ドライブ▲自動車・カーライフに関する調査研究機関「リクルート自動車総研」の膨大な統計データを基に、ユーザーの購買行動や世の傾向を勝手に予想したり解説したりするコラム

相乗り効果の認知拡大で車の使い方も変わる?

アメリカのあるテレビ番組に、“Carpool Karaoke”と題した人気コンテンツがある。“Carpool”とは「相乗り」の意味だが、タイトルどおり、司会者の運転する車に著名人(歌手や俳優)が相乗りし、車内で歌ったり喋る様子を、小型カメラで撮影したものだ。

これがなかなか面白い。カーオーディオから流れるカラオケに合わせて歌うのだが、圧倒的な歌唱力にまず驚くとともに、ノリノリで歌う姿に親近感を覚える。

またお喋りのパートでも、ミュージックビデオや他のインタビュー映像で見る姿よりリラックスしているように見え、世界的スターの素顔を垣間見られるのもファンにとっては嬉しいに違いない。

そうした効果は、番組スタッフの周到な準備と司会者の技量あってのことだろうが、車内という空間もまた、打ち解けた空気を生み出すのに一役買っているのではないだろうか。

例えば、狭い閉塞空間ながら、周囲の風景が流れるおかげで開放感があること。例えば、道路というパブリックな場所ながら、外界と仕切られている個室ゆえ部屋にいるような感覚でいられること。

ならではの要素が相乗効果となり、打ち解けた空気の中でコミュニケーションがはかどるのだとすれば、それこそまさに“相乗り効果”と言えるのではないだろうか。
 

リクルート自動車総研グラフ ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より
リクルート自動車総研グラフ ※2015年~2018年にリクルート自動車総研が行った『中古車購入実態調査』より

グラフ①をご覧いただこう。2015年の調査開始以降、「車はコミュニケーションの場になる」と思う人が徐々に増えている。

また、「車はコミュニケーションの場になる」と思っている人の性年齢別割合は、20歳代の男女に多い他、30歳代、40歳代の男性も多いことがわかる。

年齢層に多少偏りはあるものの、車内をコミュニケーションのはかどる場として認識している人が一定数いるのは間違いない。

移動の手段に加え、車の“相乗り効果”が広がれば、車の使い方に変化が生まれるかもしれない。

例えば、今まで以上にドライブデートの役割が重要になったり、親子が会話するためだけにドライブしたり、緊張感漂う面接や上司と部下の面談をドライブしながら行うケースも出てくるかもしれない。

いずれにせよ、誰かと“相乗り”する場面を考慮して、車を選ぶ人が増えそうだ。

そこでどんなボディタイプや装備が人気になるかわからないが、万一会話が滞って気まずい空気が流れた場合に備えて、ノリノリで歌えるカラオケ環境だけは整えておいた方が良さそうだ。
 

“相乗り効果”が高そうなオススメモデル3選

1:トヨタ bB(2代目)

トヨタ bB ▲四角いボディで室内空間を広げつつ、ガラス面積を狭くして車内の“個室感”をアップ。音響面に力を入れた最上級グレードのZQバージョンならカラオケにも力が入る!?
 

2:ダイハツ コペン(初代)

ダイハツ コペン ▲マンツーマンのコミュニケーションに特化するなら、軽2シーターオープンの狭さも相乗り効果アップに有効。電動開閉式メタルトップで、音漏れを気にせず歌えるのも◎
 

3:ホンダ エリシオン(初代)

ホンダ エリシオン ▲低床プラットフォームで車内は広々。3列目シートでも視界良好で開放感があるのも◎。装備充実で遮音対策万全の最上級ミニバンながら、低予算で狙えるのもグッド!
 
文/編集部、写真/photoAC、トヨタ、ダイハツ、ホンダ