スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

謎が謎を呼び、その謎がまた謎を呼ぶ壮大なスケールのキリスト教ミステリー

ダ・ヴィンチ・コード|映画の名車
『ダ・ヴィンチ・コード』2006年・米 原作:ダン・ブラウン 監督:ロン・ハワード 出演:トム・ハンクス/オドレイ・トトゥ/ジャン・レノ/イアン・マッケラン/ポール・ベタニー/アルフレッド・モリーナ/ユルゲン・プロホノフほか 販売元: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント ¥4,179(税込)
ダン・ブラウンのペンによるメガヒット小説を映画化し、世界中で賛否両極端の評価を得た2006年公開の映画『ダ・ヴィンチ・コード』。あれから3年。この5月には、『ダ・ヴィンチ・コード』と世界観を同じくする『天使と悪魔』がいよいよ公開される。メガホンをとるのは前作に続きロン・ハワード。主人公のロバート・ラングドン教授もトム・ハンクスが続投する。ただし注意してほしいのは、シリーズ第2弾ではあるが『ダ・ヴィンチ・コード』の続編ではないという点。時系列的には前章にあたる物語だ。

少し寄り道してしまうが、『天使と悪魔』を先にご紹介しよう。核エネルギーをしのぐほどの反物質の精製に成功した科学者ヴェトラの死体に残された焼き印から、謎に包まれている秘密結社イルミナティの存在が浮かび上がった。ラングドン教授はヴェトラの娘とともに事件を追う…というのがざっくりとしたストーリー。アクションてんこ盛りのタイムリミットサスペンスということで、『ダ・ヴィンチ・コード』よりはわかりやすい作品に仕上がっている様子。ヒロインのヴィットリアをイスラエルを代表する女優アイェレット・ゾラーが務めるのも話題で、否が応でも期待が高まる。

てなわけで、2009年上半期最大の話題作『天使と悪魔』公開まで約3カ月。鑑賞前に今一度、あのやっかいな『ダ・ヴィンチ・コード』を復習しておくことにしよう。物語はルーヴル美術館の館長、ジャック・ソニエールが謎の男に銃を向けられるシーンから始まる。果たしてソニエールの死体はレオナルド・ダ・ヴィンチの「ウィトルウィウス的人体図」を模した形態で発見された。これは犯人が施したものではなく、ソニエール自身が死の間際に行ったものだと断定された。

一方、学会に出席するために来仏していたハーバード大学のロバート・ラングドン教授は、パリの書店でサイン会をしている最中にフランス警察から同行を求められ、司法警察のべズ・ファーシュ警部(ジャン・レノ)から、ソニエールの残したダイイングメッセージの解読に協力してほしいと頼まれる。現場に遅れてやってきたのは暗号解読官のソフィー・ヌヴー(オドレイ・トトゥ)。ソニエールの孫娘である彼女は、ラングドンを巧みに誘導して、彼に危機が迫っていることを告げるのだった。

ここから先は2人の逃亡劇がスタート。ダイイングメッセージにはキリスト教の世界で最も重要な"聖杯"が眠る場所が隠されていることが判明。ラングドンを館長殺害犯だと断定する警察と、聖杯を狙う暗殺者の両方に狙われた2人は、聖杯伝説研究の第一人者、リー・ティービング(イアン・マッケラン)に助けを求めた。ほどなくして2人は、聖杯の本当の意味をティービングから聞かされることになる…。

おっと、すでに脱落している人もいそうですね。かくいう筆者も映画館では舟を漕いだクチ。フランスからイギリスへと駆けめぐるラングドンとソフィーの逃亡劇自体はハラハラドキドキで楽しめるんだけど、なんで2人が逃げなくちゃいけないのか!? 聖杯がどれだけ大事なものなのか!? 何がそんなにタブーなのか!? キリスト教に関する知識が薄ければ薄いほど焦点がぼやけてしまうのだ。

しかも、一つ謎を解決したらすぐさま次の謎が出現し、脳内の混線を加速させるという恐ろしい映画だ。だが、裏を返せば2度目、3度目の鑑賞が面白いとも言える。もちろん原作を読んでいれば、より楽しめるだろう。「結局、ジャン・レノは敵だったの!? 味方だったの!? 」などと記憶がおぼろげなアナタ!! 『天使と悪魔』の公開前に復習鑑賞しておくことを強くオススメしますです、ハイ。

映画に登場する車たち

スマート クーペ(2003年式)

ルーヴル美術館を逃げ出したラングドン教授とソフィー。フランス警察はラングドンを犯人だと決めつけ、執拗に追いかけてくる。2人はソフィーの愛車スマート クーペに乗り込み、逃走をはかるのだった。小回りが利くスマート クーペだけに、パリの街をクネクネ駆け巡るのだが、なかでも圧巻なのがバックしながら大型トラック2台の間をすり抜けるシーン。ドアミラーを破壊しながらも見事に通過するこのカーアクションは、序盤戦最大の見せ場となっている。スマートはもともとスイスの腕時計会社スウォッチがダイムラー・クライスラーとタッグを組んでスタートした自動車事業。1998年に欧州でオリジナルモデルであるシティクーペが発売されたが、赤字続きのため2000年にはスウォッチが完全撤退してしまった。しかしながら本作では公開直後から「あの車はなに!? 」と数万件の問い合わせが殺到、一躍人気者となる。さらにここ数年のエコブームも手伝って燃費面でも注目が集まり、2007年度はついに黒字転換。2008年度も黒字計上とのことだ。それにしても本職が暗号解読官のソフィーは、いつの間にプロ顔負けのドライブテクニックを身につけたんでしょうね!?


Text/伊熊恒介