Sクラス ▲新車時は軽く1000万円を超えるお値段だった超高級サルーン、メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目)が、現在は総額200万円台から狙える状況に! しかし「お手頃価格になった超高級の中古車」とは、果たして買っても大丈夫でしょうか? しっかり考えてみることにしましょう!

総額200万円台の先代Sクラスは本当に「お買い得」なのか?

メルセデス・ベンツ Sクラスは、その源流をたどると1951年までさかのぼることができる、世界を代表する超ラグジュアリーサルーン。「Sクラス」と名乗るようになったのは1972年からで、現在は7代目にあたるW223という世代が最新モデルとして販売されています。

そんな最新型より1つだけ前の世代である先代メルセデス・ベンツ Sクラス(W222・2013~2020年)が、200万円台から買えるまでにダウンしているのです。
 

Sクラス▲こちらがW222こと先代メルセデス・ベンツ Sクラス
Sクラス▲ロングボディ版も存在するが、標準ボディのスリーサイズは全長5116mm×全幅1899mm×全高1493mm
Sクラス▲豪華絢爛なインテリア。エントリーグレードでも各種装備は十分以上に充実しているが、上級グレードを選ぶと、14個のエアクッションを使ったマッサージ機能なども標準装備となる

といっても、高額な物件はまだまだ1000万円近いプライスが付いていますし、世代全体の平均価格も約362万円と、決して爆安ではありません。しかし、一部の世代やグレードは総額200万円台から狙うことができますし、中には総額100万円台でイケる物件も普通にあったりするのです。

それってかなり安い! お買い得! ……とも思うわけですが、もともとは軽く1000万円を超える新車価格だった高級車が200万円台レベルになった中古車とは、果たして買っても大丈夫なものなのでしょうか?

この記事では様々な角度から「お手頃先代Sクラス」について検討し、先代メルセデス・ベンツ Sクラスの上手な狙い方とオススメグレードを明らかにしてまいりたいと思います。
 

▼検索条件

メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目)
 

選択肢①:総額200万円付近のS400ハイブリッドを徹底的に吟味しながら探す

総額200万円付近、具体的には総額160万~240万円付近の予算で検討可能な先代メルセデス・ベンツ Sクラスの物件数は、2025年7月下旬現在で約40台。そのうちの多くが「S400ハイブリッド」という前期型(マイナーチェンジ前の世代)のグレードです。

結論から申し上げると、総額200万円付近のS400ハイブリッドの中で、物件としてのコンディションと整備履歴が良好なものであれば「買ってもヨシ!」と考えられます。
 

Sクラス▲お手頃価格帯で主に流通している400ハイブリッドの前期型

S400ハイブリッドは、先代Sクラスが上陸した2013年10月からラインナップされていたエントリーグレード。ボディサイズは全長5116mm×全幅1899mm×全高1493mmで、パワーユニットは最高出力306psの3.5L V6エンジンに同27psのモーターを加えたハイブリッドです。

こちらのグレードの総額200万円前後で狙える物件は走行10万km以上である場合が多いのですが、車のコンディションというのは走行距離だけで決まるものではなく、基本的には「扱い方」「整備の頻度および質」で決まります。

そのため、内外装の状態(痕跡)から「いかにも丁寧に扱われてきた」という推測ができ、なおかつ整備記録簿によってシュテルンやヤナセなどの正規ディーラーで定期的に点検と整備を受けてきたことが確認できる個体であれば、おおむね「買ってヨシ!」と判断することができます。

逆にいうと「内外装に、いかにも雑に扱われてきたような痕跡が目立つ」という物件や、「正規ディーラーで整備されたのは最初の3年間だけで、その後の履歴は謎」みたいな物件は、オススメはできません。
 

Sクラス▲安価になった高級車の中古車を探す際は、走行距離の数字ではなく、「この個体が前オーナーにどう扱われてきたか?」という痕跡や証拠を探す作業にこだわりたい

そしてしっかり整備されてきた個体であっても、Sクラスは超高級車であるがゆえに、何かしら修理する際のコスト(部品代など)は、一般的な車よりもどうしても高額になります。6代目 Sクラスの中古車を買うつもりであれば、そのあたりの現実も頭に入れておく必要があります。

なお、S400ハイブリッドには標準の「S400ハイブリッド」と、その装備内容をさらに充実させた「S400ハイブリッド エクスクルーシブ」という2種類のグレードが存在します。またカーセンサーnet独自の分類法として、それぞれに「AMGスポーツパッケージ(※これは2013~2014年)」または「AMGライン(※こちらは2015年以降)」というパッケージオプションが装着された車両を、それぞれ独立したグレードとして扱っています。

いずれを選ぶかは好みの問題であり、最もベーシックな「S400ハイブリッド」でも装備内容は大いに充実しています。そのため選ぶ際はグレードではなく、あくまでも「程度」と「整備履歴」を軸に考えることをオススメします。
 

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メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目)×S400ハイブリッド系グレード×総額250万円以下
 

選択肢②:そこそこの予算(総額300万円前後)で各グレードを吟味する

気合いを入れて丹念に探せば、総額200万円前後の予算であっても「悪くない先代Sクラス」は入手できるはず。しかし、もうちょっと予算感を上げて「総額250万~350万円ぐらい」のイメージで探すと、先代Sクラス選びは格段にラクになります。

