THE!対決

PART1 走行性能が優れているのはどっち?

Report/島崎七生人 Photo/奥隅圭之
トヨタ iQ
トヨタ iQ 走り|THE!対決
↑走りは意外と普通で常識的。とくに感心するのは乗り心地が良いことで、ヒョコヒョコしたピッチングはほとんど感じられない。フラットライドだ
トヨタ iQ ドライビングポジション|THE!対決 トヨタ iQ リアシート|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ
スマート フォーツーカブリオ 走り|THE!対決
↑最良の出来映えという印象のアイドルストップは秀逸。乗り味も初代より洗練度が増し、フラット感や落ち着き感、操舵力などもまずまず
スマート フォーツーカブリオ ドライビングポジション|THE!対決 スマート フォーツーカブリオ ECOインジケーター|THE!対決

タウンスピードから高速道路まで、自然に走れる性能を発揮

日本カー・オブ・ザ・イヤーのタイトルもモノにしたトヨタ iQ。何かと話題多き車であることも確かで、試乗していると、街ゆく人の神妙かつ興味津々な視線をしばしば実感した。

全長が3mを15mm切る2985mmで、ホイールベースはたったの2m。なのに全幅は1680mmあるので、実車は短く幅が広い、たしかに不思議な“タテヨコ比”。その上、スタイルも凝ってはいるがLEGOの自動車のようなスマートに比べたら常識的だ。15インチタイヤ/ホイールアーチ間の隙間がやや大きく感じるのは、前後方向のサイズの極端な短さによるアンバランス感によるもの。いずれにしろ“見たことがない感”では、スマート以上の存在感だ。

が、そんなiQだが、走りは意外なことに普通で常識的なのだった。とくに感心したのは、乗り心地がいいこと。スマートや昔のジムニーあたりのヒョコヒョコしたピッチングはほとんど感じないし、相対的に幅があるおかげで、乗員の頭が左右に振られるような不快な揺れもない。コレなら食後スグに乗っても大丈夫…そんな感じのフラットライドだ。

ステアリングも切り始めにピクリ!と反応しそうだが、まるでミドルセダンのようにスムーズ。ステアリングホイールのグリップはやや太めだが、操舵力も適度な重さで不安感なし。

68ps/9.2kg-mの性能の3気筒1Lエンジンは、高回転時の音質こそやや雑然としているも、車両総重量が1110kgと意外と目方のあるこのiQに無理のない動力性能をもたらす。タウンスピードから高速まで、基本的に自然に走れる性能を発揮してくれる。

フル乗車テストは、当然ながらiQは4名。シートが4脚ある以上、4名乗車は可能である。が、運転席後ろ側は「ちょっと大柄な男性は座りたくない、というか座れない」のが実態。他方、助手席を前方にスライドさせれば、その後ろは「十分に座れる」が、「目の前がデカい前席のシートバックなので閉塞感アリ」。リアクォーターウインドウも「顔の後ろになる」。助手席は「足が伸ばせるし、シートもいい」とのこと。乗り心地は「思ったほど悪くない」「左右に揺さぶられない」とまずまずの評価だった。

まるで違和感のないアイドルストップは同システム最良の出来

一方のスマートだが、試乗車は最新型の「スマート フォーツーカブリオ mhd」だった。mhdとは“micro hybrid drive”を意味し、スピードが8km/h以下になるとエンジンが停止する機能をもつのが特徴で、日本のカタログ上の10・15モード燃費は23.0km/Lと奇しくもiQと同じ。外観などは2世代目の現行スマート フォーツーそのままだが、アイドルストップの搭載で、この車“らしさ”が一気に高まった…そう思えるモデルだ。

で、実際のところアイドルストップの具合はどうか?というと、同様のシステムとして最良の出来栄えなのでは!?という印象だ。言葉で表すと「とにかく違和感がない」印象で、たとえば赤信号に接近時、近づいて減速していくと、車が停止する直前にエンジンがストンと止まり、再度発進しようとブレーキから足を離せば、スッと再始動してくれる。

車が停止してからエンジンが止まるより感覚的に違和感がないのはおもしろいが、ともかくこの機能がうっとうしく感じないのがいい。もちろんエンジン停止中は静かだし、再始動時のショックもごく小さく、0.35秒と短時間でエンジンが目覚めるので、再度発進時にもどかしさ、不安も実感しない。またアイドルストップがわずらわしい場面なら、スイッチでキャンセルさせられるのもいい。

一方で乗り味は、初代よりも全体に洗練度を増した現行型のマナーそのもの。今回のようにiQと乗り較べると、路面の明らかな凹凸の上を通過する際などのショックは、やや大きめに感じる。が、初代のあのヒョコヒョコした乗り味は現行型ではかなり抑えられているし、良路や高速走行時のフラット感、落ち着き感、ステアリングの操舵力(適度な重さ)などもまずまず。昔のスポーツカーのようにブレーキペダルが床下から生えており、その踏み加減は人により慣れが必要そうだが、小ささを我慢することなく走らせられるようになっているのが、今のスマートだといっていい。

フル乗車テストは2名で実行した。スマートは、最小単位というか、ある意味贅沢というべきか、2シーターだ。なので「シティコミューターだと割り切るべき」で、路面からのショックなども「必ず来るものだ…の心意気で乗るべきもの」だというのが、唯一、1名だけの同乗者のコメントだった。「緩いシフトチェンジが先代より良くなった」の意見も挙がった。
今回のまとめ
スマートのアイドルストップは、働きが自然でかなりの完成度の高さだ。が、マイクロコンパクトカーとして近い存在感同士として比較し、iQが意外にも“普通の車感覚の走りっぷり”なのを評価したい。
今回のテスト車両
トヨタ iQ フロント|THE!対決
トヨタ iQ リア|THE!対決
トヨタ iQ インパネ|THE!対決
トヨタ iQ
テスト車両 100G“レザーパッケージ”
160万円
駆動方式 2WD
トランスミッション CVT
全長×全幅×全高(mm) 2985×1680×1500
ホイールベース(mm) 2000
車両重量(kg) 890
最小回転半径(m) 3.9
乗車定員(人) 4
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 996
最高出力
[kW(ps)/rpm]
50(68)/6000
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
90(9.2)/4800
使用燃料 無鉛レギュラー
燃料タンク容量 32L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 175/65R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です
スマート フォーツーカブリオ フロント|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ リア|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ インパネ|THE!対決
スマート フォーツーカブリオ
テスト車両 mhd
213.0万円
駆動方式 2WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) 2720×1560×1540
ホイールベース(mm) 1865
車両重量(kg) 850
最小回転半径(m) 4.2
乗車定員(人) 2
エンジン種類 直3DOHC
総排気量(cc) 999
最高出力
[kW(ps)/rpm]
52(71)/5800
最大トルク
[N・m(kg-m)/rpm]
92(9.4)/4500
使用燃料 無鉛プレミアム
燃料タンク容量 33L
10・15モード燃費
(km/L)
23.0
実用燃費 (km/L)
e燃費提供
現在調査中
タイヤサイズ 155/60R15
175/55R15
※実用燃費のデータはe燃費の提供です