【オンリーワンを探せ】新車時価格はトヨタ2000GT並みだったオペルGT
2014/04/07
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2014年4月1日に発見したのは「オペルGT」です。オペルとしては当時の主力セダン/クーペである「カデットB」をベースにデザインの可能性を探ったモデルでした。しかし、1965年のフランクフルトモーターショーで披露したら大反響で、3年後に市販化されたんです。
ミニチュア版シボレーコルベットのような雰囲気がウケたんです
オベルGTは「ミニコルベット」とも評されるデザインが魅力。そのデザインに3代目コルベットの影響が見えるのは、オベルのデザイン部門を率いていたデザイナーがシボレー(いずれもGM傘下)のデザイン部門も兼任していたことが影響しているのかもしれません。
GTは「スポーツカー」ではなく、お手軽にスポーツカーの雰囲気を楽しむための、いわば“伊達”スポーツカーでした。搭載されたのは1.1Lと1.9Lのエンジン。当該物件は後者です。10万台強(7割はアメリカに輸出)のGTが生産されましたが、スポーティなルックスとあって大半のユーザーは1.9Lを選びました。
日本円がまだ安かったこともありますが、GTが日本デビューした際の新車時価格は235万円。聞こえは“普通”かもしれませんが、当時の大卒初任給は4万円程度(厚生労働省調べ)でした。今の感覚でいうと約1200万円の高級車ということになります。
ほぼ同時期に販売されていたトヨタ2000GTは238万円で、後の価格改定でGTは2000GTより1万円高くなりました。2000GTの中古車が1億円級で取引されたことを考えると、当該中古車の158万円は破格に思えてきます。
GTは全長4115mm、全幅1580㎜、全高1280㎜とコンパクトですが、居住性は思いのほか確保されています。1.9Lエンジンは最高出力103psしかありませんが、車両重量は920㎏なので思いのほか軽快で、最高速度は185km/hです。
日本ではめったに見かけないGTを保有するって面白いクラシックカーライフだと思います。43年前のクーペながら、スタイルはお世辞抜きに流麗です。センターコンソールに備えられたレバー(スイッチではありません!)でリトラクタブルヘッドライトを出し入れするノルタルジックな行為だけでも惚れてしまいそうです(笑)。
もはや「オペルGT」と聞いてパッとこの車が思い浮かぶ人も少ないでしょう。高いのか安いのかも分からないミステリアスなオーラもお手軽に差別化にはうってつけです。のんびり走るだけで、ワクワクさせてくれる車なんて、なかなかないと思いますよ。
Text/古賀貴司(自動車王国)
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