【オンリーワンを探せ】色あせないかつてのマツダ最高級モデル
カテゴリー: クルマ
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2012/11/13
原稿執筆時点でカーセンサーnetに1台のみ掲載されている希少車を紹介するこの企画。今回、2012年11月8日に発見したのは「マツダ アンフィニ MS-9」です。若い世代の方はご存じないかもしれませんが、マツダがかつて展開していた高級ブランドがアンフィニです。販売網の多角化により、差別化を演出したかったのでしょう。アンフィニで販売された車両はすべて「MS(Megalo Sprits:大いなる思い、という意味)」で始まり、車格を表す数字が付けられました。MS-9は、そのアンフィニの最高級モデルでした。
MS-9はマツダ センティアをベースに、専用色や専用装備の設定、アンフィニバッジの採用などで差別化を図っていました。いわゆる“バッジエンジニアリング”と呼ばれる手法です。デビュー当時は画期的に感じられていました。操縦性と高速時の安定感を向上させる車速感応型4WSシステム、ガラスサンルーフに太陽電池を組み込み停車中に車内を換気するファンを駆動させる「ソーラーサンルーフ」など、マツダの最高級モデルだけあって、ぜいたくな仕様になっています。
センティアは「人生とやらを、愉しむ車です」、対してMS-9は「凛々しさを語るビッグセダン」というフレーズが当時のテレビCMで使われていました。いかに優雅さを大切にしていたかがうかがえます。また、日本のバブル景気を反映してか威風堂々としていること、カッコ良いことも大切にしていたようです。事実、全長は4925mmと大きいのですが、車高を1380mmと低く抑えるなど見栄えを重視しています。今の時代は居住性とスタイルの両立を図ろうとしていますが、MS-9デビュー当時はそうではなかったのです。
当該車両には整備記録簿は付いていませんが、写真を見るかぎりはキレイそうです。ステアリングのテカり具合もほどほどですし、何よりもシートの状態があまり乗られなかった印象を与えます。また、ドア周りのゴム類も“生きている”ように見受けられます。室内保管されてきたかのような程度の良さです。
こう言っては失礼かもしれませんが、もはやマツダが高級車セグメントへ挑戦するとは思えません。乗れるうちに、流通している間に、マツダが思い描いた高級車を味わっておくのも面白いと思います。内外装のデザインなど、個人的には今でも色あせない魅力を感じます。かつての憧れを今もひいき目で見ているのか、当時を知らない人もカッコ良いと思うのか…。みなさんは、どのように感じられましたか?
Text/古賀貴司(自動車王国)