スバル ストリーガ(1995年東京モーターショー)→フォレスター(2002年)

現行モデルではかなりSUV色の強いスバルのフォレスターだが、1995年のコンセプトモデル「ストリーガ」はまさに「クロスオーバー」という表現がピッタリといえるほど、ステーションワゴンの延長的なたたずまいを見せていた。一口にクロスオーバー車といってピンと来ない人もいるかもしれないが、乗用車に4WDを掛け合わせたものをイメージしていただければわかりやすいと思う。

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まだまだクロスオーバー車というカテゴリーが日本では社会的な認知を受けていなかった時代でもあり、「どこを狙っているんだろう?」という疑問の声も多かった。そして2002年、フォレスターとしてデビューした

「商用車編」で紹介されてしまった逸話

スバル ストリーガ リア | 日刊カーセンサー初代フォレスターのベースは1995年の東京モーターショーに出展されたコンセプトカー「ストリーガ」。すでに市販されていた初代インプレッサがベースとなっている。当時の資料によると全長4450×全幅1740×全高1570mm。

2Lの水平対向DOHCターボエンジンを搭載していた。見た目の細かい意匠以外は市販モデルのフォレスターに引き継がれているので、このことからも市販を前提としたモデルだったことがうかがえる。

インテリアは市販モデルがほぼインプレッサを流用していたのと比べると、だいぶ質感の高いものであった。当時の某雑誌モーターショー特集号では、「商用車編」で大々的に紹介されていた。それだけ日本ではカテゴライズが微妙なポジションの車だったのである。

北米では超WELCOME! 状態

スバル フォレスター 2.5L | 日刊カーセンサー代々インプレッサスポーツワゴンは「ワゴン」というわりには、ラゲージスペースの容量や使い勝手は「ハッチバックに毛の生えたような」程度であった。

フォレスターは、兄貴格のレガシィツーリングワゴンほど価格設定が高くないが、ワゴンとしてのユーティリティ、そしてSUVライクなスタイリングをもつ。スバルは「持ち駒(ラインナップ)」が少ないが故に、より多くのお客を取り込もうとするあまり、知らず知らずにクロスオーバービークルを作ってしまったのかもしれない。

市販デビューは2002年。全長4450×全幅1735×全高1580mm、エンジンはストリーガと同じ2Lの水平対向DOHCターボエンジンだった。ただし市販モデルには、ターボユニットのほかにNAのSOHCや2.5Lエンジンの設定もあった。発売前の事前撮影会が群馬県にあるスバルの研究所で行われたのだが、やはり「狙いどころ」がいま一つ理解できずに取材していたことを記憶している。

日本では、スバルを購入しようとする人は、やはりターボモデルを狙いがちだ。にも関わらず、NAエンジンモデルも用意されているから、余計コンセプトがボケてみえた。

しかしこれがNAエンジンのみをラインナップする北米市場となると、その評価は変わってくる。3ナンバーサイズとはいえ、北米ではコンパクトな部類に入ることもあり、パーソナルユースとして人気を博したのである。自動車文化先進国のアメリカでは、トラックフレームベースの古典的なSUVに飽きた層を中心に、トヨタRAV4などのいわゆる「シティSUV」が注目されていた。しかしそれらの車は、5ナンバーサイズであったり、SUVの域を出ていないことが多かった。そのような中、乗用車ベースであるフォレスターがもつ「ステーションワゴンの延長線上」というコンセプトが、見事に受け入れられたのである。

そのすぐ後にトヨタも、カムリベースのハリアーを発表。「乗用車ベース」というクロスオーバーの概念は欧米にはなく、しばらくハリアーを中心とした日本車の独壇場となる。以後は北米市場でのフォレスター人気は高く、レガシィより知名度があるとも言われている。ちなみにフォレスター以外でも、アウトバック、インプレッサあたりが、北米ではレガシィより認知されているという。