中古車でしか手に入らない名車 Part 2
2009/06/10
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生産中止になったり世代交代によって、独自の魅力をもった“名車”たち
そんな名車の中には長くつき合うほど魅力が増すモデルが多いのだ
中古車の未来遺産とも呼べる、そんな絶版&旧型中古車を今回はセレクト
中古車でしか手に入らなくなった名車たちを安く選べる今こそ狙い目! |
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三菱 グランディス(絶版型)
名車シャリオの血を引き継ぐグランディスも今年の3月をもってついに生産が終わってしまいました。1980年代にデビューしたシャリオは、多人数乗車のMPVとして、ミニバンの先駆けとなるモデル。なかでも3世代目にあたるシャリオグランディスは当時、ファミリィミニバンとして大いに人気を博したものです。日本におけるミニバン史のメインプレイヤーなんですね、実は。
シャリオから数えて4世代目でその名もグランディスのみと改められましたが、歴史あるモデルゆえミニバンとしてよく練り込まれた車。あらためて今見ると、まずスタイリングがユニーク。特に前期型。売れなかった車はたいていマイナーチェンジで外観改悪となるものだけど、この車もそう。絶対、マイチェン前のオリジナルデザインがいい。そういえば前期型にはカスタマーフリーチョイス(CFC)システムもあったっけ。ちなみに当時の三菱のデザイン責任者は今も昔もメルセデス・ベンツのオリビエ・ブーレイさん。2代目レガシィや歴代メルセデス・ベンツを担当した有名デザイナーだ。
FF車でいいなら前期型を、どうしても4WDというならシステムも3モード付きへと新しくなった後期型を。デビュー直後に初めて乗ったとき、想像していた以上にちゃんと走るミニバンだと感じたことを思い出す。シャーシはかなりしっかりできているから、カタチさえ気に入れば満足度は高いはず。低価格で手に入る本格ミニバンです。
トヨタ MR-S(絶版型)
ひょっとして知らない人も多いかも。だからあえて先に言っておくと、MR-Sってミッドシップスポーツカーとしてとってもマジメに作られた車です。こう言っちゃなんだけど、初代&2代目MR2(ちなみにMR-Sも海外ではMR2だった)なんかより相当考えられている。純ミッドカーらしく、ちゃんとスポーツできる、楽しめる車でした。スタイルがね、ちょっと変わっているので損したっぽいけど。価格的に安いミッドシップのオープンスポーツカー。
当然、コンポーネンツは量産車のそれ。ここまではMR2と同じ。そうじゃないと安くできません。古くはフィアットX1/9なんかもそうだった。正攻法なわけです。で、レイアウトを頑張った。トレッドを広げてホイールベースを長くし前後オーバーハングを切り詰めて軽量なミッドカーとしたわけです。エンジンはそれほど凄くないけれど、このレイアウトのおかげでとってもキレのいい走りを実現。トヨタ初のロボタイズドミッション搭載と相まって、手軽にスポーツドライブを楽しむにはもってこいな車というわけ。オープンカーだしね。
走りにこだわって狙うなら、6速化(MTもセミATも)されてボディ剛性も上がった後期型を。とにかく安くスポーツドライブを楽しみたいというなら前期型でも十分。根がマジメなミッドシップカーだから、いつまでも長く楽しめるはず。量産車ベースだからメンテナンスもラクだしね。
ホンダ S2000(もうすぐ絶版型)
今後しばらく、ホンダの後輪駆動リアルスポーツカーってないんじゃないかな。というかここしばらくでもS2000しかなかった。逆にいえばホンダの意地がたっぷりと詰まっている。最終型に乗ってみるとホント、それがよくわかります。熟成の極み。スポーツカーとして性能アップはもちろん、普段乗りの仕上げなど、あんなに売れていなかった(失礼!)車なのに、よくもまああきらめなかったもの。意地だとしか思えませんね。
1999年、衝撃のデビュー。ボクも速攻で買いました。頑丈なフレームとカンカンに回るエンジン、ちょっとシビアだけどコーナリングの醍醐味が存分に味わえるシャーシ、そしてオープンモータリング。2L時代の初期型には、後の2.2Lにはないエンジンをぶん回す楽しみがありました。原石の荒々しさが今となっては貴重。そんな車ですから、必ずやエンスー御用達アイテムになることでしょう。数が少ないというのも、今から乗る人には魅力。
スポーツカーというものは得てして枯れないもの。カタチだけのなんちゃってスポーツは消費されて終わりだけど、ナカミが本格的ならば未来永劫、価値が残る。S2000はエンジンパフォーマンス、ハンドリングともにスポーツカーとして第一級だし、何よりこの時代唯一のホンダのFRスポーツカーなんですから! 安くなってサーキット用として乗りつぶされる前に、じっくり味わっておきたいものです。
トヨタ クラウンエステート(絶版型)
その前のクラウンワゴンも8代目ベース(S130)で1987年から1999年まで実に12年間も作られたベストセラーモデルでした。特に後期型ステーションワゴンは今なお出物を探すマニアも多い人気車。後継モデルがデビューした後も高い人気をもち続けたわけですが、さすがに新しくても十年選手。1999年から2007年の11代目( S170)ベース/クラウンエステートを狙うほうが現実的な時代になってきました。
クラウンワゴン人気のワケは、あの頃のクラウンらしいフカフカの乗り心地と二段ルーフなどいかにもステーションワゴンらしいいでたちにあったのでしょう。逆にエステートと名乗ってからは、アスリートモデルを設定するなど“走り”を意識したモデルになっています。まあ、そのぶんだけモダンに乗れてしまうことは事実。悪いことばかりじゃないってこと。エンジンラインナップも豊富だし、探せば4WD仕様だって見つかるはず。
最後の国産Lサイズワゴンとして今乗っておくのも悪くない。どころかもう何年かすると、以前のステーションワゴン人気のような事態に陥ることも十分に考えられますから。今すでに途切れてしまっていることを考えると、この先クラウンクラスのステーションワゴンが出る可能性はしばらくありません。欧州以外、めぼしいワゴン市場はないわけですから。時がたつほどに、多くのワゴンフリークが悔やむことでしょう。あの時、買っときゃ良かった…。
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西川 淳=文 |
※この記事は、カーセンサー関東版12号(5月21日発売)の特集をWEB用に再構成したものです |
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