【伊達セレクション】異端の中古車評論家・伊達軍曹、多走行物件に注目する
カテゴリー: クルマ
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2014/04/22
走行距離だけにこだわるの、そろそろやめませんか?
賃貸住宅選びと中古車選びはよく似てる
私事で恐縮だが、転居を考えている。無論、金などない筆者のことだから「堂々の一戸建て建立!」などではなく、賃貸長屋から賃貸長屋への華麗な展開だ。
それはさておき、物件を探しながら思うのは「賃貸住宅選びと中古車選びはあまりにも似ている」ということだ。その一例として「どちらも“妥協”をしない限りは一歩も前に進めない」という類似点がある。
筆者の転居でいえば、当初の条件は「日当たり良好、駅近、築10年以内、●平米以上。それでいて賃料は●万円以内」というものだった。しかしそれだと、いわゆる人気エリアのせいか該当する物件はほとんどゼロで、たまにあっても、ちょっと住みたくない気配が濃厚に漂う長屋ばかりであった。
「このままでは宿なしになってしまう……」と危惧した筆者は、ついに「妥協」することにした。会社勤めをしているわけではないのだから、駅からやや遠かったとしてもさほど支障はない。ということで「駅近」という条件を外してみたところ、あっという間にステキな新築長屋が見つかり、近々そちらへ越すことと相成ったのだ。
このケースと同様に中古車も、「上級グレードで装備良好で、ワンオーナーで禁煙車で、ボディカラーは絶対ホワイトで、走行距離は3万km以内。それでいて支払総額は●万円以内」などとやっても、筆者の賃貸住宅のように「該当する物件はほとんどゼロで、たまにあっても、ちょっと乗りたくない気配が濃厚に漂う個体ばかり」となるのは必至である。
いや、「支払総額は●万円以内」というところの●がかなり大きい数字であるならば、そこそこの数の物件はヒットするだろう。しかしそれが比較的小さい場合は、やはりどれかの条件を「妥協」する必要があるのだ。
走行距離多め=NGでは決してない
では、その際に妥協すべきポイントはどれか? これはもう各人の価値観によるので一概には言えないが、筆者がさしあたり提案したいのは「走行距離をちょいと妥協してみてはいかがですか?」ということだ。
たしかに中古車は傾向として「走行距離が少なめだと何かとGood」というのはある。しかしそれはあくまでも「傾向」であって、実際には「全然ダメな走行2万km台」もあるし、「前オーナーが手塩にかけて育てたお宝系8万km」もあるのだ。しかし「手塩系8万km車」は、その数字だけで若干売りづらくなるため、販売店としては買取価格も販売価格も低めに設定さぜるを得ない。
そういった現実は、手塩にかけて育てた前オーナーさんにはお気の毒としか言い様がないが、しかし買う側としては「待ってました!」である。若干トウは立っているが十分美しく、そして整備内容テンコ盛りの1台を、平均的な価格よりもずいぶん安く狙えるのだから。
もちろん、なかには「ただ走行距離が多いだけ」という物件も多いので、お宝か否かはしっかりと見極める必要がある。しかし、筆者が実際にチェックしたわけではないので断言はできないが、下記物件リンクにあるように「ワンオーナー/禁煙車/記録簿付き/修復歴なし」という条件で探してみれば、意外なお宝を発見できる確率はある程度高まるだろう。
ということで今回の伊達セレクションはずばり「走行距離8万km以上の意外なお宝候補」だ!
街中でチマチマとストップ&ゴーを繰り返した車よりも、長距離をズバッと走ることが多かった車のほうが調子がいいケースはままある
そういった意味では、例えばだが法人ワンオーナーの多走行快速セダンは、一度に長距離を走るビジネスエクスプレスだった可能性も
こちらの写真はM・ベンツ190E 2.5-16。こういったややマニアックな旧車は、走行距離の多寡ではなく整備履歴のほうがよっぽど重要なのだ
【伊達軍曹 Sergeant DATE】東京都杉並区出身の輸入中古車研究家。外資系消費財メーカー本社勤務の後、出版業界に。現在は「輸入中古車は、その価格にかかわらず素晴しい!」との見方を核とする輸入中古車研究家として各誌で活躍。雑誌「カーセンサーEDGE」では「中古車相場 威力偵察隊」を連載中