原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2013年3月18日に発見したのは「キャデラック フリートウッド62」です。絶版となったフリートウッドですが、流通台数は今でもまぁまぁ残っています。ただ、1953年式(昭和28年式)ともなれば激レアな物件です! 古い車うんぬんはもちろんのこと、戦後8年目にはこんな車がアメリカには存在していたんですね。 

曲線でふくよかさと優雅さを演出しながらメッキパーツを多用することで、“ギラギラ感”たっぷり。フロントグリルから2つの弾丸が突き出したようなものは、デザインのアクセントのようにみえますが、一応「バンパープロテクター」と呼ばれるものです。リアにもバンパー上部に弾丸が突き出していますから、当時は本気でバンパーを保護するためのものだったようです。

フリートウッド62は全長5482㎜、全幅2035㎜、ホイールベースは3200㎜もある巨漢。その威風堂々っぷりは現在の名だたる高級セダンと比べても、まったく引けをとりません。

効率うんぬん、日本の道路事情うんぬんはあるでしょうが、世界的に見たらやっぱりボディサイズって高級車を表現するのに欠かせない要素のひとつだと思います。フロントマスクの面積は、空力特性を犠牲にしてでも大きくしないと存在感が減ってしまうのではないでしょうか。

空力を考えてデザインされたM・ベンツ SクラスやBMW 7シリーズと、威厳ある顔つきを重視してデザインされたロールスロイス ファントムやベントレー ミュルザンヌなどを比べると、その違いがわかると思います。「高級車のセグメントにおいて車両価格や、ブランド力(歴史やイメージ)もさることながら、フロントマスクの面積によって“ヒエラルキー”があるのかもしれない」と考えさせられてしまいます。

その点、フリートウッド62はものすごい押し出し感です。しかも、ガソリンスタンドに行けば一瞬でヒーローになれますよ。というのも、給油口は左リアの“ブレーキランプ”をパカッと開けるんです。「おおおぉぉぉ!」という驚嘆のリアクション間違いなしです(笑)。

当該車両ですが、物件情報には「フルレストア済み」、「新品パーツ多数」、「全機能良好」と記載されています。たしかに内装は張り替えられたばかりのようですし、エンジンルームの写真を見るとオルタネーター(発電装置)も新品のように見えます。「358万円」という金額自体は安いものではありませんが、現在のフルサイズ高級セダンを圧倒できるオーラの持ち主だと考えれば、リーズナブルではないでしょうか。

思わず「もし壊れたら中古セルシオのパワートレイン移植して、日常の足に使って……」などと、私は脳内シミュレーションをしてしまいました(笑)。

Text/古賀貴司(自動車王国)

キャデラック フリートウッド62

キャデラック フリートウッド62

本体価格(税込)358.0万円
支払総額(税込)---万円
走行距離不明
年式1953(S28)年式
車検
整備別(18万円:諸費用込み)
保証
地域群馬