スクリーンを飾ったあの名車、少ししか映らなかったけれど忘れがたい車…
そんな映画に登場した“気になる車”をカーセンサーnetで見つけよう!

中・台・香のアジアンビューティ最強合体に眼福しきり

クローサー|映画の名車
(c)2002 COLUMBIA PICTURES FILM PRODUCTION ASIA LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.
DVD『クローサー』発売中!! 2002年・中/米 監督:コーリー・ユン 出演: スー・チー, ヴィッキー・チャオ, カレン・モク, 倉田保昭, ソン・スンホンほか 販売:ソニー・ピクチャーズエンタテイメント 3,511(税込)
明らかに『チャーリーズ・エンジェル』(2000年)のメガヒットを受けて製作された、黒髪スレンダー美女3人によるアクション巨編。ところが、パチモノのダサさは微塵もなく、むしろアジアからの正式なアンサームービーとして堂々と受けて立つという、気合に満ち満ちた快作だ。なにしろキャスティングがすごい。『トランスポーター』でヒロインを務めた台湾のスー・チー、『少林サッカー』の好演で日本でも人気が爆発した中国のアイドル女優ヴィッキー・チャオ、『天使の涙』でおなじみ香港のカレン・モクと、アジアが誇る3大美女がそろい踏みなのだ(我が国の女優が招換されていないのが寂しいが、倉田保昭がラスボス役で貫禄の演技を見せてくれるので良しとしよう)。

3人の美女がズラリと並ぶだけでスクリーンは華やぐのはもちろんのこと、ハリウッドでアクション監督としてならしてきたコーリー・ユンのメガホンだけに、各人のポテンシャルをマックスまで引き出したアイデア満載のアクションが加わるのだから鬼に金棒だ。とにかくワイヤーを多用した空中戦が多いのが特徴で、スー・チーが敵本部に乗り込む序盤戦から「本当にここは地球なのか?」と思うほど、階段やら壁やら天井やらを使った無重力アクションが展開される。これが実に楽しい。

闇の仕事を引き受ける電脳天使(エンジェル)。その正体はリン(スー・チー)とクワン(ヴィッキー・チャオ)の姉妹だ。父親が開発したワールド・パノラマ(世界中の軍事衛星や監視カメラをハッキングできる驚異のシステム)を使ってクワンがアシストし、リンは麻薬王を暗殺する。だが、現場に登場したヤリ手の新人女性刑事コン(カレン・モク)は、電脳天使が仕掛けた小型カメラの存在に気づく。

3人でミッションをこなすチャーリーズ・エンジェルと違い、こちらのエンジェルは2人の美人姉妹。亡き父が残したとてつもないハッカーシステムを縦横無尽に操り、屈強な男どもを一蹴してみせる様は痛快無比だ。だが、女刑事コンの登場で状況は一変、リンの純愛も加わってエンジェルのコンビネーションは崩壊し、悲劇が幕を開ける。なぜかコンのことが気になって仕方がないクワンが、からかい半分でバースデーケーキを警察に贈ったのが運の尽き。ケーキ屋でコンに追い詰められたクワンは、近くに停まっていた白いグランドシビックを強奪。ここから警察vsクワンの壮絶なカーチェイスが始まる。半ベソでリンに助けを求めるクワン。リンはワールド・パノラマ・システムを駆使して逃走経路を指示、いつものように楽勝だと思われたその刹那…。

イメージカラーをホワイトで統一し、画面は目いっぱい明るい。3人それぞれのチラリズムがバランスよく配され、健康的なお色気も満載なのだが、ここに香港ノワール特有の湿ったストーリーが重ねられるのが独特の味わいを生んでいる。ヴィッキー・チャオがカレン・モクに恋愛に似た感情を抱き、後半戦は共通の敵を倒すためにタッグを組むという展開もゾクゾク。ラストには衝撃のシーンも待ち受ける。絶世の美女、アクション、サスペンス、果てはLの世界(!?)まで、一粒で4つも5つも美味しいアジア版『チャーリーズ・エンジェル』。未見の方はぜひ!!

映画に登場する車たち

ホンダ シビック(EF型)

通称「グランドシビック」。走り屋たちにも人気を博した3代目「ワンダーシビック」から、1987年にモデルチェンジを果たした。映画では、凄腕の女刑事コン(カレン・モク)に追い詰められた電脳天使のクワン(ヴィッキー・チャオ)が、逃走を図るために強奪した白い車として登場。あの可愛いヴィッキーが4ドアタイプのグランドシビックをドライブして香港の細い路地をキビキビと曲がりまくり、警察車両を次々と巻いていく様は拍手喝采ではあるのだが、実はこのカーチェイスが本作最大の悲劇を生んでしまうので、やや後味は悪い。

Text/伊熊恒介