具体的には、走行距離3万km台~6万km台ぐらいの物件を見つけやすくなるのがこの価格帯です。
 

Sクラス▲実際の走行距離は物件によって千差万別だが、この予算であれば比較的低走行な物件も視野に入ってくる

前述したとおり、車のコンディションというのは走行距離だけで決まるものではなく、「ばっちり整備されてきた10万km物件の方が、ろくにメンテナンスされてこなかった5万km物件よりも状態はいい」なんてことはザラにあります。

しかし走行距離短めな物件のほうが(基本的には)内装コンディションなどが良好である場合は多く、販売店も「200万円前後の物件より、こちらの方が様々な部分の状態が良いから」という理由で、やや高めの値付けをしているはず。それらの結果として、総額250万~350万円ぐらいで考える方が、200万円前後の良質物件を探すよりは“当たり”の確率は高まるのです。
 

Sクラス▲総額300万円台の予算であれば、ディーゼルハイブリッド車である「S300h」も検討可能に

総額200万円前後で狙えるグレードは「S400ハイブリッド」に集中していましたが、総額250万~350万円付近では、どれかひとつのグレードに集中しているのではなく「いくつかのグレードが少数ずつ流通している」という状況に変わります。

その中からどれを選ぶべきか? という指針は特になく、どれでも――もちろんコンディションと整備履歴を重視したうえで――お好みのグレードを選べばそれでOKです。

ご参考までに、この価格帯で見つけることができる各グレードの簡単な特徴を下記にまとめておきましょう。

●S400ハイブリッド:総額200万円前後の項でも登場した、最高出力306psの3.5L V6エンジンに同27psのモーターを加えたハイブリッド車
●S400h:上記のグレードが2015年8月に改名されたグレード
●S300h:2015年8月に追加された、最高出力204psの2Lディーゼルターボエンジンに同27psのモーターを加えたディーゼルハイブリッド車

上記のそれぞれに、装備をより充実させた「エクスクルーシブ」が存在し、その他「AMGスポーツパッケージ」または「AMGライン」というパッケージオプションを装着した中古車が、カーセンサーnetではそれぞれ独立したグレードとして分類されています。
 

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メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目) ×総額350万円以下
 

選択肢③:「リッチな選択」がお望みなら後期型S400か前期型S550ロング

ここまでご紹介してきたS400ハイブリッドとS400hおよびS300hは、いわゆるエントリーグレード的な選択肢です。それはそれでいいのですが、「せっかくベンツSクラスを買うのだから、もっと最上級セダンらしい上級でリッチな選択がしたい!」と考える人も少なくないのかもしれません。

もしもそう考えるのであれば、オススメは「S400」または「S550ロング」です。
 

Sクラス▲こちらが後期型から登場した「S400」

まずS400からご説明しますと、こちらは2017年8月のマイナーチェンジ時に追加された、最高出力367psの3L V6ツインターボを搭載する後期型のエントリーグレードです。

「なんだよ、またエントリーグレードかよ!」と思うかもしれませんが、S400はマイナーチェンジ後の後期型ですので、エクステリアデザインも前期型と比べてグッと現代的であり、メルセデスならではの統合的安全性を実現する「インテリジェントドライブ」にも新機能の追加や機能強化が行われています。

そしてテレマティクスサービスの「Mercedes me connect」も標準装備であり、後期型ゆえに信頼性も高いということで、きっとご満足いただけるのではないかと思います。

2018年にさらに進化した「S450」を狙うとなると総額500万円以上の予算が必要になりますが、S400であれば総額390万~480万円ほどで、十分に状態良好な1台が見つかるでしょう。

もしも後期型S400では物足りないと感じるなら、狙い目は前期型の「S550ロング」になるでしょうか。
 

Sクラス▲全長とホイールベースを延長したロングボディに、強力な4.7L V8ツインターボエンジンを搭載する「S550ロング」。写真は、S550の装備をより豪華にした280台の限定車「S550ロング エディション1」

こちらは標準ボディより134mm長い全長5250mmのボディに最高出力455psの4.7L V8ツインターボエンジンを組み合わせた、前期型における上から2番目のグレード(この上に6L V12ツインターボの「S600ロング」というのがあるのですが、さすがに中古車はきわめて希少です)。

S550ロングであれば装備内容にもパフォーマンスにも、物足りないと感じることはまずないはず。ヤンチャな感じに改造されてしまっている物件も多いのですが、総額300万円台の半ばから後半付近で、キレイめなノーマル車を見つけることができるでしょう。
 

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メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目)×2017年8月~2020年×S400系グレード

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メルセデス・ベンツSクラス(6代目)×2013年~2017年7月×S500ロング

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メルセデス・ベンツ Sクラス(6代目)
文/伊達軍曹 写真/メルセデス・ベンツ
※記事内の情報は2025年7月25日時点のものです。
伊達軍曹

自動車ライター

伊達軍曹

外資系消費財メーカー勤務を経て出版業界に転身。輸入中古車専門誌複数の編集長を務めたのち、フリーランスの編集者/執筆者として2006年に独立。現在は「手頃なプライスの輸入中古車ネタ」を得意としながらも、ジャンルや車種を問わず、様々な自動車メディアに記事を寄稿している。愛車はスバル レヴォーグ STIスポーツR EX Black Interior Selection。