原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年9月17日に発見したのは「オーテックザガート ステルビオ」です。1986年、様々なスペシャリティーカーの製造・販売を目的とする日産の子会社「オーテック・ジャパン」が設立され、その翌年、イタリアの名門カロッツェリア「ザガート」と高級スポーツカーの開発と限定生産に関する契約を結び、ステルビオが誕生しました。

ベースとなっているのは日産 レパード(F31型)の最上級グレード。オーテック・ジャパンが大幅なフレーム補強と改修、および足回りとエンジンのチューニングをしました。ベース(ボディパネルを持たず“骨格”のまま)が完成した後、イタリア・ミラノ郊外のザガート工房で内外装を仕上げたんです。ボディは職人によるアルミ合金叩き出しで、金型プレスでは表現できない丸みを帯びたサイドのエッジが特徴です。

内装には、高級な本革がいたるところに用いられており、ウッドパネルも装着。フロントシートはフレームのみオーテック・ジャパン製で、シート自体はザガートが用意しました。その優雅さには、職人やデザイナーのセンスが光っています。

エンジンはレパードに搭載されていた3L V6ターボをベースに最高出力225ps/6000rpm&最大トルク35.0kgm/3200rpmから、同280ps/6000rpm&41.0kgm/2800rpmへパワーアップ。トランスミッションはレパード・アルティマV30ツインカムターボと共通の4速ATで、高級スポーティ・グランドツアラーというステルビオの性格にマッチしています。

ステルビオの個性的なデザインは、ボンネット上に備えたボディ一体型のサイドミラーを抜きに語れません。「フェンダーミラーをいかにカッコ良く見せるか」というオーテック・ジャパンからのリクエストだったようですが、やはり奇抜です(笑)。なにも奇をてらったわけではなく「フェンダーミラーはドアミラーよりも視線移動が少なく合理的」という信念だったんです。今となってはステルビオのチャームポイントです。

ステルビオは200台の生産予定だったんですが、100台程度しか作られませんでした。新車時の価格は、なんと約1900万円。当時のM・ベンツSクラス最上級モデルより高かったんです。そんな、かつて大富豪しか手を出せなかった超バブルカーも今では225万円で狙えます。かなりレアで目立つ存在ですし、これ以上、値下がりすることはないと思います。

Text/古賀貴司(自動車王国)

オーテックザガート ステルビオ | オンリーワンを探せ

オーテックザガート ステルビオ

本体価格(税込)198.0万円
支払総額(税込)230.0万円
走行距離4.6万km
年式1990(H2)年式
車検
整備
保証
地域茨城