
いや、致命的な理由が一つだけあるが(それについては後述する)、そこさえクリアできるのならば、「え~とナローのポルシェにしようかな、それとも60年代のマスタングにしようかなぁ」などと悩んでしかるべきなのに、多くの人は「ナローのポルシェにしようかな、それともアルピーヌにしようかなぁ」と、あくまでもヨーロッパ圏内でのみ思考を巡らせる。
趣味じゃない、というシンプルな理由は一瞬さておき、要するに「なんか信頼性低そう」「燃費悪そう」というのが、往年のアメリカ車が購入候補に挙がらない主な理由なのだろう。
サイズ的な問題がないなら一度は乗ってみるべき
しかし、ヨーロッパ産の旧車や準旧車の世界とまったく同じように、往年のアメリカ車にはそれを専門とするショップが全国に多数あり、例えばエンジンの点火系などを現代のそれに交換したうえで、ごくフツーに乗れる状態に仕上げて販売している。またそれを好む好事家も、草の根レベルで有意義な情報交換を行っている。ヨーロッパ車趣味の世界とまったく同じだ。
燃費も、排気量7L級のビッグブロックだとさすがに3km/Lとかの悲惨なレベルになるが、5L前後のスモールブロックであれば5~7km/Lぐらいは走るのが普通だ。この数字もまた、ちょっとしたヨーロッパ製旧車の実燃費とほとんど同じである。
違うのは「まったく新しい世界が開ける」ということだろう。極端な言い方をすれば往年のメルセデスもBMWも、その乗り味や世界観は似たようなものだが(極端に言えば、です)、メルセデスとマスタングとでは、やはり何から何までが違う。アメリカ車の乗り味を良しとするかどうかは人それぞれだが、少なくとも「もう乗りたい車って特にないんだよね……ハァ」というため息をついている人は、アメリカ車という“まったく違う世界”を自分の人生に取り入れてみる価値はあるのではないだろうか。
ただ、途中申し上げた「致命的な」ポイントもたしかにある。それはサイズだ。見た目以上に小回りが利くのが往年のアメリカ車の美点だが、それでもやはりサイズゆえに、たとえば都内の住宅街などでは厳しい局面もあるだろう。
しかし逆に言えば、問題はそこだけなのだ。そこが気にならない環境にあるのであれば、そして「乗りたい車がない」的な倦怠期に陥っているのであれば、準旧車的アメリカ車に注目してみる価値は大だと思うのだが、どうだろうか。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「往年のアメリカ車」だ!