最高のとろろ、そして最強の借景。熱海の「自然薯処 麦とろ童子」
カテゴリー: ドライブ
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2015/07/15
まるで風流な粋人の海辺の別荘に招かれたような気分
「天気の良い日、海沿いの道をのんびり走る」というのは、もしかしたらドライブにおける最大の楽しみなのかもしれない。そして、ひたすら海を眺めながら走った先で(※もちろん脇見運転は厳禁ですけど)、ごはんを食べるとなったとき、その店内でも、まるで海沿いドライブの続きのような最高の景色を楽しめるとしたら? ……それはもう最高すぎるイベントとなることは間違いない。
そんな最高すぎる経験ができるのが、住所でいうと静岡県だが実際は神奈川県の湯河原駅にほど近い海沿いのお店、「自然薯処 麦とろ童子」だ。
東京方面から麦とろ童子に行く場合は山側(箱根側)からではなく、ぜひ海側からアプローチしたい。できれば江の島あたりから国道134号線を使って下道をのんびり走り、そして西湘バイパスおよび真鶴道路に乗る。そうすればおおむね1時間の間、あなたの左側にはほぼず~っとエメラルドグリーンの海が見えることになる。
海風を感じながら真鶴道路を降り、国道135号線を山の方にほんの少々向かった左手に、あなたは「麦とろ童子」を見つけるだろう。ただ、夏の間はお店の周囲の木が生い茂っているため、もしかしたら見落としてしまうかも。左手に現れる看板を見落とさないように。
駐車場に車を止め、昭和35年(1960年)に移築されてきた古民家を改装した麦とろ童子の店内に入る。昭和の香り漂う、しかし現代的にリノベーションされた玄関、廊下を抜けて座敷に通されると……そこは「海」だ。
いや、もちろんそこが海そのものであるはずはないのだが、かなり大きく採られた窓の向こう一面に、相模湾と真鶴半島が広がっているのだ。まさに「絶景」であり、最高の「借景」である。
景色に見とれているうちに、「Can I talk to you?」となぜか英語で話しかけてくる人物があなたの傍らにやってくるだろう。店主である。18年前、この古民家に一目ぼれして「最初は別荘のつもりで」購入したが、リフォームを依頼した大工さんに「せっかくだからここで何かお店をやればいいんじゃない?」と言われてその気になり、当時就いていた職を捨てて「自然薯処 麦とろ童子」を開業した。
いずれにせよ、オススメメニューをいくつか教えてくれるので、好きなものを注文しよう。注文は日本語で大丈夫だ。冗談として英語を話しているだけで、バリバリ日本人な店主である。
さて、この日の筆者は一番人気の「釜上げしらすとろろ丼(税込み1890円)」を頼もうと思ったが、よく考えたらそれは前回来たときに食べたので(うまかった!)、今回は二番人気の「ぶっかけ麦めし(税込み1785円)」を注文してみる。連れの女性は限定品の「いくらとろろ丼(税込み2280円)」を奮発した。
注文後1~2分ほどでまず「カニ汁」が出てきて、その後は「口直し」「メイン」「デザート+お茶」というコース的な順番で料理が提供される。店主の軽い口上を聞きながら食すと……うむ、やはり相変わらずうまい! ねばりの強い自然薯のとろろは「野性味」と「洗練」とが見事に同居しており、麦めしとの相性は最強。そしてその上に乗るヅケマグロのシャープでありながらふくよかなうま味が、全体を上手に引き締めている。絶品である。ナイスハーモニー!
同行者が注文した北海道産の大粒いくらをふんだんに使った「いくらとろろ丼」もひと口いただいたが、いくらのやさしい甘みと自然薯の自然な甘みが口の中で絶妙なマリアージュを起こし、最終的には「歓び」に昇華する。個人的には「麦めし+自然薯」の豪快な組み合わせの方が好きだが、人によってはこちらの上品なハーモニーを好むだろう。ぜひ複数回来て、両方食べてみていただきたい。
食後、大満足して「あ~うまかったああああ!」と、お行儀としては最悪だが床にゴロリと寝転がって天井を見上げてみると、梁と天井の間に和傘と和凧がステキにディスプレイされていることに気づく。なんとも粋じゃないか。
最後にもう一度、窓の向こうに広がる最高の借景を眺めてから、お勘定場へ。
最高のドライブと最高の借景、そしておいしい自然薯とろろを楽しみたい人には本気でオススメしたい、貴重なお店のひとつだ。
■自然薯処 麦とろ童子
住所:静岡県熱海市泉210
営業時間:午前11時30分~午後5時(ラストオーダー午後5時) 土・日曜は午前11時30分~午後8時(ラストオーダー午後7時)
定休日:水曜日
※2015年7月14日時点の情報です。上記は変更される可能性があります。ご了承ください
【関連リンク】
- 麦とろ童子(じゃらんnet)